【2174】GCA/東京ドーム買収など大型案件が寄与、海外もテック案件増で今期は大増勢か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2174】GCA(東証1部) BY

現在値 835円/100株  P/E17.3  P/B1.95   6月・12月配当 株主優待なし

M&A助言会社。日米欧三極体制。クロスボーダー案件多数扱う。


配当金は6月・12月の合計35円予想のため、配当利回りは4.19%となります。
GCAは株主優待制度を導入しておりません。

業績を確認していきます。2018年12期よりIFRS(Non-GAAP/NG)に移行しており、非連続です。
■2017年12月期 売上高 197億円、営業利益 18.9億円 EPS 33.5円 
■2018年12月期 売上高 266億円、営業利益 34.7億円 EPS 64.2円 NG

■2019年12月期 売上高 235億円、営業利益 34.1億円 EPS 59.9円 NG

■2020年12月期 売上高 217億円、営業利益 26.9億円 EPS 40.2円 NG

■2021年12月期 売上高 260億円、営業利益 34.0億円 EPS 51.4円 ceNG(3/16)
□2021年6月2Q 売上高 100億円、営業利益 12.0億円 EPS 17.5円 四e

2020年12月期の売上高は前期比7.5%減の217億円、営業利益は同20.9%減の26.8億円となり、減収減益となったものの、3Q時点で(やっと)公表した通期見通しに対しては上振れしました。大型案件としては、【パナソニック欧州照明子会社→ドイツ投資会社へ売却;パナソニック側】があったほか、【中電工→昭和コーポ買収;中電工側】、【富士通携帯代理店事業→ティーガイアへ売却;富士通側】といった案件がありました。ただエリア別で見ると、日本ではコアとなる国内企業のグローバルMA案件が新型肺炎禍で停滞した一方、米国・欧州については好調なテック関連のMA案件が急増したため、堅調な海外で不調な日本をある程度穴埋めした格好となります。


進行期である2021年12月期の見通しについては、例年であれば1Q時点で開示となるものの、今年は1Qを待たずに開示に踏み切っており、売上高は19.5%増の260億円、営業利益は26.0%増の34.0億円と約2割の増収増益を見込んでいます。欧州を中心とした海外においてテック関連の案件が足許でも引き続き順調に推移していることにくわえ、期末時点のパイプラインが2019年末比で17%増となっていることから、期を通じて強含む見通しです。不調だった国内についても、【三井不動産によるTOB→東京ドーム;東京ドーム側】といった大型案件が上期中に計上見込みとなるため、反転増が見込まれます。


当社は中長期的な業績目標等は開示していないものの、米SAVVIANとの経営統合、2015年8月の英Altiumの買収により、独立系MA助言専業会社としては異例の「日米欧グローバル三極体制」を実現し、クロスボーダー案件の受注体制の構築を進めています。会社側としては、2030年までに世界一のMAアドバイザリーファームになることを長期目標としています。そして今般、北欧のMA助言会社であるStella社(売上高26億円・営業利益4億円)を買収し、欧州拠点を更に拡充しています。Stella社は北欧のほかベネルクスを地盤としており、助言だけでなく仲介を得意としているほか、北欧ならではの通信デジタル企業へのアクセスを有しています。

 

なおStella社の買収費用(23億円)については、通常IFRSでは株式報酬として費用認識されるので、2020年から向こう5年に渡って【▲8.7→▲6.5→▲3.3→▲1.6→▲0.0/億円】が各期の下押し圧力になりますが、表記のNGベースでは非定常費用として控除しているため、実態より見栄えが良くなっている点には注意が必要です。ただそうした割引要素を考慮しても、通信デジタルに強いStella社の買収は特に効果的だったと解され、テック系への戦略的フォーカスが他社との差別化に繋がって高水準の受注を維持しているとみられます。


そして当社最大の投資論点であろう株主還元については、配当金下限を従来どおり35円に設定しています。最近の還元ポリシーからは自社株買いや総還元性向に関する記述が消えてしまったため、当面は配当一本に絞るとみられるものの、直近13年間の実績総還元性向は100%を超えており、際立った高還元となっています。特に実質無借金で150億円弱のネットキャッシュを丸抱えしているため、今期も業績のいかんによらず35円以上は配当される公算が高いと思われます。

 

*参考記事① 2020-05-21 625円 OP

【2174】GCA/新型肺炎でM&Aスタックも、高還元ポリシーは不変か。

 

*参考記事② 2019-04-16 832円

自社株買い余資も水面下で唸る高配当銘柄・GCA(2174)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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