内製化想定超で予算据置はコンサバか。ツカダ・グローバルホールディング(2148)。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2418】ツカダ・グローバルホールディング(東証1部) OP

現在値 608円/100株 PER9.3 PBR0.80 6月配当優待12月配当優待

欧米風邸宅での挙式・披露宴を行う婚礼が主力。ハワイ等でも展開。
配当金は6月末・12月末の年2回の5円ずつの配当で、配当利回りは1.64%となります。

ツカダ・グローバルホールディングは株主優待制度を導入しており、6月末・12月末現在の

単元株主に対して、500円相当のクオカードを年2回進呈しておりますので、配当金と合計

した配当優待利回りは約3.28%となります。

業績を確認していきます。
■2015年12月期 売上高 538億円、経常利益 54.3億円 EPS 79.5円
■2016年12月期 売上高 553億円、経常利益 35.9億円 EPS 40.3円 
■2017年12月期 売上高 572億円、経常利益 43.9億円 EPS 46.1円 

■2018年12月期 売上高 601億円、経常利益 52.5億円 EPS 50.8円 

■2019年12月期 売上高 630億円、経常利益 55.6億円 EPS 64.9円 ce
□2019年6月中 売上高 290億円、経常利益 20.1億円 EPS 27.0円(8/8)

2019年6月中間の売上高は前年同期比3.9%増の290億円、経常利益は同102.1%増の20.1

億円となり、期初予算を上回って着地しました。主力の国内婚礼については、昨年3月に

開業した芦屋の通期稼働効果もあり、期初時点の受注残高は前年比2.9%増となる8,298件

を抱えた状態でのスタートとなりました。実際に施行した挙式組数は予算に届かなかったと

みられるものの、婚礼コンテンツの内製化(写真・映像・創花)が想定を超えて進捗したため、

外注費が浮いて大幅な増益を実現しました。一方、海外婚礼については想定以下の水準

に留まったほか、ホテル事業も概ね横ばい止まりとなりましたが、既述の国内婚礼の内製

化諸施策による増益効果が著しく、全社ベースの業績は大増勢となりました。

 

なお、2019年12月期の通期予算については期初予想を据え置いており、売上高が前期比

4.7%増の630億円、経常利益は同5.8%増の55.6億円を予想しています。今期は婚礼事業・

ホテル事業ともに名有りの新規案件がないため、既存物件のオーガニックな内部成長が

中心となり、上期に実施した婚礼コンテンツ内製化による利益取込み効果が下期でも発現

する見通しです。ホテル事業についても、クラブフロア増設・レストラン改装・新チャペルの

導入等のバリューアップ施策を実施した品川ストリングスの単価引き上げが期待されます。

上期業績の上振れ理由が、単なる婚礼受注数の好不調ではなく、事業構造の改善に由る

ところであることから、下期単独でも増額含みであり、コンサバ予算であると考えられます。

 

当社は中長期的な業績目標値を公表しておらず、マテリアルの棒グラフのグラデーションで

しか今後の業績の伸びが推定出来ないものの、2年後の2021年12月期に売上高で約700億

円(利益は棒グラフなし)を見込んでいるとみられますが、この棒グラフは毎年下方にロール

しているため、殆ど参考になりません。今期は婚礼施設・ホテルの新施設開業が無かったも

のの、翌2020年12月期については、自社開発により西新宿でホテルを開業する予定です。

ホテルの銘柄はストリングスではなく、IHGのブティックブランドである「キンプトン」であり、

宿泊のオペレーションは当社系列が行わず、IHG/ANAに運営の大部分を丸投げした形の

ホテルの“リース案件(ホテル大家業)”となります。

 

他の成長施策としては、婚礼施設の新規開業により外部成長を目指すのではなく、なんば

クロスホテルの受注に代表されるような他社箱(他社ホテル)内の婚礼施設のリニューアル

及び婚礼事業の受注拡大や、内製化した婚礼映像制作事業等コンテンツの外販を推進し

ていくことで、大きな設備投資を要しない範囲で採算性を改善させていく方針とみられます。

 

なお、財務面については配当金を年10円に固定化させることで、極力内部留保に回して

います。自己資本比率は概ね40%水準をキープしているほか、別途財務健全性指標として

採用しているネットD/Eレシオも、15年ヒストリカルでは最低水準に近い0.3倍まで良化して

いるため、大型新規施設の開業やMAなどの案件が無いのであれば、早急に株主還元を

手厚くすべき水準にあり、業績よりもその辺の株主還元政策の改善が期待されます。

 

*参考記事① 2019-05-08 602円 OP

全社的に動き鈍く、守りの経営に突入か・ツカダ・グローバルホールディング(2148)。

 

*参考記事② 2018-11-17 640円 OP

今期は達成圏だが、今後の“名有り”案件が少ない。ツカダ・グローバルホールディング(2148)。

 

 

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特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に 

基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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