【3254】プレサンスコーポレーション(東証一部) OP
現在値 1,547円/100株 P/E 13.5 P/B 0.75 9月配当優待 3月配当
関西を中心に投資用1Rからファミリー向マンションの開発・販売を展開。
配当金(実績)は年2回・合計29円のため、配当利回りは約1.87%となります。
プレサンスコーポレーションは株主優待制度を実施しており、9月末に4単元株を保有する株主に対して、5,000円分のVJAギフトカードを進呈しておりますので、4単元保有時における配当優待利回りは約2.68%になるとみられます(※一部想定ベースの年換算利回りにつき注意。なお2021年9月期のみ半期変則決算のため4単元株主に対し、2,500円のUCギフトカードを進呈)。
業績を確認していきます。
■2018年3月期 売上高 1,340億円、営業利益 203億円 EPS 232円
■2019年3月期 売上高 1,600億円、営業利益 271億円 EPS 296円
■2020年3月期 売上高 2,240億円、営業利益 326億円 EPS 347円
■2021年3月期 売上高 2,438億円、営業利益 297億円 EPS 315円
□2021年9月変 売上高 952億円、営業利益 118億円 EPS 114円 ce変則6m
2021年3月期の売上高は前期比8.8%増の2,438億円、営業利益は同8.7%減の297億円となり、中間時点で開示に踏み切った通期見通しに対して上振れ着地しました。主力の投資用を中心としたワンルーム分譲については、新型肺炎禍の営業自粛が響いたものの後半巻き返し、引渡戸数が同18.7%増の5,948戸と上伸したほか、ファミリー分譲についても此花(172戸)、橿原神宮前(114戸)などの販売を順調にこなし、引渡戸数は同27.8%増の2,695戸に上伸しました。他方、増収を確保する一方で減益となったのは、在庫水準適正化のために押さえている開発素地の一部を簿価割れ水準で処分したとみられるほか、好採算のホテル一棟売りが減少したことが要因です。
進行期の2021年9月期については、親会社であるオープンハウス(OH社)の決算期に合わせる形で6ヵ月変則決算となり、売上高は前年同期間比およそ30%減の952億円、営業利益は同35%減の118億円と実質的に大幅な減収減益を予想しています。これは前年同期の新型肺炎禍において手元資金確保を優先していため、仕入を抑制し、仕入済の土地も処分していたことがタイムラグで影響することが主な要因です。なお、期初段階で引渡予定住戸のうち3,000戸強が契約済のため、売上高予算の72.5%が既に確保されているため、(そもそも3割強の減収減益であるものの)業績の可視性がかなり高い状況となっています。
当社は今般、向こう2.5年間の中期経営計画を開示しており、最終年度である2023年9月期に売上高1,702億円・営業利益170億円を予想していますが、ピーク時にも戻らない想定のため数字的には大分物足りないものになっています。既に被支配関係にあったOH社は2020年1月のTOBで30%超の当社持分を追加で買い増し(@1,850円)しているため、基本的にOH社の“西進”戦略の中で当社の成長シナリオが描かれることとなります。具体的にはOH社による信用補完効果のほか、関東の戸建てに強いOH社と、関西のマンションに強い当社で事業とエリアの補完性が高いことから、用地情報取得や営業面でのシナジー発現が期待されます。
実際に既に共同事業は3プロジェクトが動いており、OH社が仕入れた用地に当社がマンションを企画・開発し、OH社が個人の実需層に、当社が個人投資家に販売するスキームで協業しています。なお、OH社は2023年9月期を最終年度とする中計「行こうぜ1兆!2023」において、売上高1兆円、営業利益880億円を目指しているため、必然的に当社業績を伸ばさるを得ず、J-REIT参入と当社による賃貸マンションの物件拠出スキームの確立といったことが想定されます。他方、リスクとしては少数株主利益確保のための完全子会社化を企図し、成就するまで業績を抑制する可能性が想定されます。
なお株主還元については、極めて控えめな状況(配当性向15%弱)が続いており、進行期については6ヵ月で16円の配当を予想しています。自己資本比率は50%と極めて良好な財務のわりに株主還元を極力絞っていますが、これはキャッシュの外部流出を避けたいOH社の意向が強く働いているものとみられ、実際にOH社本体は破竹の好業績が続いているものの、配当性向は20%丁度の水準に抑えられています。
*参考記事① 2021-03-03 1,522円 BY
【3254】プレサンスコーポレーション/オープンHの連結子会社化へ、上場維持も株主還元一層渋く。
*参考記事② 2020-08-14 1,332円 OP
【3254】プレサンスコーポレーション/オープンハウス傘下入りの事業補完性は高く、再成長軌道も。
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