【9260】西本Wismettacホールディングス/外部与件厳しいが、まずは自社株買い待ちか。 | なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

IMG_9915.jpg

【9260】西本Wismettacホールディングス (東証1部) OP

現在値 1,768円/100株 PER8.95 PBR0.48 6月配当 12月配当優待

日本食を軸としたアジア食品・食材を米国等で販売。サンキスト・レモンの日本総代理店。
配当金は6月末・12月末の年2回・合計60円配のため、配当利回りは3.35%となります。

西本Wismettacホールディングスは株主優待制度を導入しており、12月末に100株以上を保有する株主に対して、3,000円相当のグルメギフトコードを進呈していますので、配当金と合計した配当優待利回りは、約5.09%となります

業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 1,582億円、営業利益 79.9億円 EPS 360.9円
■2016年12月期 売上高 1,583億円、営業利益 73.2億円 EPS 228.0円 
■2017年12月期 売上高 1,720億円、営業利益 63.2億円 EPS 236.4円 

■2018年12月期 売上高 1,822億円、営業利益 67.1億円 EPS 322.8円

■2019年12月期 売上高 1,826億円、営業利益 43.4億円 EPS 173.1円(2/14)

■2020年12月期 売上高 2,058億円、営業利益 30.5億円 EPS 197.6円 ce
□2020年6月2Q 売上高 991億円、営業利益 13.6億円 EPS 84.5円 ce

2019年12月期の売上高は前期比0.2%増となる1,826億円、営業利益は同35.2%減の43.4億円となり、3Q時点の減額修正後予算を若干下回って着地しました。主力のアジア食事業において、北米市場や欧州市場の売上は概ね計画通り推移したものの、利益面については特に北米の物流部門経費の上昇基調が響いたほか、EU離脱の英国と豪州については為替変動の影響を大きく受ける格好となりました。農水産商社事業についても、いわゆる“サンキスト系”商材であるシトラス・トロピカルの国内販売が低調に推移したほか、中国子会社についても米中貿易摩擦の影響で米国産青果類の販売が低迷しました。

 

進行期である2020年12月期の予算については、売上高は12.7%増の2,058億円、営業利益は同29.7%減の30.5億円を予想しています。アジア食事業においては北米事業を採算重視路線に切り替えていたものの、従来通りの新規開拓と既存客の拡販に戻すとともに、商品開発や構造改革投資に注力し、利益よりも成長重視とする方針です。また農水産商社事業についても、従来の卸売りルートを確保しつつも、量販店・外食・中食・食品メーカーへのフルライン開拓を図り、販路拡大を目指す方針です。また、全社グループ的なデジタル化を促進するためのシステム投資や人材採用といった政策投資に9.5億円を投じる計画であるため、利益面は一段と後退する見通しです。


今期は3年中計の最終年度となっており、当初は今期予算で売上高2,290億円(CAGR10%)、営業利益90億(CAGR12%)を目指していましたが、フタを開けてみれば今期の予想営業利益は僅か30億円止まりなので、計画期間の3年で営業利益はむしろ半減してしまっているような有様です。当初の狙いとしては北米で自社トラック等による物流網を活かした“自社一貫商・物流(プラットフォーム)”によりエリアを拡大するとともに、4割程の売上構成比となっている自社PB“Shirakiku”を日本のナショナルブランド(メーカー)との協業で商品数・商品力をアップさせ、PB商品の売上構成比を高めていく戦略でした。

 

しかしながら、想定を超える北米での物流等コストの上昇や、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題とそれに付随する為替影響等のマクロ上のマイナス与件が大きいため、本計画期間の途中で利益成長を事実上断念し、トップライン成長と構造改革投資に舵を切った模様です。従って会社側アナウンスによれば、本中計も抜本的な見直しがなされるとのことであり、2020年6月中間決算公表時にローリング後の修正計画を再度公表する用意があるようです。

 

それでも当社は業歴70年余年の老舗食品商社ということもあり、借金約250億円に対して、手許現金を390億円保有する無借金経営を継続しており、依然として盤石の財務体質を保持しています(自己資本比率5割強)。ただ配当政策については、いかにも商社らしく業績連動の配当性向30%を基準としており、35円減配の年60円配当を予想しています。この大きな減配幅もさることながら、足許の株価が2017年9月のIPO価格(@4,750円)を大きく下回っているため、どちらかというと自社株買いの発動を期待したいところではあります。

 

*参考記事① 2019-11-20  3,795円 OP

米中貿易摩擦が尾を引き、想定超の低調推移・西本WismettacHD(9260)。

 

*参考記事② 2019-04-25 3,980円 OP

海外の日本食市場拡大も、中計目標諦め構造改革か・西本WismettacHD(9260)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


このエントリーをはてなブックマークに追加にほんブログ村