【3492】タカラレーベン不動産投資法人/ホテル軟調も、デットによる期中取得で上振れ余地も。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3492】タカラレーベン不動産投資法人(東証REIT) OP

現在値 90,100円/1株 PER15.0 P/NAV0.80 2月分配/優待 8月分配/優待

タカラレーベンがスポンサー。オフィスと住宅を軸にホテルなども投資対象とする総合型。

予想分配金は2月末・8月末の年2回合計6,000円配で、分配金利回りは約6.65%となります。
 

タカラレーベン不動産投資法人は投資主優待制度を導入しており、2月末・8月末に10単元以上を保有する株主に対して、2,500円分のヤマダ電機優待券を進呈しておりますので、10単元保有時における配当優待利回りは約7.21%となります。

業績を確認していきます。
■2018年8月期_第1期 営業収益 3.7億円、経常利益 0.35億円 DPU 98円 

■2019年2月期_第2期 営業収益 21.3億円、経常利益 11.7億円 DPU 3,392円

■2019年8月期_第3期 営業収益 29.1億円、経常利益 16.2億円 DPU 4,686円

■2020年2月期_第4期 営業収益 30.7億円、経常利益 17.0億円 DPU 3,694円

■2020年8月期_第5期 営業収益 27.7億円、経常利益 13.8億円 DPU 3,000円(4/14)修正

■2021年2月期_第6期 営業収益 27.9億円、経常利益 13.9億円 DPU 3,000円(4/14)修正
 

2020年2月期_第4期の営業収益は前期比5.5%増の30.7億円、経常利益は同5.4%増の17.0億円となり、期初予算比でも増収増益となったほか、分配金についても当初予想の3,620円から3,694円まで74円の増配となりました。昨年9月にPOを実施しているため、本来は大幅増収となる筈ですが、第3期に売却した南青山の売却益計上割合の減少(前期7:今期3)により殆どオフセットされ、10月末に期中でレバ取得した溜池山王オフィスを加えてなお、見えがかり上の伸びは表記程度に留まりました。物件の取得/売却によらない実態運用面では、表参道商業の増賃が寄与したものの、松山のヤマダ電機や平和台レジは予算割れとなり、最終的には修繕費の削減で収益を底上げした格好になります。


進行期である2020年8月期_第5期の予算については、営業収益が第4期比9.9%減の27.7億円、経常利益は同18.6%減の13.8億円を予想しており、分配金は3,694円→3,000円へと▲694円も減少する見通しです。第4期のPO及び期中取得物件が巡航化するにも拘らず、トップラインから2桁近い減少となるのは、第4期に一部計上した南青山の売却益が完全に剥落することや、ホテル物件を中心に新型肺炎による減収を一部織り込んでいることが要因です。当法人のホテル物件は賃料固定型ではあるものの、オペレーターから減賃要請が来ている状況にあり、当局からの要請もあることから、相当程度の幅でこれを応諾する考えのようです。その一方、一部既存物件(池袋等とみられる)では増収を予算化しているものとみられ、保守的な予算というわけでもないようです。

 

当法人は昨年9月に初のPOを実施しており、約132億円(@117,000円)を調達しています。ローンチ時の株価が2018年7月のIPO価格である@96,000円を大きく上回った状況であり、P/NAVも1.0倍をクリアしていたことから、NAVを大きく積み上げることに成功しています。鑑定NOI利回りこそ第2期末時点と横ばいの5.1%止まりだったものの、築年数は26.3年→20.8年へとかなり若返っています。スポンサー開発の平和台レジ(4.6%)や勝どきレジ(4.3%)は築浅で高品位ですが、表参道商業(3.5%)や、松山ヤマダ電機(7.4%)といった安定性の低い物件も抱き合わせとなっていますが、ローンチしたタイミングが上場来高値近辺と絶好の株価位置にあったことから、そういう意味では良いディールであったと総括出来そうです。

 

当投資法人は上場時から3~5年(要は2021年~2023年)をとした達成時期中期分配金目標として、物件の売却や固都税費用化等の一時的な費用増を排除した“巡航分配金”を現状の3,100円から、内部成長のみで3,300円、外部成長ありの場合で3,500円まで引き上げる計画を掲げています。然しながら、今般の新型肺炎の影響で巡航分配金がベースで100円程度削れてしまったので、表記の分配金の達成時期を1年引き延ばし、2022~2024年へと変更しています。

 

財務面については、鑑定上限LTVを60%まで許容しており、現在のLTVは45.9%水準(※本厚木取得後)と推定されます。当法人は地方物件が多く、物件価格における建物割合が高いので、非現金支出である減価償却費が相対的に多く、これを追加資産取得の原資にしやすいことから、当面はPOをせずにレバで期中取得していく方針とみられます。スポンサーの方に溜まっているパイプラインも、住宅のラグゼナシリーズを皮切りに、八丁堀や神田猿楽町のオフィスなど年200億円ペースで積み上がっている模様ですので、物件売却で分配金を作りつつも、ポートフォリオの質の改善に資する物件入替に期待したいと思います。

 

*参考記事① 2020-01-06 126,400円 OP

【3492】タカラレーベン不動産投資法人/巡航分配金3,300円射程も、初回PO評価は中立。

 

*参考記事② 2019-07-01 102,800円 OP

外部成長なかりせば分配金3,300円目標・タカラレーベン不動産投資法人(3492)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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