国内出店一服も、ライセンス中心の海外は拡大・力の源ホールディングス(3561)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3561】 力の源ホールディングス (東証1部)  NT

現在値 956円/100株 PER32.2 PBR5.22 3月配当優待 9月配当優待

博多ラーメン店「一風堂」が柱。フードコート、ラーメンダイニング等の業態も。
配当は3月・9月の年2回合計8円配当のため、配当利回りは1.00%となります。

力の源ホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末に単元株を保有

する株主に対して、10%割引カードを進呈しております。また1年以上保有株主には、食事

券(ラーメン1杯無料)を進呈しているため、800円の「赤丸新味」注文時における配当優待

利回りは約2.51%となります。なお本食事券で同伴1名までが無料(計2杯無料)となります。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 206億円、営業利益 5.0億円、EPS 6.1円 

■2017年3月期 売上高 224億円、営業利益 6.0億円、EPS 13.1円 
■2018年3月期 売上高 244億円、営業利益 9.0億円、EPS 27.9円 

■2019年3月期 売上高 274億円、営業利益 9.5億円、EPS 26.2円

■2020年3月期 売上高 300億円、営業利益 11.5億円、EPS 29.6円 ce
□2019年9月2Q 売上高 144億円、営業利益 4.2億円、EPS 12.6円 ce

2019年3月期の売上高は前期比12.3%増の274億円、営業利益は同5.8%増の9.5億円と

なり、トップラインは2桁成長を確保したものの、予算比未達となりました。「一風堂」を中

心とした国内の既存店売上高が、猛暑や台風・豪雨による営業停止影響もあり、予算の

前提100%のところ、96.8%に留まったことが主な要因です。一方、海外事業については、

米国西海岸での出店遅れがあったものの、中国に9店、タイに8店、フィリピンに4店など

合計で33店もの出店を果たし、海外の総店舗数は115店まで激増させたほか、既存店

についても通期で100.5%と堅調に推移したため、全社業績を厚く下支えしました。特に

海外はライセンスが多く、ロイヤリティ収入増加により利益面は一段増となっています。


進行期である2020年3月期通期の予算については、売上高が前期比9.3%増の300億円、

営業利益は同20.1%増の11.5億円を予想しています。今期は国内出店13店(純増)、海外

出店31店(純増)を計画しており、国内については無理に出店せずに5~10店程の既存店

で改装を実施してテコ入れを図る一方、海外についてはベトナムやオセアニア(NZ)への

出店を計画しており、ライセンス店舗増加により利益率の更なる良化を見込んでいます。

なお、既存店売上高については、すでに6月末までの3ヶ月累計が開示されており、国内

については102.1%で推移しているものの、海外は為替影響を大きく食らって、およそ95%

程度の水準に留まっているため、期初計画比ではややビハインド気味かと思われます。


当社は2017年3月にマザーズに上場しましたが、昨年3月に一部市場へとスケジュール

上は“最短”で指定替えを果たしています。中長期的な業績の数値目標は掲げていない

ものの、KPIとして2025年を目処に国内300店舗(前期末151店)・海外300店舗(同115店)

の展開計画しており、8年程で店舗数を2.6倍にする方針としています。足許ではやや抑

制気味ではあるものの、国内については従業員への“暖簾分け”による出店を図るほか、

海外についてはライセンス方式を用いることで、短期大量出店を実現する目論見です。

見えがかり上は出店が順調で、かつロイヤリティ方式で採算性のよい海外展開の方が

順調に見えますが、国内は全国的に出店するわりに、未だマーチャンダイジング面には

あまり手が付いておらず、ロスが多い分、採算悪化している要因があるので、なお原価

部分でコスト削減余地があるものとみられます。


なお、海外の展開状況については、合弁会社やFCを活用して、既に海外14ヶ国に出店

済みであり、各国において概ね採算水準に乗せているとみられることから、本邦外食企

業としては異例の成功を収めています。海外事業の売上高は、2017年3月期を起点に

【48.5億円→62.4億円→85.7億円→100.3億円(予】と、イマイチ伸び悩む国内を尻目

順調な拡大が確認出来るため、当社の投資論点はこの海外の伸び分となりますが、

いかんせん構成比はまだ国内の半分なので、そこをどう見るかということになります。

 

ちなみに株主還元については、据置の年8円を予定しており、これで配当性向30%近傍

の水準なので、自己資本比率の26.4%を考慮すれば妥当と判断されます。今後は物流

周りのサプライチェーン改革や、自社工場とかそういった投資も必要になるかと思いま

すので、余計な吐き出しをせずに内部留保してほしいと考えています。

 

*参考記事① 2019-02-27  800円 OP

“グローバル・フードライセンス銘柄“の前評判復活なるか、力の源ホールディングス(3561)。

 

 

会社四季報 2019年3集夏号

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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