【3252】日本商業開発(東証一部) BY
現在値 1,700円/100株 P/E 10.7 P/B 1.25 12月配当株主優待 6月株主優待
スーパーなどテナントの商業施設建設を前提に底地取得、売却益を狙う。私募REITも。
配当金(12ヶ月実績ベース)は3月末の一括の50円で、配当利回りは約2.94%となります。
日本商業開発は株主優待制度を実施しており、12月末・6月末に3単元以上を保有する株主に対して、3,000円分のジェフグルメカードを進呈しておりますので、3単元保有時における配当優待利回り(12ヶ月実績ベース)は約4.11%となります。
業績を確認していきます。
■2018年3月期 売上高 312億円、経常利益 30.4億円 EPS 109.6円
■2019年3月期 売上高 398億円、経常利益 43.2億円 EPS 149.3円
■2020年3月期 売上高 741億円、経常利益 46.0億円 EPS 174.9円
■2020年12月変 売上高 298億円、経常利益 21.5億円 EPS 89.9円 9M変則
■2021年12月期 売上高 510億円、経常利益 42.0億円 EPS 158.5円 ce
□2021年6月中 売上高 380億円、経常利益 27.0億円 EPS 98.4円 四e
2020年12月期の売上高は9ヵ月変則決算のため前期との比較はないものの、売上高は直近予想比同水準の298億円、経常利益は同2.5億円上振れの21.5億円となりました(注:参考開示されている12ヵ月ベースの落着見通しと、期初時点の12ヵ月予想とを比較すると、売上高・利益ともにやや未達となっている)。新型肺炎禍でも生活密着型商業施設の多い当社物件については賃料減額は発生せず、傘下の私募REITに対する物件拠出こそ無かったものの、新規の事業会社への売却が底堅く推移しましたが、仕入については、ケネディクス商業REIT(3453)からケーズデンキ新守山店底地(1,660坪)を15億円強で購入するなどしたものの、物元の事業停滞も影響し、仕入予算には届きませんでした。
12ヶ月決算に復帰する2021年12月期の見通しについては、売上高が510億円、経常利益は42.0億円を予想値としています。今次決算期変更は通常傘下REITの増資・物件取得時期が旧4Q期間に該当し、旧3Qまでの進捗が“闇鍋状態”となるため、その業績偏重性を是正するための変更となります。2021年1月実行の傘下REIT増資分については、昨年12月時点で契約を締結しており、全11物件/合計125億円(最大物件はライフ川崎大島/1,417坪、47.5億円)の売却実行を済ませています。但し、肝心の棚卸資産は期末時点で前期末から更に50億円減った383億円となっており“玉不足”が否めなかったものの、本年4月には不動産MA(※後述)の公表しており、一気に残高を増やしたものとみられます。
当社は新型肺炎前の2018年10月から「早期売却、有利子負債削減」を優先取組事項として掲げ、KPIである棚卸資産残高については、この2年弱で695億円→383億円へ削減させるとともに、ネットD/Eも2.54倍から0.90倍まで飛躍的に良化させています。また、当社の物件売却加速にともない傘下REITも順調に成長しており、本年1月の公募増資で23物件・259億円(うち当社拠出分は125億円)の取得を完了したため、AUMは悲願の大台突破となる1,090億円となり成長著しい状況です。同REITは物件利回り4%、分配金利回り4%ながらLTVが30%程度とみられるほか、エンドテナントの契約残存期間が約20年(同解約不可期間11年)もあるため、安定的な運用が期待できるほか、スポンサーである当社同様に財務に余裕があり、依然取得余力も多く残る印象です。
他方、この物件売却増加にともなって棚卸資産の枯渇が懸念されていましたが、4月15日に旧名証2部上場のツノダ(7308)の全株式をマーキュリアインベストメントのコアファンドのひとつであるバイアウト1号ファンドから取得しており、事実上の不動産M&Aを実行しています。ツノダは祖業こそ自転車の開発・販売会社であるものの、旧上場時より賃貸業で食っていた“含み資産”銘柄であり、小牧のホームセンター敷地1万坪のほか、名古屋市中区のデータセンター550坪(敷地)、大垣市ドラッグストア1,500坪など潤沢な不動産を保有しています。特に小牧の1万坪がメガトン級案件であるため、棚卸資産の拡充が一気に進みました。
財務状況については、既述のとおり有利子負債の大幅削減を進めたことから、自己資本比率は21.7%→34.9%へと劇的に回復していますが、ツノダの買収にはレバレッジ活用したとみられることから、30%水準まで落ちてくるものと考えられます。なお株主還元については、年50円配当を予想しており、過去の巡航水準との比較では年5円の減配となってしまうことから、自己資本比率3割がキープされるのであれば、まずはその復元に期待したいと思います。
*参考記事① 2021-02-05 1,711円 BY
【3252】日本商業開発/決算期変更による期ズレで、とりあえず来期業績までは確保。
*参考記事② 2020-07-21 1,509円 BY
【3252】日本商業開発/早期売却進み、財務余力大きい。仕入好機が到来。
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