商品リプレイス重なり、業績は雌伏期入りへ・アジュバンコスメジャパン(4929)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【4929】アジュバンコスメジャパン(東証1部)  NT

現在値 909円/100株 PER241.1 PBR1.71 3月配当優待 

美容室経由でスキンケア、ヘアケア製品販売。関西地盤で高価格品多い。
配当は3月一括の24円配のため、配当優待利回りは2.64%となります。

アジュバンコスメジャパンは株主優待制度を導入しており、3月末に100株以上を保有する

株主に対して、5,000円分の自社ヘアケア製品を進呈しておりますので、配当優待利回り

は約8.14%となります。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 44.0億円、営業利益 6.4億円、EPS 33.8円
■2017年3月期 売上高 47.7億円、営業利益 5.1億円、EPS 41.7円 

■2018年3月期 売上高 50.9億円、営業利益 5.0億円、EPS 39.3円

■2019年3月期 売上高 51.6億円、営業利益 1.6億円、EPS 3.1円 

■2020年3月期 売上高 56.4億円、営業利益 1.2億円、EPS 3.8円 ce

□2019年6月1Q 売上高 9.9億円、営業利益▲1.7億円、EPS▲17.6円(7/19)
□2019年9月2Q 売上高 27.1億円、営業利益 0.0億円、EPS 0.9円 ce

2019年3月期の売上高は前期比微増の51.6億円、営業利益は同66.1%減の1.6億円となり、

期初計画を下回りました。主力のヘアケア商品については、アッパーラインで単価3割増し

となる新商品「クラスS」シリーズが概ね計画通りの売上を確保したほか、従来品の「Re:」

シリーズのリプレイス減少を想定より抑制出来たため、底堅く推移しました。一方、スキン

ケア商品については、「AE」「DJ」シリーズ共に趨勢減となったほか、子会社のエクシード

システムが提供するサロン経営・顧客管理システムについても、クラウド型商品への前倒

し移行にともない費用が先行したほか、従来のオンプレミス型商品がリプレイス減となった

ため、これら2事業が全社の業績の足を引っ張る形で、大幅減益での着地となりました。

進行期である2020年3月期の予算については、売上高が9.4%増の56.4億円、営業利益は

25.1%減の1.2億円と連続減益を予想しています。「クラスS」を投入したばかりのヘアケア

商品については横ばいを想定しているものの、実績期で大幅減となったスキンケア事業

については「AE」シリーズの新商品および美顔器の投入を予定しており、上期は先行告

知期間となるものの、下期以降から売上貢献が見込まれます。然しながら、新商品群で

ある「クラスS」や「AE」シリーズへ販促費を積み上げる方針であることや、物流費の上昇、

人員増強等により、一段のコスト増が見込まれることから、大幅な減益となる見通しです。

なお、去る7月19日に1Qが開示されていますが、元より上期はコスト偏重が予想されてい

るものの、トップラインから2割強も落ちているため、かなり苦しい予算進捗とみられます。

 

今期は2023年3月期を最終年度とする5年中計の2年目となっており、この5年で売上高

を52.7億円→100億円(CAGR13%)、営業利益2.2億円→20.0億円(CAGR55%)まで伸長さ

せる計画となっています。数字自体は相当画餅的ですが、2012年の上場当時の当社は

巡航で営業利益10億円程度をごく定常的に稼いでいたので、会社的にはそこまで数字

を復元した上で倍化させる様なイメージを持っているものと思われますが、実際のところ、

中計初年度は減益、2年目の今期もさらに輪をかけて減益見込みなので、単純に数字の

ところだけで言えば、本中計の業績目標は既に実現が不可能なレベルと判断出来ます。

 

成長の骨子は登録サロン数を6,879→10,000件まで増やす量的拡大策がベースであり、

サロン数の拡大に合わせて、サロン経営・顧客管理システムである「MAPシステム」の

拡販とクラウド型への切替を推進する方針です。ただ足許での登録サロン数は7,360件

まで増えているものの、伸びは想定以下に留まっており、これはかねてより当社の悩み

のタネであった不正流通代理店(要はサロンに卸さず、ネットで勝手に転売する代理店)

対策がまだ完了しておらず、いまだに不正店の契約解除を進めている様な状況のため、

代理店総数が5年前から殆ど増えていないことが構造的な低成長要因と考えられます。

 

そのほか今後有望なネタとしては、理化学研究所と共同研究をしていた毛髪再生にか

かる再生医療がありましたが、既に同所との提携期限が切れたため、独力で上市まで

もっていく必要が出てきています。昨年、本格的に本事業に取り組むため、ポートアイ

ランドにR&D拠点を新設していますが、上市までは相当な時間を要するとみられます。

 

なお、株主還元については、今期も余裕のタコ配ながら年24円配を継続する計画です。

実質的に無借金経営であり、財務的には余裕があるため、現水準の年24円配が減配

されるようなことは、少なくとも向こう数期の間は無いものと考えられます。

 

*参考記事① 2018-07-09  993円 OP 

理研らとの共同研究の成果・恩恵はかなり先、アジュバンコスメジャパン(4929)。


*参考記事② 2016-06-29 887円 OP

今期も業績は横ばい圏、アジュバンコスメジャパン(4929)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

新品価格
¥2,200から

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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