【3493】伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人/春先に続くPO実施も、パイプラインが枯渇。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3493】伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人(東証REIT) NT

現在値 129,100円/1株 PER29.7 P/NAV1.07 1月分配 7月分配 投資主優待なし

伊藤忠商事をスポンサーとする物流REIT。ポートフォリオの2割まではその他不動産も取得可。
予想分配金は年2回の合計4,928円配のため、予想分配金利回りは約3.84%です。

業績を確認していきます。

■2019年1月期_第1期 営業収益 13.0億円、経常利益 5.2億円 DPU 1,729円 

■2019年7月期_第2期 営業収益 17.1億円、経常利益 7.3億円 DPU 2,311円 

■2020年1月期_第3期 営業収益 17.5億円、経常利益 7.6億円 DPU 2,395円 

■2020年7月期_第4期 営業収益 24.0億円、経常利益 10.4億円 DPU 2,425円(9/14) 

□2021年1月期_第5期 営業収益 26.1億円、経常利益 11.6億円 DPU 2,508円 ce修正(11/9) 

□2021年7月期_第6期 営業収益 30.6億円、経常利益 13.3億円 DPU 2,455円 ce修正(11/9) 

 

2020年7月期_第4期の営業収益は第3期比36.4%増となる17.5億円、経常利益が同33.7%増の10.4億円となり、分配金についても同30円増となる2,425円となり、こちらは期初予想との比較でも43円の上振れとなりました。2月に実施した1st_PO取得物件である「柏2(70%)」「印西(20%)」が増収寄与する一方で、2019年4月取得物件である「印西(15%)」「守谷2」の固都税費用化開始や、投資主総会開催費用、新株発行費用といった一過性質の費用があったため減配は免れない見通しでしたが、新型肺炎禍で総会規模を縮小したほか、調達金利の削減により原価を削減し、結果的には上振れ着地となりました。なお分配金のうちOPD(利益超過分配)も第3期比で25円積み増して294円を掃き出す予想をしていましたが、EPUベースでの上振れを原資にこのうち一部を相殺し、287円へ圧縮しています。


2021年1月期_第5期の予算については、営業収益が第3期比8.7%増の26.1億円、経常利益は同11.5%増の11.6億円を予想しています。分配金については同83円増の2,508円の増配予想となっているものの、そのうちOPDについては同306円も積み増しており、578円を予定しています。11月に実施した2nd_PO(※後述)の取得物件である「印西2」「柏2(30%)」が一部寄与するほか、第4期期中取得の「印西(20%)」が通期寄与することが主な増収要因となります。但し、PO取得の2物件は2ヵ月強しか当期に収益貢献しない一方、増資による希薄化だけはモロに効く格好となるため、分配金へのマイナス影響を極力抑えるためにOPDを大きく膨らませ、期初予想水準を維持しています。

 

当法人は本年2月に上場来初めてとなるPOにより145億円(@116,350円)を調達し、「柏2(70%)」「印西(20%)」の2物件を計252億円で取得しましたが、去る11月にも2nd_POを実施し、追加で105億円(@133,344円)を調達しています。即時取得物件は「印西2」53.6億円/鑑定NOI5.0%、「柏2(30%)」87.2億円/鑑定NOI4.6%の2物件であり、翌第6期に「東京足立」109.1億円/鑑定NOI4.2%、「(三芳」23.2億円/鑑定NOI5.0%の残り2物件を取得する予定となっています。わざわざ期分けしたのは伊藤忠商事の決算対策と考えられ、巡航期ベースの分配金年成長率(想定)は+5.1%とアクリーティブな内容ではありましたが、他物流REITのPO被りや年2回目の大型PO及び希薄化が嫌気されたことから、想定発行価格を大きく下回る値決めとなりました。そのため、プレミアム効果が薄れLTV水準が想定よりも下がらなかった模様です。

 

LTVを当面の上限である45%水準として取得余力を洗い替えると、今次POにより95億円まで取得余力を確保した計算となりますが、相次ぐ大型POによる物件枯渇により、成長原資となる伊藤忠商事からの物件パイプラインで名有りとなっているものが非常に少ない(残り3物件・延床90千㎡)点が当法人の最大のネックとなります。そのため、中期目標としてAUM2,000億円(現在は1,142億円)を掲げているものの、こちらの達成についてはかなり先となりそうです。

 

*参考記事① 2020-06-06  133,700円 NT

【3493】伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人/何は無くともパイプラインの拡充が待たれる。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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