【3197】すかいらーくホールディングス(東証1部) NT
現在値 1,605円/100株 PER31.7 PBR2.39 6月配当優待 12月配当優待
「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」等のファミレスの運営。
配当は6月末・12月末の年2回合計の19円配当のため、配当利回りは約1.18%となります。
すかいらーくは株主優待として6月末・12月末の単元株主に対し、3,000円分のお食事券を年2回進呈しているため、配当優待利回りは約4.92%となります。なお、1,000株までは持株数に応じた優待券がほぼ正比例で追加されます。
業績は下記の通りです。IFRSとなります。
■2016年12月期 売上高 3,545億円、営業利益 312億円 EPS 93.6円
■2017年12月期 売上高 3,594億円、営業利益 281億円 EPS 86.4円
■2018年12月期 売上高 3,663億円、営業利益 228億円 EPS 58.0円
■2019年12月期 売上高 3,753億円、営業利益 205億円 EPS 48.0円
■2020年12月期 売上高 3,830億円、営業利益 205億円 EPS 50.6円 ce
□2020年6月中 売上高 1,877億円、営業利益 94億円 EPS 25.3円 四e
2019年12月期の売上高は前期比2.5%増の3,753億円、営業利益は同10.0%減の205億円となり、売上は増収を確保したものの、利益は2桁の減益となり予算を割り込みました。既存店売上高の前提を前年比100%水準で置いており、3Q期間までは順調に上振れ推移していましたが、4Qからの消費増税やラグビーW杯、喫煙規制といった相次ぐ逆風により最後に失速して100.3%とほぼ予算通りに留まりました。出店については、70~80店程の出店(純増約50店)と250店の改装を実施する計画でしたが、結果は出店86店(純増58店)・改装175店となりました。利益については、想定超の人件費上昇が一番の押し下げ役となっており、IFRS16号適用により店舗賃借料の一部が営業外に押し出されて10億円程良化していることを考慮すると、実態の減益幅は見た目以上のものになっています。
進行期である2020年12月期の予算については、売上高が前期比2.0%増の3,830億円、営業利益は0.3%減の205億円を予想しています。出店については実績期並みの90店を見込んでいるほか、120店の改装を計画しています。ただ予算前提の既存店売上ついては、99.3%水準で置いているものの、昨今の新型肺炎影響により既に開示されている1-3月の3ヶ月累計ベースは90.2%、3月単月では76.1%に沈んでいます。計画上、トップラインの伸びは全て新規出店を前提としており、利益面は人件費単価の上昇基調をデジタルメニュー切替による省人化でオフセットして横ばいとする組立になっていますが、実態は既に計画から大きく乖離しているものとみられ、公表延期としている1Q決算時に通期予算も未定へと変更するとみられます。
目下当社では全て店舗で時短営業状態となっているものの、デリバリーやテイクアウトへ注力しているため、多少の穴埋めは可能とみられます。ただバイトの人件費が一部浮いたり、食材がダブついていることによる原価減といった良化要素も限定的であるほか、たとえ時短であっても営業を継続していることにより、従業員や家賃等に関する行政の休業補償をほぼ受けられない可能性が高いため、たとえデリバリーとテイクアウトが好調に推移したとしても、今期の壊滅的な減益は免れないところであると考えています。
なお、実績期は3年中計の最終年度であり、売上高3,900億円(CAGR3~4%)、営業利益380億円程度(CAGR6~8%)を目指していましたが、大幅未達で終わりました。定性的な達成項目としては、決済多様化推進や、デジタルメニューの導入、アプリの高度化と配布クーポンの最適化による顧客獲得強化により高単価化が進みましたが、最後の高単価化については消費増税後に更なる客数減を招く結果となってしまい、足許ではまた低価格化を進めているような状況に陥っています。現時点では中計の端境期となっており、走っている計画はありませんが、策定されるとしても今般の新型肺炎が一巡した後になるもとのみられます。
なお株主還元については、現時点で年19円配当の据置を予想していますが、減配ないし無配になる公算が高いと考えられます。自己資本比率はIFRS16号適用が効き、実態とは異なる会計上の理由に1000bps.程低下したものの、なお3割弱の水準をキープしています。しかしながら、この3月末にメガ3行に対して400億円のコミラインを引いており、財務的な余裕が無くなってきていると考えられるため、一気に無配まで転落する可能性がありそうです。
*参考記事① 2019-11-14 2,031円 NT
中計頓挫も、既存店好調で今期は予算達成圏か・すかいらーくHD(3197)
*参考記事② 2019-04-27 1,833円 NT
配当性向30%水準に見直し、配当額は半額水準へ減配・すかいらーくHD(3197)。
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