【3254】プレサンスコーポレーション/オープンHの連結子会社化へ、上場維持も株主還元一層渋く。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3254】プレサンスコーポレーション(東証一部) BY

現在値 1,522円/100株  P/E5.38  P/B0.74  3月配当優待 9月配当

関西を中心に投資用1Rからファミリー向マンションの開発・販売を展開。
配当金(実績)は年2回・合計39円のため、配当利回りは約1.71%となります。

プレサンスコーポレーションは株主優待制度を実施しており、3月末に4単元株を保有する株主に対して、5,000円分のVISAギフトカードを進呈しておりますので、4単元保有時における配当優待利回りは約3.38%となります。

業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 1,010億円、営業利益 156億円 EPS 179円 

■2018年3月期 売上高 1,340億円、営業利益 203億円 EPS 232円 

■2019年3月期 売上高 1,600億円、営業利益 271億円 EPS 296円

■2020年3月期 売上高 2,240億円、営業利益 326億円 EPS 347円 

■2021年3月期 売上高 2,344億円、営業利益 267億円 EPS 283円 ce修正
□2020年9月2Q 売上高 1,354億円、営業利益 183億円 EPS 198円 
□2020年12月3Q 売上高 1,943億円、営業利益 272億円 EPS 292円(2/12)

2020年9月中間期の売上高は前年同期比8.0%増の1,354億円、営業利益は同22.6%減の183億円で進捗し、上期分のみ開示済だった会社予算に対して大幅に上振れて着地しました。主力の投資用を中心としたワンルーム分譲については、新型肺炎禍の営業自粛が響いて引渡戸数が同3.5%減の2,734戸と伸び悩んだ一方、ファミリー分譲については此花(172戸)、橿原神宮前(114戸)などの引渡しを順調にこなし、引渡戸数は同25.2%増の1,756戸まで上伸しました。全社では増収だった一方で、2割を超える減益となったのは、在庫水準適正化のために押さえている開発素地の一部を簿価割れで手放したとみられるほか、他にも事業計画の見直しにより評価損を計上したことに由ります。


2021年3月期の通期見通しについては、2Q時点で開示に踏み切っており、売上高は前期比4.7%増の2,344億円、営業利益は同18.0%減の267億円を予想しています。また、去る2月12日には3Qを開示しており、売上高は前年同期比5.9%増の1,943億円、営業利益は同13.0%減の272億円で進捗しているため、営業利益段階は既に通期クリアとなっているほか、3Q末時点で今期計上分の売上高が404億円分契約済となっていることから、トップラインについても問題なく超過達成する公算です。今期は信和不動産と共同開発した“フェアフィールド大阪難波”をはじめとするホテルも計2棟売却する計画ですが、現時点で既に売却済とみられます。

 

今期は設立来初めてとなる3年中計画の最終年度となっており、売上高1,340→2,478億円、営業利益203→320億円まで引き上げる目標を掲げていました。そして2019年に明浄学院の土地取引に絡み、創業者でもある山岸氏が大阪地検特捜部に逮捕されてしまうという、会社の屋台骨を揺るがす大不祥事があったにもかかわらず、その出来事があった2020年3月期に営業利益326億円を叩き出して、利益計画を1年前倒しで達成しています。

 

2020年4月にはオープンハウスとの間で資本業務提携を締結し、山岸氏及び資産管理会社の持分である約20百万株(約220億円相当とみられる)を譲渡したことから、同社の持分法適用会社(33.0%)となり、事実上の傘下入りをしています。更に本年1月には、同社はTOBにより30%超の持分を追加買い増し(@1,850円)を矢継ぎ早に実行することで、当社を持分法から連結子会社化へと移行させており、当社への一層の関与を深めています。これにより信用補完は元より、関東を地盤に戸建てに強い同社と、関西と地盤にマンションに強い当社の事業やエリア補完性が高いことから、中長期的に用地情報取得や営業面において相当なシナジー効果が期待されます。また今後は不動産ファンド事業を展開する予定であり、当社開発の賃貸マンションを同社組成の私募ファンドやREITにおろし、最終的には公募成りさせるような青写真もあるようです。

 

他方、株主還元については非常に控えめな状況(配当性向15%弱)が続いていましたが、新型肺炎禍の影響による資金繰りを考慮した前期並み(配当性向11%)水準を更に下回る、年26円配当(配当性向9%)を予想しています。自己資本比率は50%弱と極めて良好な財務のわりに株主還元を極力絞っていますが、これはオープンハウスが先々の“関与”を増やすための布石と解されます。

 

*参考記事① 2020-08-14  1,332円 OP

【3254】プレサンスコーポレーション/オープンハウス傘下入りの事業補完性は高く、再成長軌道も。

 

*参考記事② 2018-08-28  1,679円 OP

今期スタートダッシュは超強烈で、早くも上振れ機運・プレサンスコーポレーション(3245)。

 

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