【9262】シルバーライフ/すかいらーくから買収した工場はフル生産に到達、第2工場竣工待ち。 | なちゅの市川綜合研究所

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「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
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当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

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【9262】シルバーライフ(東証一部)  OP

現在値 2,092円/100株 PER48.6 PBR5.12 7月配当優待 1月配当 株主優待なし

高齢者向けの配色サービスのFC本部運営が柱。高齢者施設への食材販売、冷食OEMも。

 

配当基準日は7月末ですが、配当実績は無く引き続き無配予想となっています。
シルバーライフは株主優待制度を導入しておりません。

業績を確認していきます。
■2017年7月期 売上高 52.4億円、営業利益 4.7億円 EPS 47.1円 

■2018年7月期 売上高 65.4億円、営業利益 5.9億円 EPS 43.7円 

■2019年7月期 売上高 78.0億円、営業利益 8.8億円 EPS 60.2円 

■2020年7月期 売上高 88.3億円、営業利益 9.3億円 EPS 63.8円 

■2021年7月期 売上高 95.3億円、営業利益 6.5億円 EPS 43.0円 ce 

□2021年1月2Q 売上高  47.1億円、営業利益 4.5億円 EPS 29.9円 ce 


2020年7月期の売上高は前期比13.2%増の88.3億円、営業利益は同5.6%増の9.3億円となり、ほぼ期初予想の水準で着地しました。主力のFC向け販売については、加盟店数が同105店増の834店に増加したことによる拡販効果により、昨年4月からの商品値下げによる押し下げを相殺して2桁成長を果たしました。また、高齢者施設向けについても同様に、契約施設が同628施設増の6,057施設に1割程増加したものの、チルドから冷凍へのシフトに伴いバラ売り方式を廃止したことにより此方は減収となりました。一方、OEM他については、主要販売先であったウェルネスダイニングの仕入先見直しの影響を受けたものの、広宣費を積み増して直販に切り替えた結果、想定超の売上伸長となり、低調だった高齢者施設向けをカバーしました。


進行期である2021年7月期の予算については、7.9%増の95.3億円、経常利益は同30.4%減の6.5億円と3割もの減益を予想しています。主力のFC向け販売については、加盟店数を50~60店積み増す計画であり、約1割弱の増収を見込んでいます。また、高齢者施設向けもバラ売り方式廃止の影響を引きずるものの冷食販売開始で底入れを見込むほか、OEM他についても直販割合の伸長で続伸を見込んでいます。全セグメントで増収予想にも拘らず減益予想となるのは、年明け1月に竣工・稼働開始予定の足利新工場の減価償却費と一過性費用発生で3.5億円もの原価増が利益の大きな押し下げ要因となっています。


当社は進行期より新中計を開始しており、5年後の2025年7月期に売上高140億円(CAGR10%)、営業利益16.0億円(CAGR11%)を業績“目標”としてセットしたほか、その手前の3年後の2023年7月期にに売上高115億円(CAGR9%)、営業利益11.0億円(CAGR9%)を業績“予想”としてマイルストン値も併せて開示しています。本中計最大のポイントは37億円の巨費を投じた足利工場(第2工場)の竣工を年明けに控えており、2013年にすかいらーくから買収した館林工場(第1工場)のおよそ4倍の生産能力となる1日15万食を製造することが出来るようになるため、この工場の立ち上がりと生産能力拡大にともなう拡販が鍵となります。

 

また、巨大な足利工場は竣工時点の設備で年3.5億円もの償却費負担増(機械は定率償却)が発生することから、軌道に乗ってこない中計序盤ほど負担が重く、本格的な業績寄与は3年度目以降となる見通しであり、多額の費用先行となる見通しです。それでも当社は相次ぐ設備投資によりこの1年半で生産能力を2倍にしたにも拘らず、既に製造限界を迎えていることから広告も止めて受注を抑えにいっているような状況であるため、拡販についても当面問題なく推移すると考えられます。特にOEM他を中心とする冷凍弁当分野は首位の日清医療食品や、ファンデリー(3137)といった同業もまだまだスケールしておらず、当社はamazonや自社サイトを活かした直販と弁当自体の価格競争力(安価)で、市場自体の成長だけでなくこれら他社からシェアを奪って複次的に成長することが期待されます。


財務面については、目下は無借金で自己資本比率80%弱となっているものの、本中計向こう5年間で約50億円の投資(第1工場、第2工場、冷凍倉庫、システム)を計画しているような状況です。そして手元現金の20億円だけでは37億円を必要とする第2工場の引渡しすら受けられないため、別途20億円程度の新規借入を起こすものと考えられます。かような状況から、まだまだ資金需要が強いことが明らかであるため、向こう数年は財務温存のため無配が継続するものとみています。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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