【3057】ゼットン/DDは親引け応じず、出向の鹿中氏も辞任。グループ離脱の可能性も。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3057】ゼットン(名証セントレックス)  NT

現在値 735円/100株  P/E--.-  P/B 23.7 2月配当 株主優待 

東海、関東地区で飲食店運営。チェーン展開せず公共施設出店に注力。
配当基準日は2月末・8月末ですが、配当予想は未定となっています。


ゼットンは株主優待制度を実施しており、100株以上を保有する2月末の株主に対して、食事券3,000円分を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.08%となります。また、1年超の保有株主には4,000円分を進呈しているため、同利回りは約5.44%となります。

業績を確認していきます。

■2018年2月期 売上高 92.3億円、経常利益 4.4億円 EPS 36.1円

■2019年2月期 売上高 97.2億円、経常利益 4.9億円 EPS 48.8円   

■2020年2月期 売上高 102.8億円、経常利益 4.7億円 EPS 80.0円   

■2021年2月期 売上高 47.1億円、経常利益▲15.7億円 EPS▲297.7円  

■2022年2月期 売上高(未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce  
□2020年8月中 売上高 25.0億円、経常利益▲4.0億円 EPS▲62.1円 四e

2021年2月期の売上高は前期比54.1%減の47.1億円、経常利益は同赤転の▲15.7億円となり、昨年10月に開示された通期見通し水準となり、壊滅的な減収減益での着地となりました。新型肺炎禍により、国内店舗は昨年のGW前後で2ヵ月間休業となったほか、年末年始も再度の感染拡大影響で約3ヵ月の時短・休業を強いられました。また、ハワイを中心とした海外店舗についてはロックダウン影響により1年間営業停止となりました。出退店の状況については、アロハテーブル(AT)豊洲店、尾上別荘、代官山HEAVENLYの3店を出店した一方、韓国3店とAT広尾店の計4店を閉店し、期末の店舗数は純減1店の74店なり、殆ど店を減らさずに済んでいます。


進行期である2022年2月期の予算については、新型肺炎の影響を合理的に算出することが難しいことから、期初より未定としています。上述のとおり他社と異なり店舗数を殆ど減らしていないため、ワクチンが普及したタイミングから残存者利益を確保しやすい状況であるほか、期ズレとなっている受注済のブライダル案件の顕在化等が期待されます。他方、ATはハワイさながらの雰囲気の中での店内飲食前提とした業態(価格設定)のため、テイクアウトやデリバリーが馴染みずらいことがネックとなるほか、好採算のビアガーデンの書き入れ時となる今夏を棒に振る公算が高いことから、最善のシナリオでも損益均衡圏が精一杯とみられます。

 

今期は4ヵ年中計の3年度目の位置付けとなっており、最終年度となる2023年2月期に売上高120億円(CAGR5%)、営業利益8.4億円(CAGR16%)をそれぞれ計画しています。当社は2015年9月にダイヤモンドダイニング(DDHD)が、当社創業者である稲本健一氏らから、TOB(@790円)で持分の42%を取得して連結子会社化しており、長らく当社No.2であった古参の鈴木氏へと社長へ交代しています。但し、当社初となるこの中計は目下の新型肺炎禍により、定量計画も含め取り下げの意向があるようです。

 

当面は主力のATの出店速度を落とし、パッケージ化の推進により採算性の向上を図るほか、(ビルの定借期間残存ペナルティ回避のためとみられるものの)本社を渋谷「神南軒」の店舗跡地に引っ越して経費削減を進めるなどしています。ただこの移転については、親会社であるDDHD本社から離脱するような移転となっています。他方、資金繰りのために当社は昨年10月に3.5億円の第三者割当増資を実施しており、酒類卸大手のカクヤスグループや当社鈴木社長、キーコーヒーが引受相手先となったものの、親会社であるDDHDは引受に応じず、結果として当社はDDHDの連結子会社から持分法適用に落ちることとなりました。

 

結果としてDDHDの実質No.2である鹿中氏は当社役員から外れたほか、(因果関係は不明であるものの)当社創業者である稲本健一氏も本年2月にDDHDの役員から外れており、人的・資本的観点から関係性が希薄化している状況です。DDHDは専ら夜商売の居酒屋系業態が多く、新型肺炎禍前にカラオケやホテル事業などウイングを広げすぎたこともあって創業来の窮地に立たされている一方、ATを中心に昼間需要を確保できる当社は比較的健闘しており、相対的に財務も良好であるため、DDHDの懐事情も含め“身売り”とする可能性は排除出来ないものと考えています。

 

なお財務の状況については、上述の三者割増資反映後の自己資本比率でも4.2%に留まっています。然しながら当社はそもそもB/Sの絶対値が小さく、有事の資金繰りでどうしても借金が多く見えてしまうのはいた仕方ない部分もあり、もし追加で資本性のある調達が必要になったとしても、引受先は出てくるように思います。

 

*参考記事① 2020-07-02  790円 NT 

【3057】ゼットン/今期赤字濃厚も、親のDDHDよりも好財務で安定推移か。

 

*参考記事② 2019-07-02 920円 NT

「アロハテーブル」統一化で、採算性は改善傾向・ゼットン(3057)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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