大株主売出後は軟調推移だが、株主還元余力は大きい・AGS(3648)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3648】AGS(東証1部) --

現在値 770円/100株 PER24.5 PBR1.20 3月配当優待 9月配当優待 

独立系の情報システム会社。データセンター運用。りそな向けが3割。
配当は3月末・9月末の年2回合計11円配当のため、配当利回りは1.43%となります。

AGSは株主優待制度を導入しており、3月末の単元株主には1,000円のVJAギフトカード、

9月末の株主には1,000円のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは4.02%

となります。なお3月末・9月末優待ともに1年以上保有を継続することが、優待進呈条件と

なりますのでご注意ください。

業績を確認していきます。 
■2015年3月期 売上高 165億円、経常利益 5.7億円、EPS 16.6円 
■2016年3月期 売上高 168億円、経常利益 6.9億円、EPS 22.4円 
■2017年3月期 売上高 186億円、経常利益 8.7億円、EPS 80.1円 

■2018年3月期 売上高 194億円、経常利益 8.6億円、EPS 32.0円 

■2019年3月期 売上高 197億円、経常利益 8.3億円、EPS 31.4円 ce
□2018年6月1Q 売上高 88億円、経常利益 4.4億円、EPS 16.6円(7/30) 

□2018年9月中 売上高 93億円、経常利益 3.9億円、EPS 15.1円 ce

2018年3月期の売上高は前期比4.2%増の194億円、経常利益は同微減の8.6億円となり、

ほぼ期初予想水準での着地となりました。主力の情報処理事業において一般企業向け

インフラ案件が伸長したものの、ソフト開発事業は逆に一般法人向けが停滞しました。

利益面に関しては、各事業ともベースアップなどの処遇改善策による人件費の増加が

重しとなったものの、情報処理事業の償却費の減少もあり、小幅な減益に留まりました。

進行期である2019年3月期の予算については、売上高が1.2%増の197億円、経常利益は

3.9%減の8.3億円と連続減益を見込んでいます。情報処理事業については、金融機関向け

の公金BPO案件の受託等で増収を見込んでいるものの、ソフト開発事業は案件の一巡で

減収を想定しています。また、実績期に売上が倍増したシステム機器販売(利益貢献は少)

についても反動減となる見込みです。唯一、その他情報事業において、ヘルスケア分野の

電子カルテ案件の好調推移が見込まれるものの、全社業績を押し上げるには至りません。

 

今期は2022年3月期を最終年度とす5年長期経営計画の2年度目となっており、最終的に

売上高210億円(CAGR3%)・経常利益10.4億円(CAGR4%)を計画しています。今回長計では、

DC(データセンター)を軸としたクラウド型の展開にくわえ、ソフト開発事業(SIer業務)につい

ても、AIやIoTといった付加価値をつけて、受注額の増加を図っていく方針となっています。

具体的には、依然として売上高の28%強を占める最大依存先であるりそなグループ(埼玉

りそな銀行)や、埼玉国保、全国生協連(共済)などの金融関連機関に対して、RPAの活用

等を提案しつつ、BPOの受託を増やしていくのが基本的な戦略になろうかと思われますが、

売上高の達成はともかくとしても、本長計策定時点よりも人件費が騰がっていることもあり、

利益目標の達成は難しいかもしれません。

 

ちなみに昨年末に52万株の売出(@884円、売出人はリズム時計と損保ジャパン、別途OA

7.8万株)があり、発行済株式数の4%程度の売出ではあったものの、浮動株比率が10%強

であった当社株券の需給には相応のインパクトがあり、売出時点よりも軟調な株価推移を

強いられています。ただ、当社は現金同等物を33億円抱える無借金企業であり、筆頭株主

も従業員持株会(11.4%)ですので、潜在的にそれなりの株主還元インセンティブが機能する

とみております。そのため、期初にやったような僅かな自社株買いだけはなく、今期業績の

いかんによらず増配してくると考えており、個人的には通期で13円+~を予想しています。

 

*参考記事① 2018-02-12  813円* --

10末の分割後も優待基準を維持、今期は増益着地も・AGS(3648)。

 

*参考記事② 2017-09-05  725円* --

5年中計はほぼ達成も、今後の人件費増は重し・AGS(3648)。

 

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