【9260】西本WismettacHD/買収した仏C3C社が通期寄与も、DX投資が重く横ばい圏。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9260】西本Wismettacホールディングス (東証1部) OP

現在値 3,000円/100株 P/E 43.0  P/B0.85  12月配当 株主優待

日本食を軸としたアジア食品・食材を米国等で販売。サンキスト・レモンの日本総代理店。
配当金は12月末一括の年20円配当のため、配当利回りは0.67%となります。

西本Wismettacホールディングスは株主優待制度を導入しており、12月末に100株以上を保有する株主に対して、3,000円相当のグルメギフトコードを進呈していますので、配当金と合計した配当優待利回りは、約1.66%となります

業績を確認していきます。
■2017年12月期 売上高 1,720億円、営業利益 63.2億円 EPS 236.4円 

■2018年12月期 売上高 1,822億円、営業利益 67.1億円 EPS 322.8円

■2019年12月期 売上高 1,826億円、営業利益 43.4億円 EPS 173.1円

■2020年12月期 売上高 1,684億円、営業利益 19.8億円 EPS 70.8円 

■2021年12月期 売上高 1,870億円、営業利益 20.0億円 EPS 69.6円 ce
□2021年6月2Q 売上高 900億円、営業利益 6.0億円 EPS 20.9円 ce

2020年12月期の売上高は前期比7.8%減の1,684億円、営業利益は同54.4%減の19.8億円で着地し、期初予算は下回ったものの、8月の修正予算比では大きく上振れて着地しました。アジア食事業については、新型肺炎禍による世界的なロックダウンにより、主力の外食向けが大きく減収となったものの、下期からは段階的緩和によりテイクアウト・デリバリー向け需要が底上げし、香港・SG・豪州・蘭を中心に一段と持ち直しました。一方、農水産商社事業については、小売業者向けの“サンキスト”等の青果販売が好調に推移し、低調な外食向けを補って概ね前期並みの数字を確保しました。

進行期である2021年12月期の予算については、売上高が11.0%増の1,870億円、営業利益は同0.9%増の20.0億円と反発を見込んでいます。アジア食事業については、主力の欧米市場の特に外食向けの戻りが鈍いものの、小売事業向けの持ち直しとC3C買収による上乗せが寄与する見通しです。また、農水産商社事業についても、柑橘系のシトラス・トロピカル商材の国内外(特に中国)での伸長が見込まれます。トップラインが2桁増となる一方で利益が微増に留まるのは、DX対応のためのロボティクス等のIT基盤投資に39億円を投じる予定のため、損益ベースでは▲27億円もの営業利益が削られることが主な要因です。


終わった2020年12月期は3年中計の最終年度となっており、当初は売上高2,290億(CAGR10%)、営業利益90億(CAGR12%)を目指していましたが、フタを開けてみればこの3年で営業利益は3分の1以下の水準になってしまいました。そのため、2020年8月にこの中計を途中でロールしており、最終年度の2022年12月期までの約2.5年間で売上高を2,224億円、営業利益を65億円までそれぞれ引き上げることとしています。営業利益は実績の3倍強となりますが、既述のとおり4~5年程前までは巡航的に達成していた水準なので、過大感の強い目標というわけではありません。

 

本中計期間の施策については、アジア食事業については単なる日本食卸売業から脱却して、マーケットイン方式で顧客意向に沿った商品を開発・ファブレスで生産することで、海外の日本食レストランだけでなく、海外現地の小売店や外食チェーン店向けにも販売していく方針です。また、医療領域にも参入し、例えばメディカルフードといったfoodtech領域の深耕を図ります。これらの取組以外では昨年MA等も実行しており、約50億円弱を投じてフランスの日本食輸入卸であるC3C社の株式70%分を追加取得するなどしています(年商約160億円/営業利益約8億円)。

 

当社は業歴70年余年の老舗食品商社ということもあり、借金約400億円に対して、手許現金を500億円保有する無借金経営を継続しており、上述のC3C買収後も自己資本比率45%弱という高い水準を維持しています。然しながらその盤石な財務体質を誇る一方、配当政策については、商社らしく業績連動配当(配当性向30%基準)としており、据置となる年20円配当を予想しています。

 

*参考記事① 2020-04-18 1,768円 OP

【9260】西本Wismettacホールディングス/外部与件厳しいが、まずは自社株買い待ちか。

 

*参考記事② 2019-11-20  3,795円 OP

米中貿易摩擦が尾を引き、想定超の低調推移・西本WismettacHD(9260)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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