【3254】プレサンスコーポレーション/オープンハウス傘下入りの事業補完性は高く、再成長軌道も。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_0813.jpg

【3254】プレサンスコーポレーション(東証一部) OP

現在値 1,332円/100株 PER-.-- PBR0.70 3月配当優待 9月配当

関西を中心に投資用1Rからファミリー向マンションの開発・販売を展開。
配当金(実績)は年2回・合計39円のため、配当利回りは約2.92%となります。

プレサンスコーポレーションは株主優待制度を実施しており、3月末に4単元株を保有する株主に対して、5,000円分のVISAギフトカードを進呈しておりますので、4単元保有時における配当優待利回りは約3.86%となります。

業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 1,010億円、営業利益 156億円 EPS 179円 

■2018年3月期 売上高 1,340億円、営業利益 203億円 EPS 232円 

■2019年3月期 売上高 1,600億円、営業利益 271億円 EPS 296円

■2020年3月期 売上高 2,240億円、営業利益 326億円 EPS 347円 

■2021年3月期 売上高(未定)億円、営業利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce

□2020年6月1Q 売上高 659億円、営業利益 119億円 EPS 127円(8/11)
□2020年9月2Q 売上高 1,022億円、営業利益 160億円 EPS 165円 ce

2020年3月期の売上高は前期比39.5%増の2,240億円、営業利益は同20.2%増の326億円となり、利益についてはほぼ期初予算ピンポイント着地となり、破竹の3割増収・2割増益を達成しました。主力のワンルームの分譲が特に多く、神戸(235戸)をはじめ前期比+47.2%となる3,479戸を引渡した一方、前期の大型案件である琵琶湖(486戸)が剥落した好採算のファミリー向けについては同+1.5%となる2,109戸に留まり、このミックス悪化により利益率が低下しました。このほか、業者・ファンド向けの専有一棟卸しが同+74.1%増の1,532戸も上伸したこともあり、2019年末にかけて社長逮捕という不祥事(※後述)が発生したものの、既に粗方の契約・決済が済んでいるような状況であったため、上振れは出来なかったものの予算通りの着地が出来たとみられます。


進行期である2020年3月期の通期予算については、新型肺炎により合理的な算出が出来ないことから開示を見送っているものの、上期6ヵ月間累計分についてのみ売上高が18.4%減の1,022億円・営業利益は32.1%減の160億円という予算を開示しています。去る8月11日に既に1Qを開示しており、此花(172戸)をはじめとしてファミリー向けの引渡しが集中したこともあり、売上高は前年同期比3.4%減の659億円・営業利益は同15.4%減の119億円でターンしていることから、現時点ではまずまずの進捗が確認されます。期末までの残りの契約済残高は867億円となっており、信和不動産と共同開発した“フェアフィールド大阪難波”といったホテルも含まれています。ただ市況悪化と仕込み案件不足の両方の理由で実績期のように一棟売りの投資家分譲案件で数字を作ることは難しいとみられることから、通期での2桁減益は不可避な情勢とみられます。

 

当社は設立来初めてとなる中期経営計画を走らせており、3ヵ年をかけてこの2021年3月期にも売上高1,340→2,478億円、営業利益203→320億円まで引き上げる目標を掲げています。そして、中計初年度である2019年3月の業績は期初からの3ヶ月でほぼ通期の数字を仕上げてしまったほか、翌2020年3月期には会社の屋台骨を揺るがすような不祥事があったものの、営業利益326億円を叩き出し、利益計画を1年前倒しで達成してしまうなど、不動産市況の追い風による部分が大きかったにせよ、次元の違いを感じさせるような落着となりました。

 

そして昨年最大の不祥事となったのが社長逮捕であり、明浄学院の土地取引に絡み、創業者でもある山岸氏が大阪地検特捜部に12月16日に逮捕されてしまいました。そのため、既に昨年末時点で副社長の土井氏が社長に昇任していましたが、本年4月にはオープンハウスとの間で資本業務提携を締結し、山岸氏及び資産管理会社の持分である約20百万株を譲渡したことから、同社の持分法適用会社(33.0%)となり、事実上の傘下入りをしています。これにより信用補完は元より、関東を地盤に戸建てに強いオープンハウスと、関西と地盤にマンションに強い当社の事業やエリア補完性が非常に高いため、中長期的に用地情報取得や営業面でかなりのシナジー効果が期待されます。

 

他方、株主還元については非常に控えめな状況(配当性向15%弱)が続いていましたが、最高益を叩き出した実績期についても「先々の資金繰りを検討した結果」、期初予想から減じて39円(同11%)としています。自己資本比率は37%と十分な余力はあるものの、今期についても配当予想を未定としており、親のオープンハウスも株主還元意向が薄いことから、更に減配してくる可能性も排除出来ない状況といえます。

 

*参考記事① 2018-08-28  1,679円 OP

今期スタートダッシュは超強烈で、早くも上振れ機運・プレサンスコーポレーション(3245)。

 

*参考記事② 2017-06-30 1,485円 OP

7期連続の2桁増益を確保、今期業績も鉄板か・プレサンスコーポレーション(3254)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村