【3140】イデアインターナショナル/“廉価版バルミューダ”、としての立ち位置も確立か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3140】イデアインターナショナル (東証JQG) OP

現在値 844円/100株 PER115.3 PBR2.76 6月配当株主優待  

インテリア雑貨や旅行用品等の企画、卸・小売り。RIZAPグループ傘下。
配当は6月一括の4円配当のため、配当利回りは0.47%となります。

イデアインターナショナルは株主優待制度を導入しており、単元株以上を保有する6月末の株主に対して、9,000円分のグループ商品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約11.17%となります。

業績を確認していきます。
■2017年6月期 売上高 72.0億円 営業利益 4.0億円 EPS 24.8円 

■2018年6月期 売上高 90.1億円 営業利益 4.1億円 EPS 20.9円 

■2019年6月期 売上高 151億円 営業利益 6.2億円 EPS 11.7円 

■2020年6月期 売上高 152億円 営業利益 7.4億円 EPS 13.2円 

■2021年6月期 売上高 157億円 営業利益 5.0億円 EPS 7.3円 ce

□2020年9月1Q 売上高 38.3億円 営業利益 2.7億円 EPS 10.8円(11/12) 

2020年6月期の売上高は前期比0.7%増の152億円、営業利益は同18.6%増の7.4億円となり、売上は若干未達だったものの2割弱の増益を果たしました。主力の製造卸売事業においては、主力ブランド「ブルーノ」において、中国市場の“独身の日”に記録的な売上を記録したほか、商品別では新色の銀色を投入したホットプレートが順調に推移したほか、ムーミンに代わってスヌーピーの販売権を取得したことから、3月よりホットプレートの新製品を発売したことが寄与しました。旅行用品主体の「ミレスト」についても、仏文房具類ブランドのPAPIER TIGREの販売権取得によりトートバッグ等を発売しましたが、新型肺炎影響による旅行需要減少の影響を受けました。またリテール事業についても、実店舗融合を推進しているEC分野がAWS障害の影響を受けつつも、前年同期比200%超と大幅増となりました。

 

進行期である2021年6月期の予算については、売上高が前期比2.8%増の157億円、営業利益は30.3%減の5.0億円と増収ながらも大幅減益を予想しています。巣ごもり需要の増加を背景に、旗艦ブランドの「ブルーノ」については好調継続が期待され、主力製品のホットプレートについてもクリスマスシーズンに新色のスレートブラックを投入する計画です。その一方で旅行用品の「ミレスト」については、gotoトラベルといった支援要素もあるものの期を通じて低調な推移が見込まれるため、好調な「ブルーノ」で何処まで全社業績を押し上げられるかが肝となります。なお、11月12日に開示済の1Qによれば、売上高は前年同期比変わらずの38.3億円ながらも、営業利益については同4.8倍の2.7億円と高進捗をマークしており、期初から減益予想の通期予算の上振れ着地に期待が高まります。

 

当社は毎期ローリング方式の3年中計を策定しており、従前公表中計では2022年6月期を目処に売上高を151→185億円(CAGR7%)、営業利益を6.2→8.7億円(CAGR12%)へそれぞれ伸長させる計画をしていましたが、新型肺炎の影響を合理的に見込むことが難しいことから、今次本決算時でのローリングを見送っています。終わった2020年6月期については、売上・各段階利益ともに過去最高を更新しているため、会社側は相応の手応えを感じているとみられるものの、一旦は保守的に“棚上げ”したような格好となります。

 

足許の状況としては、自社ECが依然として記録的な伸びを続けており、直近1Q時点のEC売上高は前年同期比191%の8.4億円をマークしているため、年内にも自社EC売上が実店舗売上を超えることが確実な情勢となっています。そのためこのECへのシフトにより新型肺炎の影響を受けずらくなるほか(むしろ追い風)、売りたい好採算のPB商品に集中的にネット広告費を投じることで、更なる採算性の良化が期待されます。商品面においては、本年2月に競合のバルミューダ(6612)製品のおよそ半額となるスチーム&ベイクトースターを投入しており、ある意味では“廉価版バルミューダ”としての立ち位置も確立しつつあるような印象も受けます。

 

また財務的観点では、2017年8月の高値圏での公募増資により約28億円(@1,247円)の資金調達に成功しており、このうち16億円を投じてインテグラルらから大手バッグOEM会社のシタカ(年商約47億円)を買収し、業容を拡大しています。当社はかねてより株主還元(配当)を絞っており、今期も年4円配当を据え置いて財務を温存(自己資本比率44.7%)しているような状況のため、今後もこのようなMAを通じた外部成長にも期待がかかります。

 

*参考記事① 2020-05-14 963円 NT

【3140】イデアインターナショナル/巣ごもり需要期待も、上期の在庫削減による欠品が惜しい。

 

*参考記事② 2019-11-26 911円 NT

EC高成長も中計を大幅減額、RIZAP身売り遠のく?イデアインターナショナル(3140)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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