【3230】スター・マイカ/単純転売に頼らないモデルを確立も、財務ケアは依然課題。 | なちゅの市川綜合研究所
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【3230】スター・マイカ(東証一部) OP

現在値 1,258円/100株 PER12.4 PBR1.24 5月配当優待 11月配当

中古区分所有マンションへ投資し賃貸と売却を組み合わせて物件運営。
配当金は5月末・11月末の年2回で合計32円で、配当利回りは2.54%となります。

スター・マイカは株主優待制度を実施しており、100株以上の11月末株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しているため、配当優待利回りは約3.33%となります。

業績を確認していきます。
■2016年11月期 売上高 209億円、営業利益 32.5億円 EPS 92.7円 
■2017年11月期 売上高 230億円、営業利益 35.7億円 EPS 114.2円 

■2018年11月期 売上高 302億円、営業利益 38.3億円 EPS 118.4円 

■2019年11月期 売上高 321億円、営業利益 36.2億円 EPS 111.0円(1/10)

■2020年11月期 売上高 352億円、営業利益 33.8億円 EPS 101.3円 ce

□2020年5月2Q  売上高 192億円、営業利益 19.3億円 EPS 59.2円 ce 

2019年11月期の売上高は前期比6.2%増の321億円、営業利益は同6.5%減の36.2億円となり、増収減益となったものの、期初予算との比較では逆に減収増益となりました。主力の中古マンションの販売・賃貸事業については、地方主要都市での販売・仕入を積極化させたため販売・賃貸ともに大幅増となりました。一方、インベストメント(転売)事業については前期のような売却案件が存在しなかったことにくわえ、元より事業自体を縮小する計画であったため、上期の物件売却で完全に打ち止めとなりました。そのため、利益率の高いインベストメント事業の意図的な構成比低下により、全社では増収減益の仕上がりとなったものの、販売・賃貸事業のトップライン増とコストコントロールの奏功により利益は計画を大幅に上回って着地しました。


進行期である2020年11月期の予算については、売上高が9.6%増の352億円、営業利益は6.6%減の33.8億円と今期も連続で減益を見込んでいます。主力の中古マンションの販売・賃貸事業については、実績期において地方都市での仕入れを更に増やしたこともあり、物件残高自体は順調に積み上がっている(562億円→689億円)ものの、グロスの高い好採算の都心物件の減少により採算性が悪化するものとみられます。また、実績期で利幅の厚いインベストメント事業から完全に撤退したたこともあり、トップラインは続伸するものの全社利益率は一段と低下する見通しです。

 

当社は2019年1月に新5年中計として従来の中計をロールしており、最終年度である2022年11月期に売上高230→500億円(CAGR17%)、営業利益は35→70億円(CAGR15%)という、かなり強気な定量目標をブチ上げました。そしてその6ヵ月後の昨年7月、中古マンション販売事業において消費税の仕入控除税額の計算方法の変更につき当局承認を得たことを理由に再度増額ロールしており、最終年度の目標営業利益を更に15億円積み増して、70→85億円(CAGR19%)へ増額してきています。

 

この非常に強気な予想の背景には順調な販売用不動産の存在(簿価ベースで689億円、仲介手数料等の販売コストを考慮した推定含み益は169億円)が挙げられます。会社側はこの中計期間の5年間で、インベストメント事業の縮小と中古マンションへのフォーカスを掲げており、実際に中計3年目となる今期で中古マンションの販売・賃貸事業の単一ドメインとなったため、そうした定性的な部分については既に達成済であり、不動産市況に左右されにくいモデルに変化したと言えます。

 

ただ定量的な業績目標については、本中計の達成前提として、販売用不動産残高を2倍以上の1,000億円へ積み上げることをKPIとして定めており、かかる財務を手当するために2018年9月にUBSに対して約40億円分のMSワラントを発行しています。ただ本ワラントの希薄化率7.2%は兎も角、下限行使価格が@2,342円と現株価水準よりも大幅に高いところで設定されているため、行使の進捗が期待出来ません。そのため、調達エクイティ40億円に4倍のレバをかけて160億円分の残高を積み増す青写真は実現の見込みが薄く、財務的な手当てが不十分な状況が続いています。

 

そのため株主還元については、これまで増配基調を継続していたものの、足許で年32円配当を複数期に渡って据え置いている【7.5→9→14.5→23→29→32→32→32円(予】ような状況であり、2019年11月期により株主優待制度も大幅に縮小しています。これはひとえにMSワラントによる資金調達の目処が立たなくなってしまっていることが原因と考えられ、会社側の財務温存スタンスは非常に鮮明なものであると考えています。

 

*参考記事① 2019-03-12 1,318円 NT

転売事業縮小と財務余力乏しく、中計達成は困難か。スター・マイカ(3230)。

 

*参考記事② 2018-10-29  1,487円 NT

一部指定替時の増資回避も、その後のMSワラント発行は案外。スター・マイカ(3230)。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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