【3048】ビックカメラ/郊外型のコジマ押し上げるも、ECの採算性向上ペースがやや遅め。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3048】ビックカメラ(東証1部) OP

現在値 1,125円/100株  P/E 19.4  P/B 1.12 8月配当優待 2月配当優待

家電量販大手。ターミナル駅周辺で大型店。傘下にソフマップ・コジマ。
配当実績は2月末・8月末の合計15円のため、配当利回りは1.33%となります。

ビックカメラは株主優待を実施しており、2月末・8月末に100株以上を保有する株主に対し、年3,000円分の優待券を進呈しておりますので、配当優待利回りは4.0%となります。なお1年以上の長期保有で+1,000円、2年以上の長期保有で+2,000円が追加されるため、配当優待利回りは最大で約6.66%まで上昇します。


業績を確認していきます。  
■2017年8月期 売上高 7,906億円、経常利益 243億円、EPS 74.2円 

■2018年8月期 売上高 8,440億円、経常利益 292億円、EPS 93.6円 

■2019年8月期 売上高 8,940億円、経常利益 258億円、EPS 79.1円 

■2020年8月期 売上高 8,479億円、経常利益 146億円、EPS 30.9円  

■2021年8月期 売上高 8,660億円、経常利益 200億円、EPS 57.9円 ce修正 
□2021年2月中 売上高 4,212億円、経常利益 121億円、EPS 32.3円(4/12) 

2021年2月中間期の売上高は、前年同期比3.5%減の4,214億円、経常利益は同33.2%減の121億円となり、売上高は予算を下回ったものの、利益は倍以上の水準で着地しました。都心部店舗中心の当社店舗については、緊急事態宣言再発出により客足が低調だった一方(全店月次88.8%)、郊外店中心のコジマについては“巣ごもり”需要を幅広くとらえ、PC、ゲーム・おもちゃ類を中心に堅調に推移(同110.5%)したほか、在宅勤務増によりソフマップが底堅く推移しました。出店については、傘下のコジマがふじみ野にWネーム店舗を出店した一方、当社は池袋東口カメラ館を閉鎖するなどしています。


なお2021年8月期通期の見通しについては、中間決算前に増額しており、売上高は前期比2.1%増の8,660億円(期予:8,960億円)、経常利益は同39.5%増の205億円(期予:170億円)と反転増を見込んでいます。トップラインは減額しているものの、上半期のコジマ好調による上振れを織り込むとともに、在宅勤務の長期化・恒常化を背景に好採算のPCが引き続き伸長することが見込まれます。出店については、下期に熊本駅前に700坪級の出店をするほか、傘下コジマが茨木太田のイオンタウンに移転出店する予定となっており、グループベースでの店舗数は微増となる見通しです。数字感としては増額後もやや保守的な印象であり、なお上振れ余地があるものと考えています。

 

当社グループ3社(ビックカメラ、コジマ、ソフマップ)は2017年に物流拠点の統合を完了していることもあり、手薄だったEC分野への傾注を深めています。2018年に提携先である楽天(4755)と合弁会社“楽天ビック”を設立し、グループ3社でEC売上高2,000億円を目指しています。前期ベースのEC年成長率37%、この上期のEC売上高は803億円(構成比19.1%)に達しており、翌2022年8月期には達成する公算です。昨年は船橋ららぽーと横の三井不動産の物流施設(MFLPⅠ+Ⅱ)を1.7倍まで借り増ししており、棚移動ロボットの高稼働化や、マテハンの導入により取扱高増加を志向していますが、実店舗営業利益率2.9%に対して、ECは同3.4%と利益率が高くなく、高額設備の減価償却費に倉庫(EC)稼働が追い付いていないものとみられます。

 

このECの採算性向上施策として、所謂“ロングテール戦略(高くても当社しか売ってない)”のほか、PB品への注力を進めています。現状のPB比率は9.9%と4年前と比べると倍以上に育っており、これを2025年8月期までに同30%まで引き上げる方針です。商品開発部によるPB開発によりSPA化を推進し、高いデザイン性の白物家電や、NB商品が手薄な商品群の隙間市場を狙う形で値頃感のある商品の展開を図ります。また、自社配送拠点や物流網を生かしたミネラルウォーターの宅配事業を展開する計画であり、25億円を投じて富士吉田市に採水工場を建設するなど(催事で場所貸ししていたプレミアムウォーターと同じ採水地!)、親和性の高い周辺ドメインの開拓を図っています。

 

財務的な観点では、目下の自己資本比率は30.6%と新型肺炎前よりは若干低下したものの、依然として安定感のある水準を維持しています。そのため、配当予想については2円増配の年15円を計画していますが、来期までには巡行水準の年20円まで早々に復元されるものとみられます。

 

*参考記事① 2020-12-10 1,107円 OP

【3048】ビックカメラ/日興証券会長、コジマ社長を歴任した木村一義氏が代表就任。

 

*参考記事② 2020-06-18  1,132円 OP

【3048】ビックカメラ/何は無くともEC売上高の成長モメンタム維持に期待。

 

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