【7605】フジ・コーポレーション/全国的な降雪で特需発生、株主還元は物足りぬ印象。 | なちゅの市川綜合研究所

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【7605】フジ・コーポレーション(東証一部) OP

現在値 2,312円/100株 P/E9.2 P/B 1.24 10月配当 4月株主優待

タイヤの専門店「タイヤ&ホイール館フジ」を東北・関東に直営で展開。
配当は10月末一括の35円配当であり、配当利回りは1.51%となります。

 

フジ・コーポレーションは株主優待制度を導入しており、4月末現在の単元株主に対して、5,000円の三菱UFJニコスギフトカードを進呈しておりますので、単元保有時の配当優待利回りは約3.67%となります(※1年以上の長期保有が必要)。

業績を確認していきます。 

■2018年10月期 売上高 328億円、経常利益 28.6億円 EPS 194.2円 

■2019年10月期 売上高 351億円、経常利益 37.6億円 EPS 251.9円 

■2020年10月期 売上高 342億円、経常利益 35.3億円 EPS 230.7円 

■2021年10月期 売上高 360億円、経常利益 37.0億円 EPS 249.6円 ce

□2021年1月1Q 売上高 136億円、経常利益 21.8億円 EPS 146.8円(3/5)

□2021年4月2Q 売上高 215億円、経常利益 25.5億円 EPS 171.3円 ce

2020年10月期の売上高は前期比2.6%減の342億円、経常利益は同6.1%減となる35.3億円となり、期初予算には届かなかったものの、中間時点で減額した修正予算に対しては大きく上振れして着地しました。新型肺炎による緊急事態宣言が明けた昨年のGW明けから客足が戻り歩調となり、4月に88%だった既存店売上高は5月には106%、6月には119%となったほか、7月以降は消費増税にともなうキャッシュレス5%還元策(当社は大規模事業者のため還元対象外)が終了し、他店への流出が抑えられたことから、徐々に戻り歩調となり、通期平均の同売上高は95%とまずまずの水準を確保しました。


2021年10月期の通期予算については、売上高が5.1%増の360億円、経常利益は4.8%増となる37.0億円を予想しています。去る3月5日には既に1Qの開示がなされており、売上高は前年同期比19.3%増の136億円、経常利益は同23.8%増の21.8億円で推移しているため、極めて良好な業績進捗が確認されます。2019年末の暖冬から一転して全国的な降雪によりスタッドレスタイヤの売上が好調に推移し、冬季期間のかかる1Q期間の既存店売上高は実に114%水準にまで膨れ上がりました。また実績期に2店の移転出店と1店の新規出店を実施したことから、これらの通期稼働効果が上乗せされるため、第三自動倉庫(※後述)新設にともなう償却負担増をこなして上振れペースとみられます。
 

当社は2015年までJASDAQ上場企業でしたが、2016年に東証二部から一部へ指定変更となり、二部指定の際にPOで14億円(80万株@1,868円)を調達し、タイヤ・ホイールの在庫購入費用に充てています。これは同年9月に“第3ロジスティクス”という先進物流倉庫を竣工させて在庫保管能力を増やしたことと関係していますが、当該倉庫は仕入・販売・顧客管理等を統括する基幹システムと連携させ、多品種在庫の確保と効率保管・速やかな商品発送を両立させています。またこの“第3ロジスティクス”に追加で30億円を投じ、在庫保管能力が従来の2倍となる第三(自動)倉庫を昨年9月に竣工させたため、自社内サプライチェーンがより一層強化されたことになります。

 

当社は、FCを活用して全国中への出店を目指す競合のオートバックスセブン(9832)、イエローハット(9882)(なおブリヂストン系の「タイヤ館」「ミスタータイヤマン」もメーカー系大手として存在し全国展開している)とは異なり、直営出店のみのため店舗展開力で劣後しています。昨年やっと47店目となる白河店を開業したものの、ロードサイドの出店適地物件は争奪となることが多いほか、そもそもの人手不足もネックとなっており、例年20人台の新卒採用を倍増ペースで増やして対応する方針です(新型肺炎禍による雇用悪化でこの人手不足の点は解消するとみられる)。

 

なお株主還元については、実績期の業績好調にともなう特別配当の5円を減配し、年35円配を予想しています。自己資本比率は足許ベースで66%と財務体質が非常に良いため、配当性向15%程に過ぎない現水準は明らかに還元不足のため、引き続き自社株買いや増配に期待したいと考えています。

 

*参考記事① 2020-09-30  2,323円 OP

【7605】フジ・コーポレーション/期初予算奪回はなお難しいが、客足の戻りは順調。

 

*参考記事② 2020-03-16 1,456円 BY

【7605】フジ・コーポレーション/今期は駆け込み一巡で反落気配、踏み込んだ株主還元に期待。

 

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