【3681】ブイキューブ/会社予算は新型肺炎影響の織り込み不足、今期は大増勢か。 | なちゅの市川綜合研究所

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【3681】ブイキューブ(東証一部)  OP

現在値 1,299円/100株 PER122.6 PBR10.3 12月配当 株主優待あり

Web会議などコミュニケーションサービス提供。遠隔医療やネットセミナー支援も。
配当は年間1円のため、配当利回りは約0.08%となります。

ブイキューブは株主優待制度を導入しており、12月末に単元株を保有する株主に対して、10,000円分のテレワークブース利用券を進呈しておりますので、配当優待利回りは約7.77%となります。

業績を確認していきます。
■2016年12月期 売上高 72.3億円、営業利益 0.3億円、EPS▲27.6円 
■2017年12月期 売上高 66.3億円、営業利益▲5.5億円、EPS▲153.0円

■2018年12月期 売上高 79.6億円、営業利益 3.4億円、EPS 19.0円 

■2019年12月期 売上高 63.6億円、営業利益▲2.8億円、EPS 1.4円(2/12)  

■2020年12月期 売上高 72.3億円、営業利益 5.0億円、EPS 10.5円 ce  

□2020年6月2Q 売上高 33.3億円、営業利益 1.4億円、EPS 0.7円 ce   

2019年12月期の売上高は前期比19.9%減となる63.6億円、営業利益は同赤字転落の▲2.8億円となり、対前期・対予算共に下回って着地しました。大幅減収となったのは、アプライアンス(AP)事業において採算性の低い電子黒板事業を売却した影響が大きく、15億円もの減収となったほか、収益認識基準の後ろ倒し変更、そのほかラーニングマネジメント(LM)事業において連結子会社であったアイスタディ社の株式を期中売却したことによる連結剥落等が要因となっています。また、利益の赤転原因については、AP事業においてリモート式ビジネスブースである「テレキューブ」へのマス広告費を2.5億円積み増したことや、収益認識基準変更により1.2億円減益となったため、こうした一過性要素が足を引っ張って、売上・利益ともに大幅減となりました。


進行期である2020年12月期通期の予算については、売上高が13.6%増の72.3億円、営業利益は同黒転の5.0億円を予想しています。主力のビジュアルコミュニケーション(VC)事業については、汎用Web会議サービスについては競合激化もあり微増を見込んでいるものの、引き合いの強い製薬業界向けの用途特化型(MR・セミナー等)が大きく伸びる見通しです。また、AP事業については、「テレキューブ」の設置台数の増加のほか、競合の相次ぐ撤退によりオンプレミス型のWeb会議サービスキットの伸長が見込まれます。また、利益については実績期の多額の広告費計上やロイヤリティ支払といった一過性要素が消えるため、およそ3.5億円分の利益が底上げされるほか、トップライン成長により利益率が大幅に改善する見通しです。なお、新型肺炎による需要増はさほど織り込まれていないとみられるため、相当な上振れ含みと目されます。

 

当社は中長期の経営計画を公表していないものの、1年前の時点では将来予測として進行期である今2020年12月期に目指す業績目標として、売上高78.0億円・営業利益9.0億円を公表していた経緯があります。今次本決算ではそのように翌期分までの目標開示はなかったものの、所謂“働き方改革”の風潮や、新型肺炎とそれによるテレワーク助成金制度の開始など当社の事業環境には大きな追い風が吹いている状況です。足許3月の当社への問合せ件数は前年の5倍にも及んでいる状況であることから、高いモメンタムでの業績成長が期待出来るフェーズに入ったものと考えています。

 

主力の汎用Web会議サービスは外資系を中心にSaaS型の競合も多く存在するため、市場成りでの成長になるかと思われるものの、据置のオンプレミス型については競合の撤退が相次いでいるため、残存者利益の獲得が期待されます。また、オンプレミス型の大手であり、官公庁や金融機関などに強いNTTテクノクロス(業界シェア7%)と業務提携しており、同社が撤退するサービスの後釜として当社製品が順次リプレイスを獲得出来る見通しであることから、既に業界シェアの32%を握る当社のポジションが確固たるものになることが予想されます。


第二の成長の柱は「テレキューブ」であり、2019年12月末時点で384台を設置しているものの、同年12月より2.5億円を投じてマスCMを展開したこともあり、今2020年12月期には700台~1,400台の販売を目指しており、実際に足許の引き合いもかなり強い模様です。特に「STATION BOOTH」という相手先ブランドで展開するJR東日本に対する売り切り型の筐体販売が進んでおり、同社は30駅での展開を目標に掲げていることから、販売・設置が強力に推進されるものと考えております。このほか、西武・小田急・東武・阪急といった私鉄各社や、三菱地所のSクラスビルにも導入が進んでいるため、中長期的には本ドメインで圧倒的なマスを確保する可能性があります。

 

財務状況については、2017年にひふみ投信への第三者割当増資で約10億円(@582円)、地域経済活性化支援機構への同増資で約15億円(@505円)を調達していることもあり、自己資本比率4割強と良好な水準をキープしています。その一方、株主還元については、年間配当1円とかなり限定的なものとなっていますが、当社は資金活用するケースが多く、それに備えてといったところかと推察されますが・・・これ以上三社割や新株予約権を乱発して希薄化されるよりはマシかと考えています。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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