【9375】近鉄エクスプレス/大型機削減で運賃スプレッドが飛躍的に改善、翌期も好伸か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【9375】近鉄エクスプレス(東証一部) OP

現在値 2,742円/100株  P/E11.6  P/B1.56  3月配当優待 9月配当優待

国際航空貨物混載大手の一角。国際網充実。15年にシンガポールのAPLLを子会社化。
配当は3月末・9月末の年2回計30円配当のため配当利回りは約1.09%となります。


近鉄エクスプレスは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末に単元株以上を保有する株主に対して、500円相当のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約1.45%となります。なお、1年以上保有を継続した場合は1回あたりのクオカードが、4倍の2,000円となりますので、その場合の配当優待利回りは約2.55%までジャンプします。


業績を確認をしていきます。
■2017年3月期 売上高 4,743億円 営業利益 130億円 EPS 62.3円

■2018年3月期 売上高 5,531億円 営業利益 173億円 EPS 97.3円 

■2019年3月期 売上高 5,920億円 営業利益 207億円 EPS 136.9円 

■2020年3月期 売上高 5,445億円 営業利益 197億円 EPS 65.7円

■2021年3月期 売上高 5,700億円 営業利益 290億円 EPS 236円ce修正(2/9)

□2020年9月2Q 売上高 2,637億円 営業利益 130億円 EPS 113円

□2020年12月3Q 売上高 4,247億円 営業利益 225億円 EPS 195円 (2/9)

 

2020年9月中間期の売上高は前年同期比2.9%減の2,637億円、営業利益は同48.5%増の130億円で進捗し、予算との比較は無いものの5割に迫る大幅増益となりました。日本の航空輸出入は新型肺炎禍で自動車・エレキ関連製品が低調だったほか、海上貨物も低調となり取扱量が減少しました。また海外についても同様に、米州・欧州・中近東・東南アジアなどおしなべて自動車・エレキ製品を中心に取扱数量が減少し、横ばい圏を確保したのは東アジア・豪州のみとなり、APLL社もロックダウンの影響で大幅後退となりました。全般的に数量が大幅減となった一方で、高騰する航空原価の販売価格反映が想定超で進捗したため、利益率については飛躍的に改善しました。


進行期である2021年3月期の通期見通しについては、3Q時点で再増額しており、売上高が4.7%増の5,700億円(当初予:5,100億円)、営業利益は47.1%増の290億円(当初予:190億円)に修正しています。去る2月9日に開示済の3Qについては、売上高が前年同期比3.5%増の4,247億円、営業利益は同44.6%増の225億円と高水準で進捗しています。取扱数量は軒並み減少しているものの、ロックダウン影響の残るAPLLを除いた全域で増益を確保しており、これは旅客機減便に伴う仕入れ原価上昇を荷主への価格転嫁出来ており、運賃スプレッドが改善したことに由ります。苦戦の続くAPLLも足許では改善の兆しがみられており、航空運賃だけでなく海上運賃も高騰していることから、少なくとも今期は需給要因に支えられ強含み商状が続くとみられます。

 

今期は3年中計の2年度目となっており、KPIとして取扱数量(航空80万t・海上90万TEU)を掲げるとともに、引き続き事業規模の拡大を最優先に志向し、スケールメリットによる原価低減を狙う戦略となっています。2015年に1400億円にのぼる巨費を投じて買収したAPLLについては、システム統合や取引先との不利な取引条件の是正や、リストラ等が一巡して筋肉質な企業体に変化しているものの、拠点のシンガポールはロックダウンの影響も大きく、向こう15年は年▲60億円という重いのれん償却負担も含め、依然として足を引っ張っているような状況です。

 

現行中計の業績定量目標値については翌2022年3月期に売上高7,200億円を目指す一方、営業総利益率については16.4%で横引きしており、営業利益段階まで試算すると250億円程と試算されます。当初は野心的な計画印象でしたが、新型肺炎禍で旅客需要が戻らないとみた大手キャリアが大型旅客機の退役を進めているため、航空貨物需給が一層タイト化することとなり、状況が一変しました。IATA予想によれば旅客機数の戻りは早くても2024年とされているため、向こう2~3年は当社はその恩恵を享受する見通しであり、図らずも中計に掲げる営業利益(率)は今期中に1年前倒しで達成する公算が高くなりました。

 

株主還元については、過去数期に渡って配当金が年26円で固定されていましたが、2019年3月期に4円積み増して年30円に増配されました。長期ビジョンでは“ネット有利子負債ゼロ”という財務改善方針を新たに掲げており、今期も1Qで年30円の配当予想の据置を公表したものの、飛躍的な業績の上振れを受けて増配を検討しているとみられ、年40~50円まで増配されるものと考えられます。

 

*参考記事① 2020-09-04  2,179円 OP

【9375】近鉄エクスプレス/航空貨物運賃の上昇を追い風に、通期で底堅く上振れも。

 

*参考記事② 2020-02-22  1,928円 OP

【9375】近鉄エクスプレス/中国変調のわりに底堅いが、財務優先で低還元を志向。

 

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