【4745】東京個別指導学院(東証1部) OP
現在値 614円/100株 P/E 23.5 P/B 3.95 2月配当株主優待 8月配当
ベネッセHD傘下。小中高生向け個別指導塾を直営で首都圏軸に展開。文章、科学教室も。
配当基準日は2月・8月の年2回・合計26円配当のため、配当利回りは約4.24%となります。
東京個別指導学院は株主優待制度を実施しており、2月末の単元株主に対して、1,500円分のカタログギフトを進呈していますので、配当優待利回りは約6.67%となります。
業績は下記の通りとなっております。
■2018年2月期 売上高 191億円、営業利益 26.3億円 EPS 32.1円
■2019年2月期 売上高 203億円、営業利益 27.9億円 EPS 35.6円
■2020年2月期 売上高 212億円、営業利益 28.8億円 EPS 34.9円
■2021年2月期 売上高 191億円、営業利益 6.1億円 EPS 5.5円(4/12)
■2022年2月期 売上高 221億円、営業利益 22.0億円 EPS 26.0円 ce
□2021年8月中 売上高 129億円、営業利益▲3.3億円 EPS▲7.0円 四e
2021年2月期の売上高は前期比10.0%減の191億円、営業利益は同77.6%減の6.4億円となり、トップライン段階から2桁の減収となりました。新型肺炎禍による緊急事態宣言により、5月の授業が非実施となり授業料を免除したことや、ハイシーズンである春の生徒新規募集を見送った影響が期を通じて大きく響いた格好となります。また、利益についても減収要因に加えて、オンライン対応に伴うインフラ整備費用や講師料率の上昇による原価上昇により、利益水準は前期の4分の1程度に留まりました。なお、在籍生徒数については期央から急速に持ち直したものの、前期比91.8%の30,426名、新規開校については5教室を開校し全260教室となりました。
進行期である2022年2月期の通期見通しについては期初から開示しており、売上高は15.6%増の221億円、営業利益は同3.6倍の22.0億円を見込んでいます。実績期から講師数の確保を進めているほか(11,070名→11,814名)、期初時点の生徒数も1年前との比較で97.1%水準にまで回復していることから、妥当な予算と解されます。予算前提として一斉休校や緊急事態宣言の再発出がないこととしており、後者の前提は既に非成就となっているものの、顧客側の心理的織り込みが進んでいることから影響は限定的とみられます。なお新規開校については、8教室程度を想定しており、3月時点で千歳烏山、国領の京王沿線2教室を開校しています。
当社は新型肺炎禍の昨年10月に3年中計を公表しており、3年後の2024年2月期に売上高257億円(CAGR10%)、営業利益31.0億円(約5倍)を目標とし、最終年度に改めて最高益の更新を目指すこととしています。重点戦略は①講師育成の強化、②ICT活用、の2本柱となっており、①については“TEACHER'S SUMMIT”と呼ばれる講師総会の充実により、インセンティヴ強化のほか、講師の定着、ナレッジの共有を図る方針です。また②については、開校済エリアにも拘わらず通塾していない非顧客層の取り込みを図る計画であり、対面・非対面のハイブリッド授業以外に、完全オンラインなどのメニュー拡充を進める方針です。
但し、同社が中計で掲げるトップライン成長のためには、翌2023年2月期からは年20室ペースで開校しないと辻褄が合わず、担当講師が受け持つ生徒数や1人あたり授業料を一定ベースとするのであれば、別の方法で教室あたり稼働率を引き上げる必要があります。その対策として、当社は向こう5年間で30億円ものICT投資を実行し、オンライン授業併用により教室あたりの在籍生徒数を増やす方針とみられます。そのため、今後は新規教室数もさることながら、このICT投資の進捗と、重要KPIである講師獲得数がポイントになるものと考えています。
財務の状況については、期末時点の自己資本比率は72.2%、手元現金は65億円と盤石な状態が続いています。かような好財務を背景に、年間配当金は予想ベースで還元性向100%に迫る年26円の維持を予定しており、これは業績動向にかかわらず配当されるとみていますが、いかんせんICT投資が巨額のため、親会社であるベネッセHDによるグループ資本政策(要は完全子会社化)も投資論点になろうかと思います。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。