【2375】ギグワークス/クラウドソーシングは労働力の確保進み、5G関連受注も順調。 | なちゅの市川綜合研究所

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【2375】ギグワークス(東証二部) OP

現在値 854円/100株 PER10.3 PBR1.78 10月配当株主優待 4月株主優待

IT軸の営業支援、PC等機器導入、工事・運用等の受託・派遣が柱。コールセンターも。
配当金は10月末一括の18円配当のため、配当利回りは約2.11%となります。

 

ギグワークスは株主優待制度を導入しており、4月末・10月末に単元株を保有する株主に対して、1,000円相当のこども商品券(ないしビットコイン)を進呈しておりますので、配当優待利回りは約4.44%となります。

業績を確認していきます。 
■2016年10月期 売上高 114億円、営業利益 2.6億円 EPS 26.6円 
■2017年10月期 売上高 134億円、営業利益 3.8億円 EPS 32.7円

■2018年10月期 売上高 160億円、営業利益 5.8億円 EPS 46.7円 

■2019年10月期 売上高 175億円、営業利益 7.8億円 EPS 67.3円 

■2020年10月期 売上高 190億円、営業利益 9.0億円 EPS 82.3円 ce

□2020年1月1Q 売上高 44.2億円、営業利益 1.1億円 EPS 9.7円(2/28)

□2020年4月2Q 売上高 92.0億円、営業利益 4.5億円 EPS 37.4円 ce


2019年10月期の売上高は前期比9.5%増の175億円、営業利益は同33.8%増の7.8億円となり、ほぼ2桁幅の増収増益を確保するとともに、中間前に増額した修正予算の水準で着地しました。主力のBPO事業については、スマートフォン・タブレット端末のキッティングや、5G向けのネットワーク設置や設定といった基地局関連の通信関連業務の増加にくわえ、フードデリバリー加盟店獲得のための営業代行・運営支援(要はUberEATSの新規加盟店開拓)が順調に推移しました。また、シェアオフィス事業についてもこれまでセグメント赤字が継続していましたが、拠点数を58まで拡大させるとともに、会員会社数の拡大(期初3,523社→期末4,322社)と個室稼働率の引き上げ(期初77%→期末91%超)に成功し、僅かではあるもののセグメント黒字へと転換しています。


進行期である2020年10月期の通期予算については、売上高が8.0%増の190億円、営業利益は同14.8%増の9.0億円を予想しています。BPO事業については、いわゆる「働き方改革」の浸透にともなう副業や兼業の容認が加速しているため、連れて業務を請け負うユニークワーカー数が漸増傾向にあり、“商品”となる労働力が膨らんでいる状況です。また実際の請負業務についても、今後は好採算の5G対応の基地局工事やシステム設定等の案件の一層の本格化が見込まれるほか、IT機器のヘルプデスク絡みのコールセンター業務も企業の旺盛なシステム投資需要に支えられ、東京・大阪・福岡(※福岡は百道浜にも新設)のセンターでの人員増強を引き続き進めている状況です。一方、シェアオフィス事業については、顧客企業からのニーズは強いものの、オフィス賃借料の高騰で新規開拓が進んでおらず、稼働率も既に90%を超過していることから、当該セグメントについては概ね横ばい止まりと考えています。

 

当社はPC周りの「家庭教師」やトラブルシューティングなどのPCサポート業務を祖業としてきましたが、幅広いスポット系BPO業務を請け負っているほか、足許においては“ギグ・エコノミー(一般的にはクラウドソーシング)”と呼ばれるシェアリング・エコノミーの一分野にフォーカスしており、昨年末に上場したランサーズ(4484)や、クラウドワークス(3900)が競合となる事業ドメインを強化しています。先行するこれら大手2社と比べると当社の登録会員数は大きく見劣りするものの、相対的に専門性の高い通信・PC周りの業務を得意としており、ブティック型としての強みを有するほか、15年以上前から上場しているため信頼度が高く、既に大手法人の顧客基盤も抱えているため、年成長率20%は固いとみられるクラウドソーシング市場の拡大なりか、それを上回る成長が可能と考えています。

 

またこうしたBPO事業と一定の親和性があるため、シェアオフィス事業の方も拡大(店舗数58店、会員数4,300社)していますが、こちらに関してはWeWorkといったグローバルプレイヤーをはじめ、リージャス日本法人を買収したティーケーピー(3479)や、ソーシャルワイヤー(3929)といった中小型規模のシェアオフィスまでありとあらゆる事業者が参入してレッドオーシャン化しているほか、交通利便性の高いオフィスはビルオーナーに支払う元の賃借料自体も高騰していることから新規拠点の開設も難しく、当該事業での成長はあまり見込めないものと考えています。一応、昨年ホテル大手の藤田観光(9722)と業務提携しており、新宿や有明のワシントンホテル内にシェアオフィスを展開することとしており、このパイプラインがどれだけ寄与するかには注目したいと思います。

 

なお、株主還元については、今期も4期連続の増配となる18円配(+4円増配)に加え、2018年10月期より株主優待制度を導入しています。この優待については、東証一部指定替えを目的とした、株主数の確保が真の目的であり、一応この株主優待制度の導入を以って形式要件は全て成就したとみられることから、あとは指定変更の承認待ちとなります。

 

*参考記事① 2019-10-05 1,520円 NT

シェアリング好調で高い業績成長が続く、ギグワークス(2375)。

 

*参考記事② 2019-03-20 829円 OP

クラウドワークス追撃狙う、老舗ITサポート業者・スリープログループ(2375)。

 


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