【3193】鳥貴族/業績未定・出店ゼロ圏だが、社員暖簾分け用に小型業態を開発。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3193】鳥貴族(東証一部)  OP

現在値 1,384円/100株 PER--.- PBR2.83 7月配当優待 1月配当優待

居酒屋「鳥貴族」の飲食店舗の運営及びフランチャイズ展開。
配当基準日は1月末・7月末ですが、期末実績ベースでは無配に転落しています。

鳥貴族は株主優待を実施しており、1月末・7月末現在の単元株主に対して1,000円分の優待券を進呈していますので、配当優待利回りは約1.44%となります。

業績は下記の通りとなっております。 
■2017年7月期 売上高 293億円、経常利益 14.2億円 EPS 83.5円 

■2018年7月期 売上高 339億円、経常利益 16.1億円 EPS 57.1円 

■2019年7月期 売上高 358億円、経常利益 11.4億円 EPS▲24.7円 

■2020年7月期 売上高 275億円、経常利益 9.5億円 EPS▲65.8円 ce

■2021年7月期 売上高 (未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS(未定)円 ce
□2021年1月2Q 売上高 145億円、経常利益▲5.0億円 EPS▲60.4円 四e

2020年7月期については、期中で予算を未定に変更していましたが、売上高は前期比23.2%減の275億円、経常利益は同16.5%減の9.5億円で着地しました。年明けからの新型肺炎の影響により、4月・5月のほぼ2ヶ月弱に渡って直営全店をクローズしていたほか、営業再開後も営業時間短縮を強いられたことや、その後の客足の戻りも鈍かったことから、比較的好調だった上期の貯金を食い潰す格好で、通期の既存店売上高は79.0%(期初の前提は99.3%)水準で落着しました。出退店については、FCで1店の出店があったものの、不採算店を中心に31店の閉店を実施したため、総店舗数は前期末比30店減の629店となりました。

 

進行期である2021年7月期の予算については、新型肺炎鎮静化の見通しが不透明なことから、期初段階から未定としています。出退店についても、出店はほぼゼロとなる可能性が高い一方、不採算店の閉鎖が一層進むとみられるため、総店舗数の純減基調が続くものと考えられます。既存店売上高については、既に期初の3ヶ月分(8-10月)が開示されており、累計で75.8%となっています。最新の10月単月では93.1%にまで回復していますが、これは全店舗の営業時間の復元や「go toイート」による嵩上げがあるため、足許の事業環境はこれより悪化しているものと考えられることから、1Q業績は(悪いながらも)まずまず仕上がることが期待される一方、通期業績は水面下に沈む公算が高そうです。


今年度は5年中計の2年度目となっており、最終年度の2024年7月期に売上高450億円、営業利益8%(36億円)を定量目標として定めています。今次中計は従前のものを途中で断念してリバイスしたものですが、当初半年間ほどは好調だったものの、不幸にも新型肺炎の影響を受け、出端をくじかれたような格好となりました。中計の骨子としては、所謂“アメーバ経営”の採用により、各店舗・エリア・統括といった各経営階層毎の採算管理を厳格化するとともに、ドミナント形式による積極出店施策の裏で進んでいた自社競合を不採算店の閉鎖により間引き、その閉鎖した分の店舗を未進出エリアに出店していく方針となります。これまで大阪圏・首都圏・中京圏の主要3エリアに絞っていましたが、既に出店を果たした茨城県をはじめ、北関東圏にまで店舗網を広げていく方針です。

 

新型肺炎禍における取組としては、テイクアウト販売を推進しており、既に直営300店の殆どで対応しているほか、“昼飲み”の対応店舗を61店に増やしており、営業時間を11時~15時に前倒してランチ・ハッピーアワー時間帯の囲い込みに取り組んでいます。特に在宅勤務の潮流は当面続くとみられることから、郊外店を中心にかような施策により売上補填を進める方針です。それと同時に新型肺炎禍で低下しがちなモチベーション向上施策の一環として、暖簾分け店舗用の新屋号「鳥貴族〇〇家」を開発し、独立した社員の名前を冠することが出来るようにしており、店舗面積も12坪(カウンター18席)と設備投資も少なくて済む小規模フォーマットとしています。

 

財務状況については、二部上場時のPO(約18億円)でエクイティ調達をしたほか、4月末に取引3行から25億円、6月末に2行から追加で40億円を借入し、更に別途40億円のコミラインを引いています。そのため資金繰りについては十分な手当がなされており、資本と借入の入れ繰りがあるものの、自己資本比率も依然として30%弱の水準をキープしています。配当についても未定としていますが、当社はそもそも還元意向が強くないので、このまま無配を継続する可能性の方が高いとみられます。

 

*参考記事① 2019-05-30  1,961円 OP

【3193】鳥貴族/新中計の出端を挫かれるも、採算性の良化傾向が顕著。

 

*参考記事① 2019-12-10 2,275円 OP

不採算店の閉鎖一巡で、やや持ち直しの機運・鳥貴族(3139)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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