【8252】丸井グループ(東証一部) OP
現在値 1,523円/100株 PER--.- PBR1.13 3月配当優待 9月配当優待
自社販売から賃貸へ切り替え中。自社カードによる割賦販売が収益源。
配当金は年2回・合計51円のため、配当利回りは約3.35%となります。
丸井グループは株主優待制度を実施しており、3月末・9月末時点で単元株を保有する株主に対して、1,000円分の商品券および同額のwebクーポンを進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.66%となります。また別途、3月末にエポスカード会員限定の優待として1,000円分のエポスポイントを進呈しています。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 2,370億円、経常利益 311億円 EPS 80.2円
■2018年3月期 売上高 2,389億円、経常利益 351億円 EPS 93.1円
■2019年3月期 売上高 2,514億円、経常利益 397億円 EPS 115.9円
■2020年3月期 売上高 2,475億円、経常利益 404億円 EPS 117.5円
■2021年3月期 売上高(未定)億円、経常利益(未定)億円 EPS (未定)円 ce
□2020年9月中 売上高 1,130億円、経常利益 140億円 EPS 41.0円 四e
2020年3月期の売上高は前期比1.5%減の2,457億円、経常利益は同1.6%増の404億円となり、期初及び期中の修正予算を下回って着地しました。主力の小売事業においては、前期に定借型区画への切替を完了させ通期貢献し始めたものの、バックヤード・倉庫や自主企画売場を廃して追加したレンタブル床で後継テナントが満足に決まらなかったほか、注力中のECも不振となり、期末にかけては新型肺炎の影響を受けて尻すぼみとなりました。一方、金融事業については比較的順調推移し、会員数は前期比4.6%増の720万人(ゴールド以上会員は同16%増の250万人)に膨らんだことによる取扱高の増加にくわえ、リボ債券流動化による債権譲渡益が71億円の発生もあり、新たに積み増した引き当て・償却・利息返還等の費用11億円をネットしてなお2桁のセグメント増益を確保し、全社業績を下支えしました。
2021年3月期の予算については、新型肺炎の影響を合理的に算出することが出来ないことから、期初段階から未定としています。小売事業については、4月7日の緊急事態宣言以降、翌8日から5月末まで全店で休業をしており、この間のテナント家賃を完全免除したほか、敷金の1~2ヶ月分の返却といった目先のP/Lよりも取引先との関係性重視に重きを置いた施策を採っているため、およそ50億円分の利益遺失を見込むほか、店舗スタッフの人件費についても雇用助成金以外の部分は会社負担により全額補償します。金融事業については、口座引落不可客が3月・4月ともに直近1年間並みの25万人程度に留まっているものの、店舗集客減による決済件数の減少や新型肺炎の影響を受けやすい若年層に偏った顧客ポートフォリオはリスク要因であり、小売・金融を合わせた全社合計で少なくとも100~150億円の減益で落着するものとみています。
今期は5年中計の最終年度となり、営業利益500億円(計画前実績352億円/CAGR約11%)、自社株買い等も絡めた上でのEPS130円を目指していましたが、本目標値については期初時点で達成困難な旨アナウンスされており、事実上断念した格好となります。中計の核であった小売事業における定借化については図らずも新型肺炎前に完了しており、図らずもかかるリスクをテナント側に転嫁し切った後であるものの、既述のとおりテナント側への“配慮”のため、家賃免除を受け入れた格好です。そのため、当該セグの伸びシロはECしかないものの、当社顧客層である若年層の収入低下もあり、“マルイウェブチャネル”は苦戦しているような状況です。
金融事業については、定借化副作用で会員増加が伸び悩んでいたものの、他社提携もあり順調に積み増していたものの、新型肺炎禍による若年層の収入減少による購買意欲減少や貸倒の増加、リボ・分割といった継続収入の漸減などが中長期的にマイナスに効いてくることが予想されます。そのため、今後はVC事業による投資と協業が新たな成長軸になることが期待され、2018年10月に上場したEコマース支援のBASE(4477、当社出資比率6.1%)をはじめ、ギフティ(4449)といった成功例もあり、投資先20社(71億円)のIRRは34%に達しているような状況であるため、こうしたVC投資としての成功に留まらず、当社既存事業とのシナジー創出が期待されます。
そして当社最大の投資論点である株主還元に関しては、現時点で配当予想51円を開示しており、9期連続の増配を予定しています。業績予想非開示にも拘らず、配当予想があるのは「配当性向50%」基準ではなく、「総還元性向70%」を配当部分に最大適用して、自社株買い無しの場合は51円までは配当可能だろう、という会社側の意気込みを含めて設定がなされているようです。そのため業績見通しの裏付があるわけではないものの、当社の投資家へのエンゲージメントの状況を鑑みるに、業績の如何によらず51円が配当されるものと考えています。
*参考記事① 2020-02-13 2,469円 OP
【8252】丸井グループ/向こう5年のEPS成長は年10%、増配率年15%を志向。
*参考記事① 2019-02-05 2,214円 OP
メガトン自社株買い一服も、本業好調で増額修正・丸井グループ(8252)。
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