【1605】国際石油開発帝石(東証一部) OP
現在値 682円/100株 PER99.6 PBR0.33 12月配当優待 6月配当
原油・ガス開発生産国内最大手。政府が黄金株保有。豪州でLNG案件(イクシス)操業。
今期予想配当金は年2回・合計24円のため、配当利回りは約3.51%となります。
国際石油開発帝石は株主優待制度を実施しており、12月末に4単元を保有する株主に対して、1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、4単元保有時における配当優待利回りは約3.88%となります。なお、2年以上保有の場合は進呈額が2倍、3年以上保有の場合は3倍となりますので、同利回りはそれぞれ約4.25%、約4.61%となります。
業績を確認していきます。
■2017年3月期 売上高 8,744億円、最終利益 461億円 EPS 31.6円
■2018年3月期 売上高 9,337億円、最終利益 403億円 EPS 27.6円
■2019年3月期 売上高 9,713億円、最終利益 961億円 EPS 65.8円
■2019年12月変 売上高 10,000億円、最終利益 1,235億円 EPS 84.6円
■2020年12月期 売上高 12,040億円、最終利益 1,450億円 EPS 99.3円 ce修正
□2020年3月1Q 売上高 6,060億円、最終利益 700億円 EPS 47.9円(5/12)
□2020年6月2Q 売上高 6,060億円、最終利益 700億円 EPS 47.9円 ce
2019年12月期は9ヵ月間の変則決算となるため単純比較は出来ないものの、売上高は前年同期間比25.0%増(百分率は調整後数値との比較)の1兆円、最終利益は同136.1%増の1,235億円で着地し、会社側の期初予想を大きく上回りました。油価がバレル73$→64$、為替(¥/$)が111円→108円と各種前提指標が不利方向に振れたものの、“イクシス”が好調にランプアップしたほか、“プレリュード”のLNG出荷開始等による数量増が効き、1日当たりのネット生産量が42.4万→58.6万バレルに増加したことで、単価安を数量増でカバーした格好となります。
進行期である2020年12月期は12ヶ月決算に復帰するため、参考値との比較となるものの、売上高は2.8%増の12,040億円、最終利益は同13.3%減の1,450億円を期初時点の予算としていました。各種指標の前提については、油価はバレル60$、為替(¥/$)は110円で設定しています。2019年に出荷を開始した”イクシス”の巡航稼働化や“プレリュード”のランプアップ、米州シェールガスの“イーグルフォード”の生産増により、原油換算したネット生産量は58.6万→60.8万バレルに増加するため増収する見通しです。トップライン増の一方で減益を見込むのは、油価安と既存プロジェクトの一時的なメンテナンス費用が嵩むことが要因となります。
然しながら、昨今の新型肺炎等に起因する環境の激変にともない、去る5月12日に上記予算を大幅に減額修正しています。新しい2020年12月期の売上高は期初予算比41.0%減の7,100億円、最終利益は同93.1%減の100億円を見込んでいます。足許の劇的な油価安を反映して、2Q以降の油価前提を従来の半分のバレル30$に修正したため、その前提変更だけで▲1,540億円分の下押しとなっています。良化要素として期初計画から2割の開発投資減、4割の炭鉱投資減によるコスト削減を合わせて200億円程度見込んでいるものの、これをネットして何とか黒字予算を確保する算段となっていますが、今年は世界的な石油の供給過剰により需給最悪状態となっているため、協調減産の進展や新型肺炎の沈静化により油価が回復するかどうかがポイントとなりそうです。
今期は5ヵ年中計の3年度目となっており、最終年度の2022年12月期に売上高9,337億円→13,000億円、最終利益403億円→1,500億円(前提油価バレル60$、為替(¥/$)110円)を目指しています。本中計最大の目標であり、20余年の歳月と4兆円もの総事業費を投じた豪州沖・大型LNGプロジェクトである“イクシス”が、ついに昨年財務的完工を達成しました。“イクシス”は極めて順調な出荷が出来ており、今後2~3年かけてフル生産となることが見込まれるため、バレル60$前提であればほぼこの“イクシス”と、インドネシアの“アバディ”等の少数の大型プロジェクトで少なくとも最終利益目標は達成可能な公算でしたが、油価が非常にボラタイルであり、一転して不透明な状況となっています。
株主還元方針については、本中計期間では配当性向30%水準を下限としており、“イクシス”が無事に出荷を開始したことから、“イクシス”記念配当分の6円をベースアップし、配当額下限を年18円から年24円に引き上げた配当フォーミュラを採用しています。今期の期初配当予想は年36円でしたが、上記のとおり大幅な下方修正となったため、下限値採用で年24円を予想しています。
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