海外の日本食市場拡大も、中計目標諦め構造改革か・西本WismettacHD(9260)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9260】西本Wismettacホールディングス (東証1部) ---

現在値 3,980円/100株 PER13.1 PBR1.10 6月配当 12月配当優待

日本食を軸としたアジア食品・食材を米国等で販売。サンキスト・レモンの日本総代理店。
配当金は6月末・12月末の年2回・合計95円配当のため、配当利回りは2.39%となります。

西本Wismettacホールディングスは株主優待制度を導入しており、12月末に100株以上を

保有する株主に対して、3,000円相当のグルメギフトコードを進呈していますので、配当金

と合計した配当優待利回りは、約3.14%となります

業績を確認していきます。当社は昨年9月のIPO銘柄です。
■2015年12月期 売上高 1,582億円、営業利益 79.9億円 EPS 360.9円
■2016年12月期 売上高 1,583億円、営業利益 73.2億円 EPS 228.0円 
■2017年12月期 売上高 1,720億円、営業利益 63.2億円 EPS 236.4円 

■2018年12月期 売上高 1,822億円、営業利益 67.1億円 EPS 322.8円(2/14)

■2019年12月期 売上高 1,930億円、営業利益 60.0億円 EPS 302.2円 ce
□2019年6月中間 売上高 960億円、営業利益 29.5億円 EPS 148.2円 ce

2018年12月期の売上高は前期比5.9%増となる1,822億円、営業利益は同6.2%増の67.1億

円となり、期初予算水準での着地となりました。主力のアジア食事業において、特に北米

市場での顧客開拓と既存顧客への拡販が進んで堅調に推移したものの、米(コメ)の原料

不足により原価率が高騰したほか、物流部門における人件費や燃料費の上昇も響いて、

当該セグは増収減益となりました。一方で、農水産商社事業については、三国間取引の

アボカドが好調に推移したほか、前期に悪天候による仕入高騰の影響を受けたシトラス

・トロピカル商材が回復したため、セグメントとしては増収増益を確保しています。


進行期である2019年12月期の予算については、売上高が5.9%増の1,930億円、営業利益

は10.7%減の60.0億円を予想しています。アジア食事業については、主戦場である北米に

おける日本食マーケットの拡大基調にともない、新規顧客の獲得と既存顧客への拡販が

順調に進む見通しです。農水産商社事業については、国内卸売への販売を維持しつつ、

GMSや中食・外食、食品メーカーなどこれまで手薄だった販路への拡大を図る方針です。

ただ、これら主要2セグの順調な販路拡大が見込まれる一方、全社横断的な経費として

人材強化のための採用費の積み増しや、システム投資、オフィス移転など合計9.5億円分

を政策経費としてエクストラで見込んでいるため、これが重しとなり減益予想となります。

今期は3年中計の中間年度となっており、最終年度の2020年12月期に売上高2,290億円

(CAGR10%)、営業利益90億(CAGR12%)を目指しています。北米で自社トラック等による

物流網を活かした“自社一貫商・物流(プラットフォーム)”によりエリアを拡大するとともに、

現状で4割程の売上構成比となっている自社PB“Shirakiku”を日本のナショナルブランド

(メーカー)との協業で商品数・商品力をアップさせ、PB商品の売上構成比を高めるのが

基本戦略であり、オーガニック成長が軸となります。

 

会社側アナウンスによれば、今期の売上についてはある程度見通しが立っている模様

ですが、特に利益面については厳しい見立てをしているとみられ、既に本中計における

利益目標額を諦めることで、先行投資を進めたい意向が見え隠れしています。特に当社

が推し進める「プラットフォーム」戦略については、北米・日本・中国・東南アジア・欧州で

それぞれ分社化させ、エリア毎に最適化した商・物流スキームを別個に組もうと取り組ん

でいるため、少なくとも本中計期間はロスや先行経費が嵩むことが容易に想定されます。

 

当社は70年以上の業歴を数える老舗食品商社ということもあり、財務体質が非常に良く

借金120億円弱に対して、手許現金を285億円超も保有しており、事実上の無借金経営

となっています(自己資本比率は6割強)。そのため、豊富な資金をMAに振り向けて外部

成長することも可能ではあるものの、現時点では世界における日本食市場自体が大きく

成長しているため、“飛び道具”を使った外部成長はあまり志向していない雰囲気です。

 

そのため、配当性向30%を基準とした株主還元策にはなお拡大余地があると考えており、

今期の配当は据置となる年間95円(性向31.4%)を予想しているものの、こちらは期末にか

けて上積みされる可能性も高く、今期の配当水準は「年間100円+α円」が期待されます。

足許の株価は、2017年9月のIPO価格(@4,750円)を微妙な感じで下回っており、自社株

買いをしようにも動きずらい水準感のため、あくまで増配策で対処すると予想します。

 

*参考記事① 2018-11-05 5,350円 ---

海外の日本食レストラン激増傾向が追い風、西本WismettacHD(9260)。

 

*参考記事② 2018-04-01 4,755円 ---

日本食需要増加で、向こう3年は年率2桁成長へ・西本WismettacHD(9260)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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