【2752】フジオフードグループ本社/ 中計大幅未達も、財務余力なお厚く“残存者利益”確保へ。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2752】フジオフードグループ本社(東証一部)  OP

現在値 1,447円/100株 PER--.- PBR9.46 12月配当優待 6月優待

大阪地盤に大衆セルフ食堂『まいどおおきに食堂』、セルフ串揚げ店『串屋物語』を全国展開。
配当(実績ベース)は12月末一括の11円配当のため、配当利回りは約0.76%となります。

フジオフードシステムは株主優待制度を導入しており、6月末・12月末に100株以上を保有する株主に対して、3,000円分の金券・自社製品を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.90%となります。

業績を確認していきます。
■2016年12月期 売上高 349億円、営業利益 24.1億円、EPS 27.9円 
■2017年12月期 売上高 359億円、営業利益 26.0億円、EPS 33.6円

■2018年12月期 売上高 361億円、営業利益 22.5億円、EPS 21.3円

■2019年12月期 売上高 383億円、営業利益 14.5億円、EPS 10.7円

■2020年12月期 売上高 276億円、営業利益▲18.8億円、EPS▲79.1円ce修正(8/14)  
□2020年6月中 売上高 127億円、営業利益▲16.0億円、EPS▲52.1円(8/14)  


2020年6月中間期の売上高は前年同期比31.7%減の127億円、営業利益は同赤転の▲18.8億円となり、期初時点から減益を予想していたものの、着地は大赤字となりました。予算前提の既存店売上高が通期で101%水準でセットしていたものの、年明けからの新型肺炎の本格化による臨時休業や時短営業の影響で主力2業態である「まいど(おおきに食堂)」は79.8%、「串屋(物語)」は77.4%となり、全店では76.0%となりました。2月までの既存店は概ね100%を挟む水準で推移していたものの、最も落ち込みの酷かった4月で全店47.9%と半分以下の水準に沈みました。それでも弁当型への親和性の高い「まいど」を中心にテイクアウト、宅配代行等に注力したこともあり、同業他社との比較では比較的健闘した内容となりました。


2020年12月期の通期予算については、上期中において全て未定に変更していましたが、中間時点で数値有りに置きなおしており、売上高が前期比27.9%減の276億円、営業利益は同赤転の▲18.8億円を見込んでいます。前提となる既存店売上高についても3Q期間を70%、4Q期間を85%でセットし直しており、既開示月次によれば3Q期間は70%程度、4Q初月である10月単月も88%で推移していることから、概ねインラインの進捗が確認出来ます。また直営の出退店については、当初出店40店を見込んでいたもののこれを26店に減じ、不採算店の閉鎖により純減13店(前期は純増35店)を計画しています。期末にかけて新型肺炎の感染再拡大が懸念される状況ですが、「まいど」を中心にロードサイド型業態も多いことから、今次減額修正予算の水準である程度持ち堪えるものと考えています。


今期は2017年8月に大幅に下方ローリングした上で作り直した新5年中計「FUJIO2020」の最終年度となっており、この2020年12月期に売上高482億円(CAGR10%)、営業利益46億円(CAGR19%)を目指していましたが、営業赤字見通しを公表したことから事実上断念した格好となります。中計期間中の出店業態については、「えびのや」「さち福や」が中心になっていますが、得意のMAも継続的に繰り出しています。2018年7月に関西を中心にサバ節ラーメン業態を25店舗展開する「サバ6製麺所」を買収したほか、2019年2月沖縄でステーキハウス「SAM’S」を運営するグレートイースタン社を買収しており、「ローズガーデン」に続いて2年連続で沖縄での買収を果たしています。

 

このほか、2019年11月には手打ち蕎麦の「土山人」を運営する暮布土屋社を買収しており、これまで当社ポートフォリオに無かった蕎麦業態を手に入れたほか、同社は直営だけでなく“のれんわけ”スキームでも店舗展開しているので、既存他業態のフランチャイジーオーナーの出店網に乗せて展開出来る当社としては非常に補完性の高い買収といえます。肝となるのは、新業態展開やそのための買収が出来る財務余力となりますが、足許時点の自己資本比率は27.5%を確保しており、新型肺炎による新たな借入れも特段起こしていない(逆に言えばまだバンカビリティを残している)ことから、今後は草刈り場と化した外食業界で残存者利益を確保していく側になるとみています。

 

株主還元については、大局的には緩やかな増配基調が続いているものの、今期は配当予想も未定に切り替えています。実際のところ据置で年11円掃き出しても全く問題ないとみられるものの、買収余力温存のため年5~6円程度の水準まで減配してくる公算が高そうです。

 

*参考記事① 2018-04-18  970円 *分割修正済 OP

中計下方も、“次のステージ”への移行に期待・フジオフードシステム(2752)。

 

*参考記事② 2017-10-28  899円 **分割修正済 OP

「まいどおおきに」浮上せず、修正予算なお過大・フジオフードシステム(2752)。

 

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