【9612】ラックランド(東証1部) NT
現在値 2,304円/100株 PER36.8 PBR2.21 12月・6月配当優待 3月・9月優待
食品、飲食業向け主力の店舗企画、設計、施工会社。メンテナンスに強み。
配当は6月末・12月末の合計25円配当のため、配当利回りは約1.09%となります。
ラックランドは株主優待制度を導入しており、6月末・12月末時点で単元株以上を保有する株主に対して、3,000円分の東北地方特産品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.68%となります。なお、3月末・12月末現在の単元株主に対して、ギフトクーポン(割引)券も発行しておりますので、そちらもフルに利用した場合の利回りは約5.85%となります。
業績を確認をしていきます。
■2016年12月期 売上高 349億円 経常利益 11.1億円 EPS 90.9円
■2017年12月期 売上高 311億円 経常利益 9.6億円 EPS 89.1円
■2018年12月期 売上高 428億円 経常利益 4.0億円 EPS 11.4円
■2019年12月期 売上高 403億円 経常利益 10.4億円 EPS 111.7円
■2020年12月期 売上高 430億円 経常利益 12.5億円 EPS 62.5円 ce
□2020年6月2Q 売上高 196億円 経常利益 6.0億円 EPS 29.2円
□2020年9月3Q 売上高 268億円 経常利益▲0.4億円 EPS▲16.2円(10/30)
2020年6月中間期の売上高は前年同期比22.9%増の196億円、経常利益は黒転の6.0億円となり、売上高は期初予算比で若干未達ととなったものの、利益はやや上振れて進捗しました。単体の店舗内装事業においては、主要顧客であるスーパー等部門が新型肺炎禍における食品需要の増加により内装・設備工事の需要が増加して堅調に推移したほか、逆風が強かった外食等部門についても前期の期ズレ案件や、東京五輪をターゲットにしていたそもそもの受注案件の顕在化が多かったことから3割を超えるセグメント増収を果たしています。また、ストック型の保守メンテナンス事業は前期末より約1,600件増の16,200件超となり、全社業績を下支えしました。
2020年12月期の通期予算については、期初開示のものを据え置いており、売上高が前期比6.5%増の430億円、経常利益は19.6%増の12.5億円を予想しています。期初時点から主要2部門(スーパー等、外食等)の引渡時期が4Qに多くなることが見込まれていたので、想定どおり期末に偏重計上されることが前提となります。今期より建築事業において、昨年10月に買収した環境装備NSE社が通期寄与するため、売上高が10億円弱オンされます。なお10月末に既に開示されている3Qによれば、売上高は前年同期比4.0%増、経常利益は微赤字で進捗しているような状況であり、これまでの当社の通期着地の精度を考慮すると、会社計画は楽観的な見立てに基づいており、達成が難しいような印象を受けます。
当社は目下10年長計(これを中計として第Ⅰ・第Ⅱ・第Ⅲに期分け)を走らせており、2025年12月期に売上高500億円、経常利益30億円を目標としており、当初3ヵ年の中計第Ⅰ期間は売上高400億円・経常利益15億円を目指し、売上高のみ達成しました。進行期は既に中計第Ⅱ期間の中間年度となっており、2021年12月期に売上高450億円、経常利益15億円を新たな目標として掲げており、10年のうち当初4年が経過しましたが、数字感的には概ね計画どおり進捗してきています。
取組事項としては、祖業の冷凍・冷蔵設備工事から内装受注に繋げつつ、既にMAでグループに取り込んだ他の電気工事や給排水・空調設備工事、防災設備工事等の付随工事についてもフルライン受注出来るような体制を整えており、所謂「B工事」「C工事」は元より、「A工事」や施設共用部分まで受注出来るようにしており、これが同業内装他社にはないオリジナルの強みとなっています。特に新型肺炎禍では、主要クライアントであるスーパー業界が影響を受けるどころか特需に沸いているような状況であるため、直撃を受けた他の商業施設やホテルの減収分をある程度埋めることが出来る点については評価要素と言えそうです。
更なる業容拡大のためMAも積極化させており、2018年2月には金物制作会社の墨東工業を4億円程で買収(年商不詳)したほか、同年1月には照明商社の日本ピー・アイ(年商7億円)を、2019年10月には空調・給排気工事の環境整備NSE(年商11億円)も相次いで買収しています。足許8月には、浜松のマイクロバブル発生装置・工作機器製造のヤマザキ(6147)の株式を追加取得し、持分を5%弱にまで引き上げて資本業務提携を締結して周辺ドメインを強化しています。
また昨年末には、上場来初のPOによりOA込で約34億円の調達を済ませています。資金使途は償還期近の社債と短期借入返済に充てる予定となっていたため、財務改善が主目的の後ろ向きなものでしたが、目下の新型肺炎による事業環境や資本市場の激変を鑑みればファインプレーであり、同業他社と比べて圧倒的に財務基盤の弱い当社が足許ベースで自己資本比率を35%をキープ出来ているのは特筆すべきことであり、新型肺炎後の再成長を見据えると大変意義のあるPOだったといえるので、そこについては評価しています。
*参考記事① 2020-05-27 2,079円 NT
【9612】ラックランド/環境激変で、昨年末の公募増資は“ファインプレー“という評価。
*参考記事② 2019-12-03 2,450円 NT
25年振りの公募増資も、財務改善目的で物足りぬ・ラックランド(9612)。
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