【4929】アジュバンコスメジャパン/システム子会社MBOで減収、中計も取り下げで見所少ない。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4929】アジュバンコスメジャパン(東証1部)  OP

現在値 1,070円/100株 P/E 170.9  P/B 2.14  3月配当優待 

美容室経由でスキンケア、ヘアケア製品販売。関西地盤で高価格品多い。
配当は3月一括の24円配のため、配当優待利回りは2.24%となります。

アジュバンコスメジャパンは株主優待制度を導入しており、3月末に100株以上を保有する株主に対して、5,000円分の自社ヘアケア製品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約6.91%となります。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 売上高 50.9億円、営業利益 5.0億円、EPS 39.3円

■2019年3月期 売上高 51.6億円、営業利益 1.6億円、EPS 3.1円 

■2020年3月期 売上高 46.7億円、営業利益▲1.8億円、EPS▲28.6円

■2021年3月期 売上高 48.8億円、営業利益 2.9億円、EPS 21.8円 

■2022年3月期 売上高 45.1億円、営業利益 1.2億円、EPS 6.2円 ce

□2021年6月1Q 売上高 11.3億円、営業利益 1.2億円、EPS 10.7円(7/21)
□2021年9月2Q 売上高 20.5億円、営業利益▲0.3億円、EPS▲4.3円 ce

2021年3月期の売上高は前期比4.5%増の48.8億円、営業利益は黒転の2.9億円となり、公表していた期初計画を下回って着地しました。主力のヘアケア商品については、高単価品の「クラス」が低調だったものの、下期に女性薄毛向けヘアケア商品「KASUI」の投入により増収を確保しました。一方、新型肺炎禍で外出機会による需要減少やマスク着用の常態化が響いたスキンケア品については、メイク品や「AE」シリーズ等が軒並み低調に推移しました。他方、全社ベースでは恒例の優良店向け大型イベントの開催自粛や交通費、人件費の減少により3億円もの費用削減を実現し、主としてコスト削減により大幅な増益を確保した格好となります。


進行期である2022年3月期の予算については、売上高が7.5%減の45.1億円、営業利益は56.0%減の1.2億円と大幅反落を見込んでいます。主力のヘアケア商品については、上市した薄毛向け新製品である「KASUI」のフル貢献にくわえ、従来品の「Re」も積極的に販促費を投入する計画です。スキンケア商品についても、新型肺炎禍の一巡によるマスク着用の減少により、「AE Rich」「DJ」といった高単価の加齢対策商品の持ち直しを見込みます。これら主力2商品群で反発を見込むにも拘わらず減収予算となるのは、システム販売子会社の連結除外(▲7億円)が主な要因です。

 

本来であれば進行期は2023年3月期を最終年度とする5年中計の4年目の位置づけであり、この5年で売上高を52.7億円→100億円(CAGR13%)、営業利益2.2億円→20.0億円(CAGR55%)まで伸長させる計画でしたが、新型肺炎禍による影響もあり本年1月にこの中計を取り下げています。成長戦略としては、登録サロン数を5ヵ年で6,879件→10,000件まで増やす量的拡大策がベースとなり、サロン数の拡大に合わせて、クラウド型のサロン経営・顧客管理システムである「MAPシステム」の拡販を推進します。足許でのサロン数の登録数は8,396件と、当初計画比でスローではあるものの加盟店の積み上げ自体は進捗しています。

 

新製品開発については、理化学研究所らと共同研究をしていた毛髪再生成分を特徴とした「KASUI」を昨年上市にこぎつけているほか、この育毛技術を生かしたスカルプシャンプーやスカルプローション、スカルプブラシといった男性向け育毛剤を開発し、本年10月よりEC直販の形でサロンを通さずに直接男性顧客にアプローチして新市場を開拓する方針です。他方、当社のシステムを担っていた子会社のエクシードシステム社がシナジー低下を理由にMBOによりグループを離脱しており、基幹の「MAPシステム」の拡張・高度化などは新製品開発より後回しにするものとみられ、当面は“プロダクト力”に頼った形での経営となりそうです。

 

なお、株主還元については年24円配を継続する計画です。当社は無借金経営であり、自己資本比率も8割を超えるなど財務的に余裕があるため、現行の年24円配が減配されるようなことは考えにくい状況です。

 

*参考記事① 2020-09-08 960円 OP

【4929】アジュバンコスメジャパン/理化学研究所との共同研究(育毛)成果品が下期に上市へ。

 

*参考記事② 2019-07-29  909円 OP

商品リプレイス重なり、業績は雌伏期入りへ・アジュバンコスメジャパン(4929)。

 

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