【3561】力の源ホールディングス/今期弱含むが、来期にも海外が国内を逆転か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3561】 力の源ホールディングス (東証1部)  BY

現在値 905円/100株 PER30.6 PBR4.84 3月配当優待 9月配当優待

博多ラーメン店「一風堂」が柱。フードコート、ラーメンダイニング等の業態も。
配当は3月・9月の年2回合計8円配当のため、配当利回りは約0.88%となります。

力の源ホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末に単元株を保有する株主に対して、10%割引カードを進呈しております。また1年以上保有株主には、ラーメン1杯無料券を進呈しているため、830円の「赤丸新味」注文時における配当優待利回りは約2.71%となります。なお本食事券で同伴1名までが無料(計2杯無料、その場合は約4.55%)となります。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 206億円、営業利益 5.0億円、EPS 6.1円 

■2017年3月期 売上高 224億円、営業利益 6.0億円、EPS 13.1円 
■2018年3月期 売上高 244億円、営業利益 9.0億円、EPS 27.9円 

■2019年3月期 売上高 274億円、営業利益 9.5億円、EPS 26.2円

■2020年3月期 売上高 300億円、営業利益 11.5億円、EPS 29.6円 ce
□2019年9月2Q 売上高 147億円、営業利益 4.4億円、EPS 16.3円 

□2019年12月3Q 売上高 222億円、営業利益 7.0億円、EPS 22.3円(2/10)

2019年9月中間期の売上高は前年同期比12.6%増の147億円、営業利益は同14.4%増の4.4億円と
なり、2桁の増収増益を確保したほか期初予算も超過しました。「一風堂」を中心とした国内の既存店売上高は102.7%となり、昨年6月に実施した一部商品の値上げのイベントを無事に通過させたほか、悪天候による営業短縮や休店による影響をこなして順調な仕上がりとなりました。また出店についても通期計画16店に対して上期で8店の出店を済ませています。一方、海外事業については、直営エリアでの出店遅れがあり、通期計画33店に対して9店(米西海岸、ベトナム、香港、インドネシア等)に留まったほか、既存店についても前期のオープン景気剥落や為替影響が重しとなり、既存店売上高はおよそ90%水準まで低迷したものの、ライセンス収入が底堅く推移したため、結局は海外事業についても予算達成となりました。


2020年3月期通期予算については期初のものを据え置いており、売上高が前期比9.3%増の300億円、営業利益は同20.1%増の11.5億円を計画しています。上述のとおり、今期の出店前提は国内16店/海外33店を計画しており、去る2月10日に開示されている3Q決算によれば、今期の出店済店舗数は国内15店/海外21店まで膨らんでおり、国内は計画通りであるものの、許認可や工事に時間を要している海外がビハインドとなっています。既存店売上高についても、1月末までの10ヶ月累計が開示されており、こちらも国内に関しては102.3%と好調に推移しているものの、海外は為替影響や豪州の山火事や香港・フランスのデモの影響を受けて94%程度の水準に留まっており、まちまちの状況となっています。かような状況や、足許の新型肺炎による影響を鑑みると会社側が据え置いた通期予算は過大感があり、未達公算が高いとみられます。


当社は2017年3月にマザーズに上場しましたが、昨年3月に一部市場へとスケジュール上は“最短”で指定替えを果たしています。中長期的な業績の数値目標は掲げていないものの、KPIとして2025年を目処に国内300店舗(前期末151店)・海外300店舗(同115店)の展開計画しており、8年程で店舗数を2.6倍にする方針としています。国内については従業員への“暖簾分け”による出店を図るほか、海外についてはライセンス方式を用いることで、短期大量出店を果たす目論見です。ただ国内については、全国に広く浅く出店していっていることから物流コストに無駄が多いほか、POS等も不完全で二重対応している点など、マーチャンダイジングにロスが多く、売上伸長のわりに利益率の改善が進んでいないことが中期的な課題(伸びシロ)となっています。


海外の展開状況については、合弁会社やFCを活用して既に海外15ヶ国に出店済みであり、こうしたライセンス方式の多用もあって、各国において概ね採算水準にまで乗せているとみられます。海外事業の売上高は、2017年3月期を起点に【48.5億円→62.4億円→85.7億円→100.3億円(予】と、順調に成長しているため、このままグローバル外食銘柄として成長し続け、バリュエーションされ続けるかどうかが当社の主な投資論点となります。足許の内外の店舗数は計293店(国内163店・海外130店)となっており、店舗数についても早ければ来期中にも海外が国内を追い抜く見通しであるほか、ライセンス方式が多く好採算の海外はセグメント利益でも逆転する可能性があります。

 

なお、株主還元については、据置の年8円を予定しており、これで配当性向30%近傍の水準なので、自己資本比率の26.4%を考慮すれば妥当と判断されます。当社の場合、海外への直営出店や物流周りのサプライチェーン改革、自社工場設立といったことなどまだまだ資金需要があるため、還元水準は妥当か出し過ぎであり、これ以上余計な吐き出しをしないでほしいと思います。

 

*参考記事① 2019-07-27 956円 NT

国内出店一服も、ライセンス中心の海外は拡大・力の源ホールディングス(3561)。

 

*参考記事② 2019-02-27  800円 OP

“グローバル・フードライセンス銘柄“の前評判復活なるか、力の源ホールディングス(3561)。

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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