【4248】竹本容器(東証1部) NT
現在値 881円/100株 P/E9.77 P/B1.17 12月配当株主優待 6月配当
化粧品・食品向け主力のプラスチック製包装容器専業。自社製品の金型多数保有し短納期。
配当は6月末・12月末の年2回合計19円配当のため、配当利回りは約2.16%となります。
竹本容器は株主優待制度を実施しており、12月末現在の単元保有株主に対して、自社オリジナル容器を使用した特選品を進呈しており、過去実績からおおよそ2,000円相当と仮定した場合の配当優待利回りは約4.42%となります。
業績を確認していきます。
■2017年12月期 売上高 142億円、営業利益 14.1億円 EPS 82.3円
■2018年12月期 売上高 160億円、営業利益 16.3億円 EPS 96.7円
■2019年12月期 売上高 151億円、営業利益 15.3億円 EPS 83.3円
■2020年12月期 売上高 148億円、営業利益 17.7億円 EPS 83.3円
■2021年12月期 売上高 150億円、営業利益 16.4億円 EPS 90.1円 ce
□2021年6月中間 売上高 72.7億円、営業利益 7.7億円 EPS 42.3円 ce
2020年12月期の売上高は前期比2.2%減の148億円、営業利益は同15.6%増の17.7億円となり、前期比・予算比ともに減収増益となりました。国内事業については、感染予防用途の衛生材が伸長したものの、新型肺炎の影響による化粧品需要の後退により化粧品向けが大きく減少しました。同様に中国事業についても2月に事業停止を強いられたため、通期で売上影響を受けました。一方、利益については樹脂価格減少による原価低減や減価償却費の減、中国事業では現地での社会保険料減免政策も寄与し、減収にも拘らず2桁の増益を確保しています。
進行期である2021年12月期の予算については、売上高が1.5%増の150億円、営業利益は7.8%減と増収減益を見込んでいます。国内向けについては、新型肺炎の影響を2020年並みを前提とした上で、国内事業については化粧品が低位横ばい、衛生材や健康食品向けは堅調推移を予想しているほか、通期で事業停止明けとなる中国事業についても着実な回復が見込まれます。一方、利益面については、2020年に見送った設備投資の実施による減価償却費の増加や、原材料価格の反転増、また中国事業についても社会保険業減免策の終了により減益見通しとなります。
当社はローリング方式による中計を公表しており、従前は2022年12月期を最終年度とする3年中計で売上高151億円→174億円(CAGR5%)、営業利益15.3億円→18.5億円(CAGR7%)まで伸長を見込んでいました。然しながら、今次新型肺炎禍の影響の深刻化を受け、再度下方にロールしており、3年後の2023年12月期の業績目標値として売上高148億円→165億円(CAGR5%)、営業利益17.7億円→18.9億円(CAGR2%)を新たな定量目標に置き直しています。国内事業は主力の化粧品向けが横ばいからの緩やかな回復を前提とする一方、中国では売上伸長を見込みます。
また本中計期間では業績面での定量計画もさることながら、世界的なESG潮流として、EUをはじめとする諸外国で樹脂利用についての規制が強化されていることから、今後は原料にガラス・金属・紙や植物性素材を利用したり、リサイクル可能品の強化を図る方針です。これまで樹脂素材割合が特に多かった当社としては、本件のようなESGへの取組は喫緊の課題と言えますが、植物(サトウキビ)由来のバイオマス素材容器の開発や、1980年代より取り組んでいる生分解性プラスチック容器の開発、その他リターナブル容器の提供により対応していく方針です。
株主還元については配当性向20%以上を目安としており、今期は19円配当(配当性向21.1%)を据え置く予定となっています。当社は2014年のIPO時に約5億円(@450円)、2017年の東証一部指定変更時にもPOを実施して約10億円(@853円)の追加調達をしており、足許の自己資本比率も53.2%でネット無借金状態を維持しています。然しながら、今後は中国市場もさることながら、インド市場の拡大を企図していため、工場投資等が必要になるとみられ、株主還元を絞って先々のために財務を温存しているものと解されます。
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