“グローバル・フードライセンス銘柄“の前評判復活なるか、力の源ホールディングス(3561)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3561】 力の源ホールディングス (東証1部) ---

現在値 800円/100株 PER28.0 PBR4.30 3月配当優待 9月配当優待

博多ラーメン店「一風堂」が柱。フードコート、ラーメンダイニング等の業態も。
配当は3月・9月の年2回合計8円配当のため、配当利回りは1.00%となります。

力の源ホールディングスは株主優待制度を導入しており、3月末・9月末に単元株を保有

る株主に対して、10%割引カードを進呈しております。また1年以上保有株主には、食事

券(ラーメン1杯無料)を進呈しているため、800円の「赤丸新味」注文時における配当優待

利回りは約3.00%となります。なお本食事券で同伴1名までが無料(計2杯無料)となります。

業績を確認していきます。
■2016年3月期 売上高 206億円、営業利益 5.0億円、EPS 6.1円 

■2017年3月期 売上高 224億円、営業利益 6.0億円、EPS 13.1円 
■2018年3月期 売上高 244億円、営業利益 9.0億円、EPS 27.9円 

■2019年3月期 売上高 272億円、営業利益 10.1億円、EPS 28.6円 ce
□2018年9月2Q 売上高 131億円、営業利益 3.9億円、EPS 16.4円

□2018年12月3Q 売上高 202億円、営業利益 7.0億円、EPS 22.3円(2/7)

2018年9月中間期の売上高は前年同期比11.4%増
の131億円、営業利益は同7.4%増の

3.9億円となり、トップラインは2桁成長を確保したものの、予算比では未達となりました。

「一風堂」を中心とした国内の既存店売上高が、猛暑や台風・豪雨による営業停止影響

もあり、予算前提100%のところ、95.2%に留まったことが主な要因です。一方、海外事業

については米国西海岸での出店遅れがあったものの、既存店を中心に全展開エリアで

好調に推移し、売上高・利益ともに予算を上回りました。ただ全社トータルではウエイト

の大きい国内事業の穴を埋めるには至りませんでした。


なお2019年3月期通期の予算については、上記2Q決算の公表前に早々に修正しており、

売上高は前期比11.4%増の272億円(従予:280億円)、営業利益は同11.8%増の10.1億円

(従予:11.5億円)へと其々減額しています。今期は国内出店22店・海外出店33店の計画

となっていますが、2月上旬に既に開示されている3Q決算によれば、今期の出店済店舗

数は国内16店・海外23店となっており、上期の出店遅れを巻き返して、概ね計画通りの

出店が進捗している模様です。柱の国内「一風堂」の既存店売上高も、既に10ヶ月累計

値まで開示されていますが、上期末時点よりも110bp.改善して96.3%まで持ち直しており、

引き続き海外が好調な点も考慮すると、減額予算水準での通期落着が見込まれます。


当社は2017年3月にマザーズに上場しましたが、昨年3月に一部市場へとスケジュール

上は“最短”で指定替えを果たしています。中長期的な業績の数値目標は掲げていない

ものの、KPIとして2025年を目処に国内300店舗(前期末142店)・海外300店舗(同82店)

の出店を計画しており、8年程で店舗数を2.6倍にする方針です。当社の事業ドメインは

ラーメン店であり、業種的にFC展開がしやすいほか、従業員の“暖簾分け”による出店

が一定数見込めるため、出店を進めやすいのがポイントであり、それに加えてFC店舗

比率の増加による主に利益面での安定化が期待されます。また、マーチャンダイジング

にもさほど手が付いていないため、効率化による利益改善(筋トレ)余地がありそうです。


また、海外については、合弁会社やFCを活用して、既に海外14ヶ国に出店済みであり、

出店間もないミャンマー、ベトナム、NZを除く11ヶ国が採算水準に乗っているような状況

であるため、本邦外食企業としては異例の成功を収めています。海外事業の売上高は、

2017年3月期を起点に【48.5億円→62.4億円→83.8億円(予】と、ハイピッチの伸びが続く

公算であり、全社の事業構成比でも3割に届こうかという勢いです。足許のインバウンド

の増加傾向についても、当社の重点出店注力エリアである東南アジアからの観光客が

帰国後に「一風堂」を選好することも考慮すると、中長期的には“追い風”となり得ます。

 

・・ということで、当社がIPOしたての頃、単なるラーメン屋ではなくブランドとライセンス

活用して海外を中心に稼ぐ“ラーメン屋の皮を被ったグローバル・フードライセンス銘柄”

として、株価面で過大なプレミアム評価を受けただけのポテンシャルは依然保持している

ものと考えていますが、その背後では創業者である河原氏がまた社長に出戻ってきたリ、

平取に降格して国内事業の陣頭指揮を執っていた清宮前社長は3月末に退任予定だっ

たりと、エグゼキューションがあまり期待出来ないので、まずは今期の減額後予算を確り

達成出来るかどうかを見極めたいと思います。

 


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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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