【2402】アマナ/外注費負担は依然重く、予算据置も通期で赤字転落も。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2402】アマナ(東証マザーズ) UP

現在値 590円/100株 PER146.7 PBR2.44 無配 12月配当優待

CG制作、Web販促強い広告会社。ストック写真販売と両輪。
前の期は無配であり、今期の配当も現時点では予想無しとなっています。

アマナは株主優待制度を導入しており、12月末時点の単元株主に対して、北海道東川町産の新米2kgを進呈しておりますので、米を1kg440円で換算した場合の配当優待利回りは約1.49%となります。なお、別途長期保有優遇制度があり、継続1年で+2kg、継続3年で+4kgとなるため、この場合に同利回りはそれぞれ約2.98%、約4.47%となります。

業績を確認していきます。  
■2016年12月期 売上高 214億円、営業利益 3.8億円、EPS▲6.3円 
■2017年12月期 売上高 217億円、営業利益 7.7億円、EPS 78.8円 

■2018年12月期 売上高 229億円、営業利益 5.5億円、EPS 4.3円 

■2019年12月期 売上高 230億円、営業利益 0.9億円、EPS▲45.0円 

■2020年12月期 売上高 234億円、営業利益 3.0億円、EPS 4.0円 ce

□2020年3月1Q 売上高 51.2億円、営業利益▲2.6億円、EPS▲59.7円(5/14)
□2020年6月2Q 売上高 110億円、営業利益 0.0億円、EPS▲30.2円 四e

2019年12月期の売上高は前期比3.3%増の230億円、営業利益は同82.3%減の0.9億円となり、売上高はほぼ予算水準を確保したものの、大幅な増益予想から一転して均衡圏スレスレまで落ち込みました。3Qまでは東京五輪特需といった追い風もあり、企画から制作まで一貫して行うコンテンツ系受注が堅調に推移しました。一方、通常書入れ時となる4Qにおいて、消費増税を境に広告主に見送りムードが強まったほか、動画需要の増加にともなう映像企画制作・CM企画制作といった外注比率の高い案件が増加した結果、トップライン成長を果たしたものの想定超の外注費増加で利益が潰されました。

 

進行期である2020年12月期の予算については、売上高は前期比1.6~4.2%増となる234~240億円、営業利益は207.7%増の3.0億円を予想しています。売上高のみレンジ開示しているのは、当社が売上高をKPIとして認識しておらず、売上高から外注経費を控除した“事業付加価値額”をKPIとして認識していることに由ります(殆ど外注となる受注についてはトップラインが過度に膨らむ一方、利益貢献僅少であり実態にそぐわない為)。5月14日に既に開示されている1Qによれば、売上高は前年同期比5.6%減、営業利益は同赤転の▲2.6億円で通過しており、通期予算を据え置いてはいるものの新型肺炎影響を織り込んでおらず、実際に中国絡みの案件は全て止めたりしている模様ですので、今期については表記予算どころか通期赤字圏まで沈む公算が高そうです。


当社は2013-2015年を「モデル変革期」と位置付け、3年間で売上高1.4倍増を達成しました。そして実績期を最終年度とする2016-2019の4年中計期間を「収益力向上期」と位置付け、営業利益を5億円→10億円へと倍増させる計画でしたが、終わってみれば営業利益は中計前よりも低い0.9億円水準まで大きく削られてしまいました。広告代理店を通さない直発注比率が増加(37%→47%)したり、画像に留まらないコンテンツ制作割合が増加(50%→60%)したりと部分的には良い点もあったものの、肝心の外注費コントロールに失敗したため、利益が殆ど残りませんでした。


一応、今2020年12月期は次の中計を開始するまでの「準備期」に位置付けられており、2021-2023年を「量的拡大期」に移るまでの踊り場の1年となります。ABM(Account Based Marketing)と呼ぶクライアント別の全社営業体制への移行を目指しており、これまでバラバラだった営業系要員と制作系要員を相互連携させて、上客へのコンテンツ提案力の強化と高単価化を目指す方針です。現時点で次期中計の数量目標は開示されていませんが、利益水準向上のため外注費削減を目指す方針としており、削減担当役員を配するほか、一部動画機材のオンバランス化などを進めるようです。

業績面以外では、CCCが第2位の大株主(10.4%)に君臨しており、当社役員でもありCCC創業者の増田宗昭氏が幅を効かせている模様です。CCCは2016年に同業のフォトクリエイトをTOBで完全子会社にしたほか、2018年にも同業の「カメラのキタムラ」に約180億円を投じて、同様にTOBで完全子会社化しています。当社は創業者の進藤社長が依然として持分の約22%を握っているため、あとは進藤社長の胸先三寸次第・・・といったところかと思います。財務については、利益剰余金欠損が▲9.6億円へと拡大しており、自己資本比率も1桁間近のため危険水域に突入しつつあります。

 

*参考記事① 2019-05-13 727円 OP 

構造改革完了で、CCCは更に触手を伸ばすのか?アマナ(2402)。

 

*参考記事② 2017-10-25 951円 OP 

持ち直し基調濃厚で、復配は今期か来期か?アマナ(2402)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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