【3493】伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人/何は無くともパイプラインの拡充が待たれる。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3493】伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人(東証REIT) NT

現在値 133,700円/1株 PER31.05 P/NAV1.16  1月分配 7月分配 投資主優待なし

伊藤忠商事をスポンサーとする物流REIT。ポートフォリオの2割まではその他不動産も取得可。
予想分配金は年2回の合計4,879円配のため、予想分配金利回りは約3.65%です。

業績を確認していきます。

■2019年1月期_第1期 営業収益 13.0億円、経常利益 5.2億円 DPU 1,729円 

■2019年7月期_第2期 営業収益 17.1億円、経常利益 7.3億円 DPU 2,311円 

■2020年1月期_第3期 営業収益 17.5億円、経常利益 7.6億円 DPU 2,395円 

■2020年7月期_第4期 営業収益 24.0億円、経常利益 10.1億円 DPU 2,382円 ce 

■2021年1月期_第5期 営業収益 24.5億円、経常利益 10.7億円 DPU 2,497円 ce 

 

2020年1月期_第3期の営業収益は第2期比2.4%増となる17.5億円、経常利益が同3.7%増の7.6億円となりました。分配金については同84円増となる2,395円となり、こちらは期初予想との比較でも29円の上振れとなりました。トップラインと原価で入れ繰りとなる水光熱費が減少したものの、そのほかは概ね想定通りとなり、修繕費の削減が寄与する形で若干上振れました。なお分配金のうちOPD(利益超過分配)も第2期比で23円積み増して284円を掃き出す予想をしていましたが、EPUベースでの上振れを原資にこのうち一部を相殺し、269円へと圧縮しています。


2020年7月期_第4期の予算については、営業収益が第3期比36.7%増の24.0億円、経常利益は同33.6%増の10.1億円を予想しています。分配金については同13円減の2,382円の減配予想となっており、うちOPDについても同25円積み増し294円を予定しています。2月に実施した1st_PO(※後述)取得物件である「柏2(70%)」「印西(20%)」が増収寄与する一方で、2019年4月取得物件である「印西(15%)」「守谷2」の固都税費用化開始や、投資主総会開催費用、新株発行費用といった一過性質の費用が重く、新投資口希薄化がヒットするEPUベースでは補えない見通しです。

 

当法人は本年2月に上場来初めてとなるPOにより145億円(@116,350円)を調達し、「柏2(70%)」「印西(20%)」の2物件を計252億円で取得しました。発行済投資口数が36%増えるメガトンPO案件であり、NAVスレスレだったものの、ローンチ時のインプライド・キャップレートである4.5%を超過する鑑定NOI4.8%での取得となったほか、財務レバレッジを“使う”形で、LTVを39.5%→40.9%水準まで引き上げることで、標準化ベースの分配金を期当たり2,310円→2,407円(+4.2%)へ成長させる組み立てになっていました。そしてこのディール内容が評価され、想定よりも高い株価で値付けされたため、結果として足許のLTVは39.6%程に留めることに成功しています。

 

そのため、LTVは当面の上限とする45%まで85億円分の取得余力を確保しており、レバを効かせるだけでも、年率換算で4~5%程度の分配金成長は当面達成可能にあろうかと考えております。ネックとなるのは成長原資となる伊藤忠商事からの物件パイプラインで名有りとなっているものが非常に少ない(5物件・延床158千㎡)点であり、物件も足立や市川塩浜といった物流適地の物件が多く、利回りも潰されるため、LTV引き上げとOPD活用を絡めながらPOを実施して外部成長を図るものとみられます。なお当法人は中長期的な目標として、AUM2,000億円(現在は841億円)を掲げているものの、こちらの達成はかなり先となりそうです。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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