インフラファンドには本当に死角が無いのか?(投資戦略アウトルック/2020.4.5) | なちゅの市川綜合研究所

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3日付の日経でも“インフラファンド、コロナ渦でも健闘”の旨のニュースフローがありましたが、確かにありとあらゆる投資商品の中でも異様に値持ちしている印象を受けます。

 

インフラファンドとよく比較されがちな商品としてREITがありますが、REITは足許1ヵ月では株よりも売られているので対照的な状況です。REITもインフラファンドも(ものにもよりますが)外国人や国内中央の機関投資家よりも、地域金融機関の保有や個人投資家の保有に特徴がある商品として共通しているはずなので、やや違和感があります。

 

今般のREITの下落に関しては、新型肺炎の影響が一番大きいホテル銘柄がまず大きく売られ、次に時価総額が大きい商業銘柄も調整を余儀なくされたため、これら地域金融機関らのロスカットルールにかかってしまい、連鎖的にオフィスなど他アセットタイプのREITにも飛び火→半ばクラッシュ気味に売られていったものとされています。

 

一方、インフラファンドについては、そもそも電気の買取価格が国の単価で十数年先まで固定化されています。そのため理論上のP/Lはずっと変わらないこともあり、REITのような収益悪化懸念もなかったので、あえてわざわざ売られなかったものと解されます。

 

ではこのような不透明な状況下で、6~7%の分配金利回りを確保しているインフラファンドが死角の無い投資商品かと思われますが、本当にそうなのでしょうか。インフラファンドはそもそも商品として資本払戻しである利益超過分配を含むため、利益ベースの利回りは100bps.~200bps.は表記より低下します。そして投資家属性の多くが共通しているREITの分配金利回りが8%とか10%まで上昇していることから、仮にこのREITの利回りが今後の収益低下で向こう数期の利回りが200bps.~400bps.低下するものと試算したとすると、インフラファンドの利回りに並ぶか超過することになり、あえてインフラファンドを選好する理由は乏しくなります。

 

また、昨今の世界的な原油安競争等によりエネルギー関連銘柄は見送られがちであり、株価もかなり安くなっていることから、本邦のインフラファンドだけ“野中の一本杉”的にこのまま選好され続けるというのもやや違和感のある話だと思います。加えて、アフターコロナ後のリバウンドもあまり期待出来ない(下手すると市場の戻りに置いていかれる)点なども考慮すれば、もはやインフラファンドの期待値はそこまで高いというわけでもなく、過信は禁物かと思います。

 


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