【3453】ケネディクス商業リート投資法人/地域密着型商業施設中心で、新型肺炎の影響は想定以下。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3453】ケネディクス商業リート投資法人(東証REIT) NT

 

現在値 212,800円/100株 PER17.7 P/NAV0.83  3月分配 9月分配 


ケネディクスをスポンサーとし、食品スーパーや専門店といった生活密着型商業施設が中心。
予想分配金は年2回の合計12,553円配で、分配金利回りは約5.90%となります。


業績を確認していきます。

■2018年9月期_第7期 営業収益 85.7億円、経常利益 32.0億円 DPU 6,299円

■2019年3月期_第8期 営業収益 84.1億円、経常利益 32.8億円 DPU 6,477円

■2019年9月期_第9期 営業収益 86.0億円、経常利益 32.8億円 DPU 6,486円

■2020年3月期_第10期 営業収益 82.9億円、経常利益 34.9億円 DPU 6,535円 

□2020年9月期_第11期 営業収益 81.5億円、経常利益 32.6億円 DPU 6,103円 ce修正(7/30)

□2021年3月期_第12期 営業収益 82.6億円、経常利益 34.5億円 DPU 6,450円 ce

2020年3月期_第10期の営業収益は予算を0.33億円上回る82.9億円、経常利益は同0.17億円上振れとなる34.9億円となり、分配金については予想の6,501円から6,535円へと34円の上振れで着地しています。予算比の主な増収要因は期中で新宿西落合配送センターの取得であり、第9期からの減収は昨秋のPO(※後述)による部分寄与があったものの、ソララプラザとフルルガーデン八千代の売却益剥落が大きかったことが主な要因です。また利益面については、新型肺炎の影響による営業時間短縮で原価の水光費が削減されたほか、積んでいた販促費が未消化で終わったものの、その他営業費や原状回復費の増加が大きく、対予算で減益となり、トップラインの上振れを潰した格好となります。

 

進行期である2020年9月期_第11期の期初予算については、営業収益が第10期比5.2%減の78.5億円(、経常利益は同15.2%減の29.6億円を当初見込んでいました。収入面では第10期中取得の西落合及びコンフォートマーケット西馬込が通期で寄与するものの、ウエルシア岸和田加守店の売却益剥落や昨今の新型肺炎を理由とした賃料減額や歩合賃料減少、ダウンタイム長期化による減収を▲12.0億円分計上していました。然しながら、当初想定していたよりも緊急事態宣言の解除が早く、賃料減額要請のあったテナントとの交渉が殆ど終結したことから、7月末時点で業績修正を実施しており、営業収益は期初予想比3.7%増の81.5億円、経常利益は同10.2%増の32.6億円に其々増額しています。そのため、この第11期の分配金予想は同563円増の6,103円となり、第10期実績からとの比較では400円強の減配となるものの、商業専業リートとしてはかなり限定的な減配幅に留まる見通しとなりました。

 

当法人は2019年10月に4thPOを実施しており、三割込で約74億円(@282,847円)を調達しています。アピタテラス横浜綱島51%(58.9億円/鑑定NOI4.8%)、カルサ平塚(59.8億円/同4.7%)、バロー中志段味店(25.5億円/同4.7%)ほか4物件を計213億円で取得しており、2019年にデットで期中取得した5物件を足した合計12物件ベースの取得額は約339億円/同5.1%となります。築浅で比較的規模の大きい綱島が4.8%、綱島よりも築古かつ更に郊外の平塚は綱島の僅か+10bps.差といった具合で大型物件は利回りが渋めですが、その分は古くて小さい配送センター(消費地配送型物流施設、と呼んでいる)をバラバラ積み上げて利回り(5.0%~6.5%)を稼ぎ、仕上げたような印象です。

 

当法人は第9期より中期的な目標として「巡航分配金7,000円&資産規模3,000億円」を掲げていましたが、新型肺炎による影響を見極めずらいことから、一旦取り下げています。然しながら、新型肺炎影響については、当社がクライテリアとする生活密着型商業施設(いわゆるNSC)は影響が限定的なことが明らかになっており、懸念された賃料減額交渉も多くなかったことから、他の都心型商業施設を取り扱う他社と異なりPOによる成長可能性が残ったものと考えています。4thPOがNAV割れだったように、たとえ現在の株価水準(P/NAV0.83倍)であっても物件売却を絡めてDPUを作るとみられます。スポンサーのケネディクスの方には綱島の残り(49%)や、クロスガーデン調布、もねの里モール(増築棟)など550億円が溜まっているため、これらの拠出意向は高いものと推察され、昨今の商業施設の売買動向を踏まえた反映した利回りでアクリーティブな取得がなされるかどうかが今後の注目点と言えます。

 


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