【3180】ビューティーガレージ(東証一部) OP
現在値 2,928円/100株 PER52.6 PBR4.66 4月配当 株主優待あり
理美容機器や業務用化粧品を販売する専門商社。低価格に特徴。
配当(実績)は4月末一括の10円配当であり、配当利回りは0.34%となります。
ビューティーガレージは株主優待制度を導入しており、2019年の実績ベースでは、4,000円相当のノンシリコンシャンプーとトリートメントの進呈がありましたので、想定ベースの配当優待利回りは約1.70%となります。(なお、優待の獲得には1年以上の長期継続保有制限
が課されています)
業績を確認していきます。
■2017年4月期 売上高 96.4億円、経常利益 5.3億円 EPS 52.6円
■2018年4月期 売上高 116億円、経常利益 6.5億円 EPS 75.1円
■2019年4月期 売上高 138億円、経常利益 6.4億円 EPS 59.8円
■2020年4月期 売上高 157億円、経常利益 7.4億円 EPS 64.5円
■2021年4月期 売上高 167億円、経常利益 6.0億円 EPS 55.4円 ce
□2020年7月1Q 売上高 38.3億円、経常利益 1.7億円 EPS 16.5円 (9/9)
□2020年10月2Q 売上高 76.1億円、経常利益 1.7億円 EPS 9.4円 ce
2020年4月期の売上高は前期比13.6%増の157億円、経常利益は同15.6%増の7.4億円での着地となり、2桁の増収増益基調を維持したものの、売上高・利益ともに期初計画を若干下回りました。主力の物販事業における会員数が同11.9%増の431千口座に増加したほか、継続購入する上顧客数も同21.4%増の34.3千口座へと引き続き大きく増加しました。また、EC(PC+モバイル)の占有比も+430bps.の76.4%へ続伸したため、採算性も改善しています。ただトップラインは順調に伸長したものの、利幅の厚いPB商品の構成比は続落となり、化粧品・材料を中心としたNB商品の構成比が増加したことから、そういう意味ではやや課題も残る結果となりました。
進行期である2021年4月期の通期予算については、売上高が6.4%増の167億円、経常利益は19.0%減の6.0億円を予想しています。EC化率が引き続き高い伸びを継続していることから、特に好調なモバイル向けを中心にECサイトのUI・UXの改善に取り組み、年6回以上購入する多頻度購入上顧客数の割合の増加を狙う方針です。新型肺炎の影響に関する考え方については、美容商材流通業においては対面販売からECへのシフトが進むため“追い風”という整理をしており、トップライン増にも拘らず減益予算となるのは、新西日本物流センターの開設など業容拡大に向けた投資を促進することに由ります。なお、9月9日に開示された1Q決算によれば、新型肺炎の影響が一番きつい時期ながら、前年同期比2桁の増益ペースで進捗しているため、通期では予算超過ペースとみられます。
終わった2020年4月期については3年中計の最終年度としての位置付けであり、売上高145億円(CAGR14%)・経常利益10.0億円(CAGR23%)を定量目標としていましたが、売上は超過達成・利益は未達という結果となりました。それでも定性的な取組事項として挙げられていた、自社物流センターの本格稼働や、ERP更新・EC多言語化、機器類PB商品の拡充や店舗サブリース事業強化等については予定通り実現したほか、2017年には金属家具工場の足立製作所(年商約7億円)のMAを実行するなど順調な業容の拡大が進んだ点については評価出来ようかと思います。
そして今般、新型肺炎禍ではあるものの新5年中計の公表に踏み切っており、最終年度である2025年4月期に売上高300億円(CAGR14%)・経常利益17.0億円(CAGR18%)を定めています。数値自体はかなり意欲的なものであり、①品揃・UI/UX改良によるEC拡充、②物流強化、③オムニチャネル化、④物件サポート、⑤MA等の外部成長、⑥海外展開の6項目を定性取組事項に掲げるとともに、基本的には①のEC拡大によるオーガニックな成長を志向しています。
現状、当社は美容ディーラーとしては売上高で国内4位ですが、上位3社であるガモウ、きくや美粧堂、ダリアといった老舗ディーラー全て抜き去る目論見となっています。特に首位のガモウは創業来43期連続成長を果たしているものの売上高自体は260億円程であり、従来型の対面営業が多く成長モメンタムも高くないため、非対面ECに強みを持つ当社がこの新型肺炎禍のうちにシェアを奪うことが出来れば、中長期成長に弾みをつけることが出来るため、本中計は“種蒔き期間である”序盤の仕上がりが大きな意味を持つと言えそうです。
他方、株主還元については、配当自体は予定しているものの金額自体は未定としています。2018年3月に主幹事であるSBI証券を相手先とするMSワラント(最大16.6億円)を発行し、相当程度の追加資本調達を済ませていることもあり、足許での自己資本比率は55%と盤石な状況を維持していることから、資金繰り等の財務的な懸念は全くない状況であり、現状では未定ながらも「11円+α」の増配すら視野に入るものとみています。
*参考記事① 2019-09-26 1,998円 NT
高成長続くも、追加の資金調達が課題・ビューティーガレージ(3180)。
*参考記事② 2018-10-05 2,380円 NT
年率2桁超のペースで業績の急拡大続く、ビューティーガレージ(3180)。
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