【5965】フジマック/新型肺炎禍で今期も均衡圏だが、好財務で配当・優待維持か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【5965】フジマック(東証二部) OP

現在値 762円/100株  P/E 63.1  P/B 0.54  12月配当優待 

総合厨房設備機器メーカーで、外食・ホテル等の大型設備に強み。工場分社化。
配当(実績)は12月末一括の年20円配当のため、配当利回りは2.62%となります。

フジマックは株主優待制度を導入しており、12月末時点で単元株を保有する株主に対し、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.93%となります。なお長期優遇制度もあり、1年以上の保有で1,000円分のクオカードが追加進呈されますので、その場合の配当優待利回りは、約5.24%まで利回りが上昇します。

業績を確認していきます。

■2018年3月期 売上高 385億円、営業利益 27.1億円 EPS 149.9円 

■2019年3月期 売上高 368億円、営業利益 20.4億円 EPS 114.2円 

■2020年3月期 売上高 378億円、営業利益 17.6億円 EPS 84.6円 

■2020年12月期 売上高 214億円、営業利益 0.5億円 EPS 0.9円 変則9m

■2021年12月期 売上高 292億円、営業利益 1.7億円 EPS 12.0円 ce(2/12)
□2021年6月中 売上高 143億円、営業利益 0.8億円 EPS 5.8円 ce


2021年12月期は決算期変更にともなう9ヵ月変則決算のため前期比はないものの、売上高は214億円、営業利益は0.5億円となり、昨年11月公表の見通し水準はクリアしたものの、当初会社側想定(非公表)からは大きく下振れしたとみられます。主力の業務用厨房の製販事業は、前期末に計上予定だった大型物件の期ズレによる上乗せがあったものの、新型肺炎禍によりホテルや店内飲食メインの外食、病院向けの需要が低調だったことから、大きく後退しました。また利益面についても、人件費や研究開発費といった原価削減に努めたものの、トップラインの減少が響いて均衡圏に留まりました。


進行期である2021年12月期の通期予算については、売上高292億円、営業利益1.7億円を予想しています。12ヵ月決算復帰のため単純比較は出来ないものの、変則決算前の2020年3月期(12ヶ月)との比較では、売上高が約86億円の減収、営業利益が約16億円となり、巡航水準からは大きく下振れした厳しい状況が続く見通しです。2020年の新型肺炎禍で地方展示会への出展を控えるなど営業自粛期間があったこともあり、期初時点での受注残高は40.6億円に留まっていることから滑り出しも低調とみられるほか、「gotoトラベル」「gotoイート」といった振興策の再開時期も未だ不透明なことから、予算どおりの利益均衡圏に留まるか、下振れ可能性もあろうかと思われます。

 

当社は時限の定めのある中計及び対応する業績目標を開示していないものの、中期的な定性的取り組みとして、①グループ各社の製造・販売・保守一貫サービス体制の構築、②アフターメンテ強化、③マーケット拡大、④製品改良、⑤海外部門強化の5点を掲げており、中長期的な目標感として、売上高400億円を目指しています。

 

業容拡大のため、従来型のステン系の厨房機器に留まらない高機能商材の開発を進めており、省力化・省人化のための洗浄済食器自動仕分けロボ「フィニーボ」を開発したほか、大量の配膳・下膳作業が生じる病院・施設等での利用が想定される「自律移動搬送ワゴン」、食材や料理、果ては従業員の温度管理まで出来る厨房内管理システム「キッチンリンク」といった新商材の拡販を図っています。特にいずれも新型肺炎禍や人手不足に適した商材ではあるものの、いかんせん顧客の投資余力が枯渇しているため、当面の売上寄与は限定的とみられます。

 

同業で大手のマルゼン(5982)も外食向けで競合するものの、同社はコンビニ等の大口顧客が居るため底堅く推移している一方、外食向けのウエイトが高い当社は相対劣後を強いられている状況です。営業外のところの合理化策としては、昨年7月に南麻布本社ビルが竣工したため、今後は支払家賃が消えるものの、減価償却費でトントン(当然キャッシュは残る)となるため、P/Lインパクトは殆どないとみられます。そのため、基本的には新型肺炎禍の一刻も早い鎮静化が当社業績の最大の浮上要因であり、当面は外部環境の改善に期待するだけとなりそうです。


株主還元については、配当性向100%を超過するものの、年20円配当を据え置く見通しです。当社の時価総額は100億円程度であるものの、ネットキャッシュ約50億円を抱える超好財務企業であり、低還元を続けてきたことから自己資本比率も58%と厚く、配当(優待)余力は十分確保出来ているものと考えています。

 

*参考記事① 2020-09-09 615円 OP

【5965】フジマック/上顧客である外食業界の設備投資意欲が後退、事業環境好転待ち。

 

*参考記事② 2019-09-05 694円 OP

1Qから期ズレ確定で通期減額も、バリュー感は強い・フジマック(5965)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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