さてみなさまはIPO銘柄はお好きでしょうか。SBI証券でしこしこチャレンジポイントを貯めて申し込むと、たまに当たっていい思いが出来るので「元手の要らない宝くじ」みたいな印象をお持ちの個人投資家さんが多いのかなと思いますが、当方の場合は抽選の申込手間や資金拘束が性格上嫌なので、初値形成後のセカンダリーでしか投資しないことにしています。
これまでに何度か述べているとおり、IPO銘柄は先進的な事業領域や事業モデルであることが多いため、投資することで勉強にもなりますし、翻って既投資先の従来型企業の弱点や今後の脅威などを発見出来ることあったりするので、視座の高さを確保するという点でも意義があると思ってます。
そしてIPOを手掛けることの最大のメリットと感じている点は、後から上場してくる銘柄についてはひととおり目を通すことになるという点です。単なるイメージだけの話で例えると、街の商店街の焼鳥屋さんや鰻屋さんが、先代より受け継いできた“継ぎ足しのタレ”が入った壺に、醤油や砂糖などの必要な調味料をほんの少しずつ足していくようなイメージです。
投資を始めて最初の頃は、四季報を読んでも名前すら聞いたことのない会社ばかりで、社名やざっくりとした事業内容を把握するだけでも大変かと思いますが、この“継ぎ足し”方式で毎年毎年IPO銘柄を手掛けていくと、知っている会社が少しずつ増えていくので楽しく読めるようになりますし、知識の定着率が良くなります。また、IPO銘柄は過去のトラックが無いので投資家のスタートラインがみな一緒であり、銘柄知識の蓄積差によるハンディキャップが無いという隠れたメリットもあります。
年間のIPO銘柄の数などせいぜい90社ほどですので、365日換算でせいぜい4日に1社程度ですのでさほど労力はかかりません。かくいう私も全部フォロー出来ているわけではありませんが、これを10年続ければ「何となく何をやっているのかわかる会社」が900社も増えることになりますので、その“継ぎ足しのタレ”は“秘伝のタレ”へと進化していくことが期待できるかと思います(おわり)
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。