【7190】マーキュリアインベストメント(東証1部) BY
現在値 567円/100株 PER9.8 PBR0.81 12月配当 株主優待なし
投資ファンドを運用。投資対象は国内外の企業や実物資産で香港REITの貢献大。
配当金は12月一括の20円予想のため、配当利回りは3.53%となります。
なお、マーキュリアインベストメントは株主優待制度を導入しておりません。
業績を確認していきます。
■2016年12月期 売上高 25.2億円、経常利益 12.7億円 EPS 70.5円
■2017年12月期 売上高 42.4億円、経常利益 22.9億円 EPS 107.5円
■2018年12月期 売上高 41.2億円、経常利益 20.8億円 EPS 81.6円
■2019年12月期 売上高 47.1億円、経常利益 18.0億円 EPS 71.9円(2/13)
■2020年12月期 売上高 35.0億円、経常利益 15.0億円 EPS 56.8円 ce
□2020年6月2Q 売上高 20.0億円、経常利益 7.0億円 EPS 23.1円 四e
2019年12月期の売上高は前期比14.5%増の47.1億円、経常利益は同13.6%減の18.0億円となり増収減益となったものの、売上・利益ともに期初予算を大きく上回って着地しました。“日本産業成長支援ファンド(バイアウト1号)”においては前期に計上した泉精器の成功報酬やセイムボート出資分、追加出資分のキャッチアップ報酬の利益剥落が大きかったものの、コクヨに対するぺんてる株式譲渡による成功報酬計上である程度穴埋めしました。また、“あすかDBJファンド(グロース1号)については、ミンカブ・ジ・インフォノイド(4436)のIPOがあったほか、本体から運用会社と投資口に出資しているエネクス・インフラ投資法人(9286)についてもIPOでイグジットし、一部投資回収を行いました。
進行期である2020年12月期の予算については、売上高が25.8%減の35.0億円、経常利益は16.7%減の15.0億円と2桁の減収減益を予想しています。“グロース1号”は実績期計上のミンカブIPOのような成功報酬の計上案件がない前提としているほか、タイの不動産メザニン投資利益が剥落するため、表記のような予算の組み立てとなります。2018年より募集を開始した航空機ファンドは2019年の追加募集でAUM120億円に育っており、通期寄与が見込まれますが、航空機リースの事業環境は著しく悪化しているため不透明な状況です。会社側では今般の新型肺炎の影響については、各ファンドの安定的なAM報酬(期中管理報酬)や傘下のSpringREITのリファイを完了していること、航空機ファンドの規模が小さいこと等を理由に業績影響はExit絡みを除いて限定的である旨のアナウンスをしているため、会社側提示のガイダンス程度なら守られるものと考えています。
今期は5箇年中計の2年目であり、2023年12月期に年間平均純利益10→20億円(目安CAGR15%)を業績目標としているほか、その他KPI目標として自己資本1.5倍(122→183億円)を設定しています。直近6年程は各ファンドの合計AUMは1,900億円程度で実質横ばい状態が続いているものの、“グロース1号”“グロース2号”といった成長企業コアファンドのエクスポージャーが高まっているため、これらが投資回収期を迎えるとみられる今後2~3年でAUMの拡大が本格化し、本中計後半で利益成長が加速する青写真となっています。
当社は2016年10月に東証二部市場に上場しましたが、約1年後の2017年12月に一部市場に指定変更となり、その際の公募増資により約40億円(@1,406円)を調達しています。資金使途は自己投資資金となり、30億円をタイミングブリッジ投資、10億円をセイムボート出資に充てる方針であり、2017年中に再生可能エネルギーやバンコク不動産(メザニン)、人工衛星のライドシェア等への投資を済ませています。
また当社は基本的には他人資本の運用業のため、自己資本比率も8割前後をキープしており、良好な財務体質を維持しています。特に傘下のSpringREITのAUMは既に1,500億円規模に達しており、このAM報酬が年間11億円ほど安定計上されることから、これだけで当社年間固定費16億円の大半をカバー出来ていることになります。つまり、盤石な財務・ストック収入をもとに投資先のアップサイドを回収出来る体制が構築されており、あとは株式市場の安定化や将来顧客である年金資金のオルタナティブ投資枠の拡大により中長期的な成長が実現され得るものと考えています。
株主還元については、ファンド事業の業績がボラタイルなため、直近5期のアクチュアル純利益の平均に対して、配当性向3割を掛け合わせて配当額を決定するという特殊な還元方針を採っています。今期の予想純利益は10億円のため、機械的に配当性向30%をかけると年間17円配当となりますが、前述のアクチュアル考慮により、今期は年間20円の配当予想になっています。
*参考記事① 2019-05-16 676円 OP
筆記具大手ぺんてるをコクヨに売却、2Qで巻き返しか・マーキュリアインベストメント(7190)。
*参考記事② 2018-04-20 1,065円 OP
名証2部のツノダをTOB、AUMの拡大続く・マーキュリアインベストメント(7190)。
*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。