【3561】 力の源ホールディングス (東証1部) OP
現在値 610円/100株 P/E --.- P/B 7.98 3月配当優待 9月配当優待
博多ラーメン店「一風堂」が柱。フードコート、ラーメンダイニング等の業態も。
配当は実績で年8円でしたが、今期は無配予想となっています。
力の源ホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末に単元株を保有する株主に対して、10%割引カードを進呈しております。また1年以上保有株主には、ラーメン1杯無料券を進呈しているため、830円の「赤丸新味」注文時における配当優待利回りは約2.72%となります。なお本食事券で同伴1名までが無料(計2杯無料、その場合の想定利回りは約5.44%)となります。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 224億円、営業利益 6.0億円、EPS 13.1円
■2018年3月期 売上高 244億円、営業利益 9.0億円、EPS 27.9円
■2019年3月期 売上高 274億円、営業利益 9.5億円、EPS 26.2円
■2020年3月期 売上高 291億円、営業利益 6.9億円、EPS▲9.0円
■2021年3月期 売上高 163億円、営業利益▲10.7億円、EPS▲96.4円 ce修正
□2020年9月2Q 売上高 70億円、営業利益▲9.1億円、EPS▲80.4円
□2020年12月3Q 売上高 120億円、営業利益▲9.3億円、EPS▲84.7円(2/12)
2020年9月中間期の売上高は前年同期比52.1%減の70億円、営業利益は同赤転(13億円の損益悪化)の▲9.3億円となりました。「一風堂」を中心とした国内の既存店売上高は、新型肺炎影響の本格化により、昨年2月から一部店舗で店休や営業時間の短縮を実施したほか、4月上旬からは順次全国で休店を実施し、全店で再開したのは7月に入ってからという慎重な対応を採ったため、上期累計では58.1%水準に留まりました。一方、海外事業についても、各国政府からの要請やロックダウンにより、米14店の延べ休業日数が1,490日達したほか、SG8店/同680日、豪州7店/590日など国内より更に踏み込んだ休業を強いられ、好採算のロイヤリティ収入が一段と減少しました。
2021年3月期の通期見通しについては、期初より未定としていましたが、3Q時点で開示に踏み切っており、売上高は前期比43.9%減の163億円、営業利益は同赤転(18億円の損益悪化)となる▲10.7億円を見込んでいます。また当社の場合、各種休業費用を特損で認識しているため、最終利益は▲23.0億円まで沈む見通しです。国内既存店売上高については、足許1月分まで開示されており、3Q(10-12)は72%水準にまで一旦持ち直したものの、年明け1月は緊急事態宣言の再発出にともない60.4%にまで低下しています。同様に海外についても、年末にかけて同78.8%水準まで急回復したものの、米・英・仏では再度全面休店を強いられているほか、豪州も座席減席措置を講じるなどしており、4Q(1-3)では再び状況の悪化がみられます。
当社は中長期的な業績の数値目標は掲げていないものの、KPIとして2025年を目処に国内300店舗(前期末158店)・海外300店舗(同133店)の展開計画しており、8年程で店舗数を2.6倍にする方針としています。国内は従業員への“暖簾分け”による出店を図るほか、海外はFC方式により短期大量出店を果たす目論見です。当社はまだ事業的に大してスケールしていないにも拘らず、高認知度を活かして、ドミナントではなくSC内フードコートのビルイン等で全国あまねく出店していることに特徴があります。その弊害として配送等の非効率ロスも依然大きく、今後は点と点の隙間を埋めるような出店で徐々に利益率を回復させていくのが基本シナリオとなります。
そのため、目下の新型肺炎禍でテイクアウトやデリバリーの強化、傘下の製麺業者である渡辺製麺が運営するEC「麺’s MARKET」でラーメン・そば・うどんの通販事業開始といった各種テコ入れ策は実行しているものの、基本的には新規出店によるスケール化が最重要施策となっています。今後は従来のような都心立地ではなく、近郊圏の小商圏やロードサイド立地への低コスト・早期回収を念頭に置いた出店を進める方針であり、足許では浅草橋店、亀有店などこれまでとは異なる立地基準での出店しています。また、合弁会社やFCを活用して15ヶ国に出店済の海外事業については、幸いにも合弁やFCが多く当社のダメージが少ないものの、新規出店は当面難しいと考えられます。
なお株主還元については、配当予想を未定から無配に修正しています。5月には主力行である西日本シティ銀らから協調融資25億円を引いて自己資本比率は2割を割り込んだほか、足許では11%水準にまで落ち込んでしまっているため、当面は財務温存が優先されるものと考えています。
*参考記事① 2020-09-19 720円 BY
【3561】 力の源ホールディングス/海外における新型肺炎の沈静化が成長軌道復帰の要件。
*参考記事② 2020-02-20 905円 BY
【3561】力の源ホールディングス/今期弱含むが、来期にも海外が国内を逆転か。
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