【3277】サンセイランディック(東証1部) OP
現在値 835円/100株 P/E 13.9 P/B 0.70 12月配当 6月株主優待
権利関係が複雑な不動産を買い取り、関係調整したうえで再販。
配当は6月末・12月末に合計25円のため、配当利回りは約2.99%となります。
サンセイランディックは株主優待を導入しており、2単元株以上を保有する6月末の株主に対して、「パンの缶詰」3缶と500円分のクオカード進呈しておりますので、適当に3缶900円として計算した場合の配当優待利回りは約3.83%となります(※優待内容は実績ベースで今後変更になります)。
業績をチェックしていきます。
■2017年12月期 売上高 130億円、経常利益 16.6億円 EPS 134.5円
■2018年12月期 売上高 168億円、経常利益 16.4億円 EPS 119.6円
■2019年12月期 売上高 180億円、経常利益 17.5億円 EPS 137.1円
■2020年12月期 売上高 177億円、経常利益 7.0億円 EPS 42.3円
■2021年12月期 売上高 183億円、経常利益 7.6億円 EPS 59.8円 ce(2/12)
□2021年6月中間 売上高 83.7億円、経常利益 2.1億円 EPS 16.2円 ce
★★★
2020年12月期の売上高は前期比1.4%減の177億円、経常利益は同59.7%減の7.0億円となり、元より2桁の減益を見込んでいた期初予想を大幅に下回って着地しました。主力の底地販売事業については、件数自体は345件と微増となったものの、新型肺炎禍による営業活動の遅れを取り戻すべく、値引き販売による在庫消化を急いだため、採算性が急速に悪化しました。一方、居抜き(地上げ)事業については西日本エリアの案件が引き続き底堅く推移し、減益ではあるものの計画超過となりました。なお、仕入高については会社計画水準を下回ったものの、前期末から1億円程積み増し、132億円強を確保しています。
進行期である2021年12月期の見通しについては、売上高が3.4%増の183億円、経常利益は7.5%増の7.6億円と反転微増を見込んでいます。期初時点の仕入残高の増加にともない、底地販売・居抜きともに増収を計画しており、特に底地販売は大幅増を見込んでいるものの、実績期に大幅な未消化だった販売経費が復元するため、利益の戻りは鈍くなります。その他、業容拡大に向けた人員増強や、PR活動の再開にくわえ、仕入営業も積極化させることから、交通費等の諸経費も増加する見通しです。なお当社は2Q、4Qに数字が偏重する傾向があることから、当該時期に新型肺炎が深刻化した場合には、想定超の業績インパクトがある可能性があります。
終わった2020年12月期は3年中計の最終年度であり、3年間で経常利益16.6億円→19.0億円(+13.9%)を計画していましたが、新型肺炎の影響もあり、未達どころか大幅なマイナス成長となりました。特に底地や居抜き(地上げ)については、売主や関係者と長期間の交渉が必要なケースが多く、新型肺炎禍でこうした交渉がスタックしがちであることから、構造的に営業期間の長期化を強いられており、苦しい状況がいまなお継続しています。そのため、今回本決算時には新中計の公表を見送っており、本年半ば以降の開示を予定しています。
一方、出口の市況環境については、ホテル用地の需要が大幅に減少しているものの、マンション素地や戸建用地への引き合いは強く、居抜き・所有権の出口の目線感が改めて上方向に向かっていることから、販売価格の上昇による業績回復は期待出来ると考えています。但し、元より非課税売上高の高い当社は、販売手数料(課税)のかかる居抜き・所有権物件の構成比増加により、控除対象外消費税の負担の増加が構造的な重しとなるため、このセグメントが伸びても利益の伸びは見えづらよりも鈍いものになります。
他方、財務の状況については、長らく配当性向10%台で株主還元を絞ってきたため余裕があり、自己資本比率もなお5割を超過しています。そのため、低調な業績が続く今期の予想配当性向は41.8%にのぼるものの、据置となる25円配当を予想しています。このほか2.5億円(2.37%)の自社株買いも実施しており、会社側では仕入難・営業難を背景に資本政策を株主還元に振ってきたような印象を受けます。
*参考記事① 2020-05-11 749円 NT
【3277】サンセイランディック/中計マイナス成長の可能性孕むも、追加の株主還元余地は大きい。
*参考記事② 2017-10-17 936円 NT
「百戦錬磨」との提携成果が待たれる、サンセイランディック(3277)。
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