【3648】AGS(東証1部) NT
現在値 809円/100株 PER--.- PBR1.20 3月配当優待 9月配当優待
独立系の情報システム会社。データセンター運用。りそな向けが3割。
配当は3月末・9月末の年2回合計11円配当のため、配当利回りは1.36%となります。
AGSは株主優待制度を導入しており、3月末の単元株主には1,000円のVJAギフトカード、9月末の株主には1,000円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約3.83%となります。なお3月末・9月末優待ともに1年以上保有を継続することが、優待進呈条件となりますのでご注意ください。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 186億円、経常利益 8.7億円、EPS 80.1円
■2018年3月期 売上高 194億円、経常利益 8.6億円、EPS 32.0円
■2019年3月期 売上高 196億円、経常利益 8.6億円、EPS 30.5円
■2020年3月期 売上高 199億円、経常利益 7.5億円、EPS 26.7円
■2021年3月期 売上高 180~200億円、経常利益 6.2~7.8円、EPS (未定)円 ce
□2020年6月1Q 売上高 44.6億円、経常利益▲0.1億円、EPS▲1.4円(7/30)
□2020年9月2Q 売上高 80億円、経常利益 2.2億円、EPS 6.7円 四e
2020年3月期の売上高は前期比1.4%増の199億円、経常利益は同13.2%減の7.5億円となり、減益となったものの、期初予想に対しては上振れました。主力の情報処理事業については、自治体向けのIDC運用が伸長したものの、BPO分野におけるシステム移行負担が重しとなりセグメント減益となりました。その一方、ソフト開発事業については、一般法人向けが停滞したものの自治体向けが底堅く推移して増益となったほか、その他情報事業についても公共団体向けの機器保守案件が減少したものの、利益率の向上に伴って同じく増益を確保し、これら両セグメントの穴埋めにより全社減益幅が縮小した格好です。
進行期である2021年3月期の予算については、期初段階から開示しているものの、新型肺炎の影響を算出することが困難であることから初めてのレンジ形式となったおり、下限ベースの売上高が9.7%減の180億円、経常利益は同17.4%減の6.2億円(営業利益に営業外推定0.4億円を加えた)を見込んでいます。情報処理事業については、ストック性の高い銀行向けの税公金処理事務業務のBPO受託業務や自治体向けのクラウドサービスの堅調推移が見込まれるものの、新型肺炎の影響によりソフト開発事業の商談不調が想定され、実際に期初時点の受注残高は1年前比8割水準の19.2億円に留まっています。なお7月30日に開示された1Qによれば、売上高は前年同期比1.9%減の44.6億円となったものの、経常損益は同▲1.2億円悪化して赤転しているため、通期で会社予想水準まで取り返せるかどうかは微妙な情勢です。
今期は2022年3月期を最終年度とする5年長期経営計画の4年度目となっており、最終的に売上高210億円(CAGR3%)・経常利益10.4億円(CAGR4%)を目標としています。今回長計では、DC(データセンター)を軸としたクラウド型にくわえ、ソフト開発事業(SIer業務)についても、AIやIoTといった付加価値をつけて、受注の高単価化を狙うとともに、昨年3月にはAmazonからパートナーライセンスを取得し、非常に高いシェアを誇る同社のクラウドである「AWS」の一貫導入サービスを開始し、受注範囲の拡大を狙う計画でした。
具体的には、依然として売上高の30%強を占める最大の依存先であるりそなグループ(埼玉りそな銀行)や、埼玉国保、全国生協連(共済)などの金融関連機関に対して、RPAの活用等を提案しつつ、BPO受託を増やしていく戦略でしたが、足許では新型肺炎の拡大にともないテレワーク系のソリューション商品を伸ばしている模様です。また、前述のAWSにくわえ、自社主力データセンターである「さいたまiDC」を2021年初から1.5倍に能力増強すべく着工しており、AWSとこのDSハウジングのハイブリッド連携により大型案件の獲得を目指します。然しながら表記の業績目標はこの新型肺炎禍でかなりハードルが高くなった印象であり、達成は難しいとみられます。
なお当社は現金同等物を40億円抱える無借金企業であり、財務や資金繰りの観点からは全く問題ないものと考えています。また筆頭株主も従業員持株会(11.4%)ですので、潜在的に相応の株主還元インセンティブを有するものと考えています。今期は期初から配当予想が開示されており、年11円の据置が予想されていますが、当面の配当はこの年11円のまま横引きとなる公算が高そうです。
*参考記事① 2019-09-19 694円 NT
*参考記事② 2018-09-14 770円 NT
大株主売出後は軟調推移だが、株主還元余力は大きい・AGS(3648)。
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