高成長続くも、追加の資金調達が課題・ビューティーガレージ(3180)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3180】ビューティーガレージ(東証一部) NT

現在値 1,998円/100株 PER28.1 PBR 3.44 4月配当 株主優待あり

理美容機器や業務用化粧品を販売する専門商社。低価格に特徴。
配当は4月末一括の10円配当であり、配当利回りは0.50%となります。

 

ビューティーガレージは株主優待制度を導入しており、2019年の実績ベースでは、4,000

円相当のノンシリコンシャンプーとトリートメントの進呈がありましたので、想定ベースの配

当優待利回りは約2.50%となります。(なお、優待の獲得には1年以上の長期継続保有制限

が課されています)

業績を確認していきます。 
■2016年4月期 売上高 83.9億円、経常利益 4.1億円 EPS 44.7円 
■2017年4月期 売上高 96.4億円、経常利益 5.3億円 EPS 52.6円 

■2018年4月期 売上高 116億円、経常利益 6.5億円 EPS 75.1円 

■2019年4月期 売上高 138億円、経常利益 6.4億円 EPS 59.8円

■2020年4月期 売上高 160億円、経常利益 7.5億円 EPS 71.8円 ce

□2019年7月1Q 売上高 37.7億円、経常利益 1.5億円 EPS 13.5円(9/9)
□2019年10月2Q 売上高 74.5億円、経常利益 2.3億円 EPS 20.9円 ce

2019年4月期の売上高は前期比18.6%増の138億円、経常利益は同1%減の6.4億円での

着地となり、トップラインは年率20%弱の高い成長を維持したものの、利益は期初の計画

を若干下回りました。主力の物販事業における会員数が同11.6%増の385千口座に増加

したほか、継続購入する上顧客数も同15.3%増の28.2千口座へ大きく増加しました。また、

EC(PC+モバイル)占有比も+3.4%の72.1%に続伸したため、採算性が改善しています。

ただ売上伸長に拘わらず、利益予算が未達となったのは、NB化粧品の売上構成が伸び、

利幅の厚いPB商品の構成比率が落ちたことや、人件費の増加が主要因となっています。

進行期である2020年4月期の通期予算については、売上高が15.8%増の160億円、経常

利益は16.5%増の7.5億円を予想しています。実績期においてUI・UXの改善や、マルチデ

バイス化などの機能拡充を含めたECサイトの刷新や、ERPシステムの更新を完了したこ

とによる底上げ効果が期待されるほか、シンガポールやマレーシアなどに開設した海外

支店の通期稼働効果が見込まれます。利益面については、良好なトップラインの伸びや

EC占有比増加による採算性改善が見込まれるものの、海外展開の拡大による初期費用

の増加を織り込んで保守的な数値を置いているため、売上高なりの予算となっています。

 

今期は2020年4月期を最終年度とする3年中計の最終年度となっており、本来であれば

売上高145億円(CAGR14%)・経常利益10.0億円(CAGR23%)となるはずでしたが、表記の

今期予算水準での着地を前提とすれば、売上高は達成・利益は未達となる見通しです。

自社物流センターの本格稼働開始や、ERPの更新・ECの多言語化、機器類PB商品の

拡充や店舗サブリース事業強化などの中計施策は概ね計画通り遂行されているほか、

2017年には足立製作所(年商約7億円)をMAするなどしたため、売上高は超過ペースで

進捗しています。が、利益面については上述のとおり海外展開への先行投資や人件費

が想定超となっているため、伸長ペースが緩慢となっており、未達が濃厚の状況です。

 

本中計のドライバーとして、2018年3月に主幹事であるSBI証券を相手先とした16.6億円

のMSワラント(第6回・第7回)を発行しています。量の多い第6回の方は、下限行使価額

1,895円を上回る水準で全予約権の行使を完了しているため、16.6億円のうち約9億円

弱を確保した格好となります。ただ資金使途については、上述したような各中計施策へ

の投資(実行済)がメインながら、別途MAのための待機資金を数億円分みているものの、

第7回のワラントの行使価格が2,980円で縛られてしまっている状況にあり、現時点での

株価水準では成就しない可能性が高いことから、資金調達が限定的となる公算です。

つまり、オーガニック成長でない、MAやCVC等の“飛び道具”に回せる資金が少なく、

現在の高い成長モメンタムを維持出来るかどうかは、海外展開などにかかっており、

来期以降の新中計でどのような成長ストーリーが提示されるのかが注目点となります。

 

他方、株主還元については、今期も年10円配の据置を見込んでいます。既述のとおり

追加の資金調達が不透明な見通しとなっているほか、7月に1億円規模の自社株買い

(およそ1%分)を実行しているため、これ以上の株主還元は期待薄かと思われます。

 

*参考記事① 2018-10-05  2,380円 NT

年率2桁超のペースで業績の急拡大続く、ビューティーガレージ(3180)。

 

*参考記事② 2017-09-21  1,732円 NT

前中計未達も、年率2桁成長路線が鮮明・ビューティーガレージ(3180)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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