【2418】ツカダ・グローバルホールディング/念願の「キンプトン新宿東京」開業も、当面は貢献薄。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2418】ツカダ・グローバルホールディング(東証1部)  NT

現在値 384円/100株 PER--.- PBR0.53 6月配当優待12月配当優待

欧米風邸宅での挙式・披露宴を行う婚礼が主力。ハワイ等でも展開。
配当金は6月末・12月末の年2回の5円ずつの配当で、配当利回りは2.60%となります。

ツカダ・グローバルホールディングは株主優待制度を導入しており、6月末・12月末現在の単元株主に対して、500円相当のクオカードを年2回進呈しておりますので、配当金と合計した配当優待利回りは約5.20%となります。

業績を確認していきます。
■2016年12月期 売上高 553億円、経常利益 35.9億円 EPS 40.3円 
■2017年12月期 売上高 572億円、経常利益 43.9億円 EPS 46.1円 

■2018年12月期 売上高 601億円、経常利益 52.5億円 EPS 50.8円 

■2019年12月期 売上高 611億円、経常利益 62.2億円 EPS 53.8円 

■2020年12月期 売上高 (未定)、経常利益 (未定) EPS (未定) ce修正
□2020年3月1Q 売上高 102億円、経常利益▲25.6億円 EPS▲50.6円(5/8)

□2020年9月2Q 売上高 295億円、営業利益 9.0億円 EPS 2.1円 四e 

2019年12月中間の売上高は前期比1.5%増の611億円、経常利益は同18.4%増の62.2億円となり、期初予算を上回って着地しました。主力の国内婚礼については、2018年3月に開業した芦屋の通期稼働効果もあり、期初時点の受注残高は前期末比2.9%増となる8,298件を抱えていたものの、期中受注が伸び悩み、実際に施行した挙式組数は前期より500件強減少(13,247件)しました。その一方、婚礼コンテンツの内製化(写真・映像・創花)については想定超で進捗し、外注費が浮いたほか、婚礼単価も上昇し大幅増益を実現しました。一方、海外婚礼については挙式組数が2割減、ホテル事業も竹芝・八事の改修工事により減収減益となったものの、国内婚礼の内製化諸施策による増益効果が著しく、全社業績は上振れ着地となりました。

 

進行期である2020年12月期の通期予算については、売上高が4.7%増の640億円、経常利益は同4.5%増の65.0億円当初予想していました。婚礼事業における期初時点での受注残高は1年前と比較して17.8%減の7,549件と発射台が低調なものの、ホテル事業において「キンプトン新宿」が6月の開業を予定しているほか、東京五輪による上乗せ効果を織り込んで、増収増益を見込んでいました。然しながら、去る5月8日に開示された1Q開示で、新型肺炎の影響により婚礼の延期・中止が発生していることを明らかにしたほか、受注もほぼストップしているため通期予算を未定に修正しています。なお、1Q段階から大赤字となっているため、通期決算は壊滅的な数字で着地することが予想されます。

 

当社は中長期的な業績目標値を公表しておらず、マテリアルの棒グラフのグラデーションでしか今後の業績の伸びが推定出来ないものの、2年後の2022年12月期に売上高で約700億円(利益は棒グラフなし)を見込んでいるとみられますが、この棒グラフは毎年下方ロールされるためほぼ参考にはなりません。

 

前2019年12月期は婚礼施設・ホテルの新施設開業が無かったものの、今期は念願の自社開発により西新宿でインターコンチネンタルホテルグループ(IHG)のブティックブランドである「キンプトン」の開業を6月に予定しています。当社は当初、表参道という“式場ピン立地”にあった日銀寮跡地に60億円を投じ自社開発を目論んでいましたが、これを断念して(土地は半額の30億円で手放したとされる)、この「キンプトン」プロジェクトにリソースを再配分した経緯があります。同ホテルは151室・1チャペル/3バンケットを有し、日本初の導入のブランドであるため、高単価獲得による中長期的な業績貢献が見込まれますが、今般の新型肺炎影響で今期はもとより、来期分の受注も進んでいないと考えられることから、現時点では大きく裏目に出ているような状況です。

 

他施策としては、婚礼施設の新規開業により外部成長を目指すのではなく、ANAクラウンプラザホテル岡山やなんばクロスホテル(楽婚用)のような他社箱内の婚礼施設の改装・婚礼受注拡大や、インターコンチネンタルホテル大阪のように内製化した音響・映像等の制作事業等コンテンツの外販を推進していくことで、大きな設備投資を必要としない「挙式コンテンツのバラ売り」により採算性を改善させていく方針とみられます。

 

なお財務面については配当金を年10円に固定化させることで、極力内部留保に回して自己資本比率は概ね40%弱をキープしているほか、別途財務健全性指標として採用しているネットD/Eレシオも、15年ヒストリカルでは最低水準に近い0.4倍まで良化しています。そのため、今般業績予想を未定に変更したものの、配当予想は有配を据え置いていることから、財務的には十分な余力を有しているものと考えております。

 

*参考記事① 2019-11-01 608円 OP

内製化想定超で予算据置はコンサバか。ツカダ・グローバルホールディング(2148)。

 

*参考記事② 2019-05-08 602円 OP

全社的に動き鈍く、守りの経営に突入か・ツカダ・グローバルホールディング(2148)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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