【8908】毎日コムネット(東証一部) OP
現在値 719円/1株 PER--.- PBR1.41 5月配当株主優待 11月配当
学生マンションを地主に提案、一括借り受けるサブリースが柱。新卒採用支援も。
配当金は5月末・11月末の年2回の合計28円のため、配当利回りは約3.89%となります。
毎日コムは株主優待制度を導入しており、5月末時点の単元株主に対して、ベネフィット・ステーションの年間会員資格を付与しております。
業績を確認していきます。
■2017年5月期 売上高 148億円、経常利益 15.5億円 EPS 56.3円
■2018年5月期 売上高 168億円、経常利益 16.7億円 EPS 60.4円
■2019年5月期 売上高 174億円、経常利益 19.2億円 EPS 69.5円
■2020年5月期 売上高 179億円、経常利益 21.7億円 EPS 66.7円
■2021年5月期 売上高 (未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS (未定)円 ce
□2020年8月1Q 売上高 41.5億円、経常利益 1.5億円 EPS 5.6円(10/5)
□2020年11月2Q 売上高 94.0億円、経常利益 8.7億円 EPS 32.8円 四e
2020年5月期の売上高は前期比3.2%増の179億円、経常利益は同13.0%増の21.7億円となり、トップラインこそやや予算を下回ったものの、利益は2桁の成長を確保しました。柱の不動産事業については、開発部門で1物件の売却があったものの、大型物件である東大目白台寮(857戸)の開業が寄与し、総管理戸数は前期末比12.0%増となる10,659戸まで積み上がりました。また、管理部門についてもネット環境の拡充や大学との連携集客により、15年連続で入居率100%(賃料保証ありサブリース、自社保有物件に限る)を達成しています。一方、学生生活事業については、新型肺炎の本格化により旅行をはじめとする課外活動分野が低迷したほか、新卒採用支援の人材分野も台風によるイベントキャンセルの影響を受け低調に推移し、全社業績の足を引っ張りました。
進行期である2021年5月期の予算については、新型肺炎の影響を合理的に算出することが難しいことから、期初より未定となっており、去る10月15日に開示された1Qについては、売上高が前年同期比28.0%減の41.5億円、経常利益は同80.2%減の1.7億円で進捗しています。学生生活事業において、通常は年間売上の半分超を占める夏期の合宿旅行の殆どが中止(春は3割超が春季)となったため、新型肺炎影響がこの1Qにモロに直撃して大幅減となりました。一方、不動産事業についても総管理戸数の積み上がりによる増収こそあったものの、開発部門で売却した物件が前年より小さかったため、此方も減収となり、業績は総じて低進捗となっています。下期にかけて大学等の通常授業が再開されるかどうかもまちまちであり、ひいては課外活動や新卒採用支援事業にも影響を与えることから、不透明要素が多いものの、概ね横ばい圏の業績推移が見込まれます。
終わった2020年5月期は3年中計の最終年度であり、売上高148→180億円(CAGR7%)、経常利益は15.5→20.0億円(CAGR9%)という目標を掲げていましたが、売上高176億円・経常利益21.7億円での着地となり、最後の最後で新型肺炎の影響で学生生活事業のトップラインが削られたものの、超過達成と見做してよい内容で仕上がりました。ドライバーとなったのは不動産事業における開発部門であり、地盤の関東エリアから全国展開を志向し、大手ディベロッパーやファンド等に対し比較的利回りの取れる学生マンションの一棟卸しを加速させたほか、三井不動産レジデンシャルや大成有楽不動産といった新たなプレイヤーの相次ぐ事業参入により、彼らの開発物件に対する通常のPM受託案件の増加も寄与しました。
本来であればこの2021年5月期からは新中計“フェーズ2”として、期限の定めは無いものの、経常利益21.7億円→30.0億円に引き上げる計画でしたが、かかる新型肺炎の影響で新中計の公表を見送っています。定性的な取組自体は開示されており、①開発分野の加速(新規+5,000戸)、②地域仲介業者との連携、③開発出口強化、④人材分野拡大(売上高50億円)、⑤新事業開始、などが挙げられています。足許の状況としては、主要顧客となる大学生の授業等の状況が流動的なことから、学生マンションの開発や出口の物件売却環境の可視性が低く、従前中計期間のように開発→売却で数字を作ることに頼ることは難しくなっているとみられます。そのため、会社側では学生生活事業において、新卒採用支援を好採算のオンライン化するなど不動産事業に頼らない仕組みの構築を急いでいますが、穴埋めは難しく、当面は横ばい圏が続く可能性も想定されます。
株主還元については、配当性向35%を基準としており、業績予想は未定ながらも年28円配(実績ベースでの配当性向は42%)の据置を予想しています。足許ベースの自己資本比率も36.3%と良好な水準を維持しており、会社側は市場変調による仕入れ好機と捉えているフシもあるため、このまま年28円配を据え置きつつもデットを活用して開発事業の用地購入を積極化させるものと考えられます。
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