【9612】ラックランド(東証1部) NT
現在値 2,079円/100株 PER33.2 PBR1.99 12月配当優待 3月・6月・9月優待
食品、飲食業向け主力の店舗企画、設計、施工会社。メンテナンスに強み。
配当は6月末・12月末の合計25円配当のため、配当利回りは約1.20%となります。
ラックランドは株主優待制度を導入しており、6月末・12月末時点で単元株以上を保有する株主に対して、3,000円分の東北地方特産品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.08%となります。なお、3月末・12月末現在の単元株主に対して、ギフトクーポン(割引)券も発行しておりますので、そちらもフルに利用した場合の利回りは約6.49%となります。
業績を確認をしていきます。
■2016年12月期 売上高 349億円 経常利益 11.1億円 EPS 90.9円
■2017年12月期 売上高 311億円 経常利益 9.6億円 EPS 89.1円
■2018年12月期 売上高 428億円 経常利益 4.0億円 EPS 11.4円
■2019年12月期 売上高 403億円 経常利益 10.4億円 EPS 111.7円
■2020年12月期 売上高 430億円 経常利益 12.5億円 EPS 62.5円 ce
□2020年6月1Q 売上高 97.8億円 経常利益 0.4億円 EPS 0.1円(4/30)
□2020年9月2Q 売上高 200億円 経常利益 4.7億円 EPS 26.0円 ce
2019年12月期の売上高は前期比5.8%減の403億円、経常利益は同160.8%増の10.4億円となり、売上高は期初予算比で大幅な未達ととなったものの、利益は予算を確保して大幅増収となりました。単体の店舗内装事業においては、スーパー・小売店といった従来の主力顧客の設備投資がやや低調だったものの、4Qまでズレ込んだ大型案件は無事に引渡・計上となりました。子会社の建築事業においても同様に請負先のゼネコンの工事進捗遅延による物件引き渡しの下期ズレ込み影響を受けたものの、大型のホテル案件の竣工が寄与したほか、ストック型の保守メンテナンス事業は1年前より3,742件増の14,500件超と大幅増となり、全社収益を下支えしました。
進行期である2020年12月期の通期予算については、売上高が6.5%増の430億円、経常利益は19.6%増の12.5億円を予想しており、主要2部門(スーパー、フードシステム)の引渡時期が4Qが多いため期末偏重する構造となっています。数字自体は多めの受注残を抱えた建築事業以外は概ね横ばいを見込んでおり、トップラインが増収となるのは2019年10月に買収した環境整備NSE(※後述)の通期稼働効果となります。なお、去る4月30日に1Qを開示しており、商業施設内装工事の受注残の消化が進んだため、売上高は4割増・経常利益は黒転と好調な滑り出しとなっていることもあり、現時点では新型肺炎の影響を特段織り込まずに通期予算を一旦据え置いています。
当社は目下10年長計(これを中計として第Ⅰ・第Ⅱ・第Ⅲに期分け)を走らせており、2025年12月期に売上高500億円、経常利益30億円を目標としており、当初3ヵ年の中計第Ⅰ期間は売上高400億円・経常利益15億円を目指し、売上高のみ達成しました。進行期は既に中計第Ⅱ期間の中間年度となっており、2021年12月期に売上高450億円、経常利益15億円を新たな目標として掲げており、10年のうちアタマの4年が経過しましたが、数字感的には概ね計画どおり進捗してきています。
基本戦略としては祖業である冷凍冷蔵設備工事から内装の受注に繋げつつも、既にMAでグループに取り込んだ他の電気工事や給排水・空調設備工事、防災設備工事等の付随工事についてもフルライン受注出来るような体制を整えており、テナント負担のB工事/C工事は元より、オーナー負担のA工事や施設共用部分の受注にまで業容を拡大しており、これが同業内装他社にはない強みとなっています。2018年2月には金物制作会社の墨東工業を4億円程で買収(年商不詳)したほか、同年1月には照明商社の日本ピー・アイ(年商7億円)を、また2019年10月には空調・給排気工事の環境整備NSE(年商11億円)も相次いで買収しています。特に足許で買収した環境整備NSE社については、関東圏の空調設備業者であり、これまで関西圏しかカバーしていなかった分野のためエリア的な補完性の高い買収となっています。
そしてかような買収策によりストレスのかかった財務を改善させるため、昨年末には上場来初のPOによりOA込で約34億円の調達を済ませています。資金使途は償還期近の社債と短期借入返済に充てる予定で、財務改善が主目的の後ろ向きなものでしたが、目下の新型肺炎による事業環境や(資本市場)の激変を鑑みれば明らかに“ファインプレー”であり、同業他社と比べて圧倒的に財務基盤の弱い当社が昨年末に自己資本比率を3割台にまで引き上げておけたことは極めて有意と考えています。そのため、(資金調達しておいて配当に回すのは構造的にはオカシイものの)年25円であれば公募株主の手前もあるので、減配せずに据え置く可能性が高いと考えています。
*参考記事① 2019-12-03 2,450円 NT
25年振りの公募増資も、財務改善目的で物足りぬ・ラックランド(9612)。
*参考記事② 2019-05-24 2,226円 NT
業績未達続き、優待目的以外では手掛けずらい・ラックランド(9612)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。