【3277】サンセイランディック/中計マイナス成長の可能性孕むも、追加の株主還元余地は大きい。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3277】サンセイランディック(東証1部) OP

現在値 749円/100株 PER6.0 PBR0.64 12月配当 6月株主優待

権利関係が複雑な不動産を買い取り、関係調整したうえで再販。
配当は6月末・12月末に合計25円のため、配当利回りは約3.34%となります。

サンセイランディックは株主優待を導入しており、単元株以上を保有する6月末の株主に対して、「パンの缶詰」を2缶進呈しておりますので、適当に2缶800円として計算した場合の配当優待利回りは約4.40%となります。なお、1年以上保有を継続する株主には1缶増えて3缶進呈となりますので、その場合の約4.93%となります。

業績をチェックしていきます。
■2016年12月期 売上高 123億円、経常利益 13.2億円 EPS 104円
■2017年12月期 売上高 130億円、経常利益 16.6億円 EPS 134円

■2018年12月期 売上高 168億円、経常利益 16.4億円 EPS 119円
■2019年12月期 売上高 180億円、経常利益 17.5億円 EPS 137円
■2020年12月期 売上高 215億円、経常利益 15.5億円 EPS 123円 ce
□2020年6月中間 売上高 98億円、経常利益 4.5億円 EPS 35円 ce

2019年12月期の売上高は前期比7.1%増の180億円、経常利益は同7.0%増の17.5億円となり、期初予想から一転して増益確保となりました。主力の底地販売事業については、件数が概ね計画通りとなったものの、単価の低いエリアでの販売が増えたことから減収となったものの、逆に居抜き(地上げ)事業については西日本エリアの案件が特に好調に推移したため、大幅増収となりました。なお、仕入高についても会社計画水準を上回る20億円程積み増し、131億円強を確保しています。


進行期である2020年12月期の予算については、売上高が19.6%増の215億円、経常利益は11.3%減の15.5億円と大幅な増収を見込む一方、利益については2桁の減益を予想しています。実績期の仕入高増加にともない、底地販売・居抜き・所有権事業ともに2桁幅の増収を見込んでいるものの、利幅が厚い底地販売の構成比が低下するほか、相対的に利幅が薄く販売手数料を要する所有権の構成比が増加するため、このミックスの悪化により減益予算となります。元より当社の期初予算は保守的な傾向がありますが、足許の新型肺炎による影響を殆ど織り込んでいないものとみられるため、まだ1Q公表前ではあるものの通期は未達含みと考えられます。


今期は3年中計の最終年度であり、当初この3年で経常利益16.6億円→19.0億円(+13.9%)を計画していましたが、今期予算は15.5億円に留まるため、(会社側は実績期並みの利益率が出た場合は超過達成を匂わせているものの、)計画時点の実績値を下回ってマイナス成長となる可能性も孕んています。新型肺炎の影響により、ホテル用地の需要が大幅に減少するほか、マンション素地の需要も後退し、居抜き・所有権の出口の目線感が下がると考えられます。また、非課税売上高の高い当社は、販売手数料(課税)のかかる居抜き・所有権物件の構成比増加により、消費税そのものと消費増税による負担の増加が構造的な重しとなってきてます。


本中計策定時にはあんど社(家賃保証や判断不能者等弱者生活サポート)や、百戦錬磨社(民泊)と相次いで業務提携を実施し、障害者支援や民泊ビジネスに乗り出したものの、弱者支援住宅はごく数件にとどまっているほか、民泊は市場自体が規制強化やインバウンド大幅減の逆風下にあり、思うように業容拡大が出来ていない状況です。そのため従来ドメインである底地販売・居抜き事業の全国拠点拡大といったオーガニック成長に頼らざるを得ない状況であり、業容拡大策も地方自治体に直接的に働きかけて(主に地方シャッター商店街等の駅前等の)再開発地上げ案件の獲得や、「Funds」を活用したクラウドファンディングによる調達などより本業に近いものが増えているような状況です。

 

そんなわけで業績的には頭打ち感が強いものの、長らく配当性向10%台で株主還元を絞ってきたこともあり、財務状況には余裕があり、自己資本比率も5割を超過しています。今期は2円増配の25円配当を予想していますが、これでやっと配当性向20%(しかも減益前提)のため、かなりの還元余地が残っており、中期的には増配ピッチの加速度合いが投資論点となりそうです。

 

*参考記事① 2017-10-17 936円 NT

「百戦錬磨」との提携成果が待たれる、サンセイランディック(3277)。

 

*参考記事② 2017-04-27 770円 NT

3年中計は未達の公算、サンセイランディック(3277)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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